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ずどん

 茨城県土浦市で「ずどん」なるものを食べた。「ず」とはなまずの略で、なまずの切り身を天ぷらにした天丼。つまりなまず天丼の略なのだ。皮はさくさく、身は淡泊でなかなかおいしい。この「ずどん」、日本に古くからいるものではなく、霞ヶ浦で猛威をふるっているチャネルキャットフィッシュ(別名・アメリカナマズ)が原料。アメリカナマズは特定外来生物に指定されており、在来生態系や漁業に甚大な影響があるとして駆除が行われている。それを食材に利用しているわけだ。対岸の行方市では、アメリカナマズを使った「行方バーガー」というご当地フィッシュバーガーを売り出しているそうだ。昨年秋に、栃木県の川魚料理屋さんでうかがったところによると、その店でもナマズ料理は霞ヶ浦産のアメリカナマズを使っているという。「日本のナマズを使いたいのだが、まとまった量は手に入らない」とか。

 特定外来生物も、こうなると経済に組み込まれてしまって、駆除より資源確保という話になりはしないかと心配になる。ナマズは養殖が難しく、天然物は激減している。その最大の原因は、河川・農業用水・水田の構造変化である。ナマズは成魚が池や湖や河川の本流に住むが、産卵は水田や水田まわりの小水路で行う。そうした場所が激減してしまったのに加え、湖や河川の本流から遡上することもできなくなっている。コンクリートで固められて、ナマズが潜む穴もない。アメリカナマズのずどんは700円だったが、もし本物のずどんを食べようと思ったらどんな値段を取られるのだろうか。

by greenerworld | 2009-01-29 16:42 | 生物多様性  

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