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尊徳先生 農と物質循環を語る

 久々の二宮尊徳ネタ。たまたまめくった『二宮翁夜話』(福住正兄筆記)に「農業は不浄を浄化す」との一節があった(地の巻・第五編・一三九)。肥取舟に川水を入れて肥やし(下肥)を薄めているのを見て、尊徳先生は言う。人々が嫌う肥やしも、川水で増やせば利益がある。ものは不浄に極まれば必ず清浄に帰り、清浄に極まれば不浄に帰る。世の中に無用のものはない。農業は不浄をもって清浄に変える妙術であると。

 この場合、不浄とは下肥すなわち有機性廃棄物である。今風に言えばBODやSS、NOxやリン酸分の高い状態。清浄とはそれが分解・吸収され浄化された状態である。汚れた水も無用ではなく肥料になる(そのままでは濃すぎるので川水で薄めて使う)。しかもそれは養分に富んでおり農地に施用すれば土壌中で分解され、作物が吸収するのである。さすが尊徳先生、農業のもつ物質循環作用を鋭く見抜いていたようだ。

by greenerworld | 2009-01-09 07:46 | 森羅万象  

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