管理者へのメール / 管理者のプロフィール


CO2マイナス80%の世界:人口編

 2050年までに先進国全体でCO2排出量を現状(基準年は未定)より80%削減する──イタリア・ラクイラサミットでの合意だ。CO2排出量レベルで言えば、日本では1960年ごろに相当することは、すでに紹介した。

 2050年の日本の人口予測は、国立社会保障・人口問題研究所の予測(2006年)によれば、9515万人(出生中位・死亡中位)。過去にさかのぼって比べると、1962年の日本の人口が9518万人でほぼ一致する。1960年前後というのはどうも未来を考える上で重要な年代のようですな(このことはまたあらためて)。

 ただしその中身は大きく異なる。図は1960年と2050年の人口ピラミッドの比較(同研究所ホームページより)。上が1960年で、団塊の世代が十代前半であるから当然であるが、全体にどっしりと重心の低い年齢構成になっている。ここから高度成長を支える若い力がどんどん社会に出て行ったわけである。
f0030644_2044241.gif
f0030644_20442410.gif

 これに対して下の2050年の人口構成は重心が高く不安定な形。人口が多い年代は80歳前後を迎える団塊ジュニア(第二次ベビーブーム)世代である。全人口に占める65歳以上の比率は40%にも達する。65歳以上が生産活動からの「引退者」とすると、生産年齢人口(15〜64歳)1人当たり、0.76人を支えなければならない。現実には1対1に近いだろう。正直言って今のような年金制度や介護制度のままでは不可能だと思う。生産年齢を75歳くらいにまで引き上げる(つまり働き続ける)ことや、高齢者福祉のあり方を根本的に変えることをしないと成り立たないだろう。しかもこれは全国平均の話なので、町村部では人口の半分以上が65歳以上ということになり、もっと深刻な状況になっているはずである。

 こうなると社会をどう維持するかという問題の方が大きくて、CO2マイナス80%どころではないような気もする。暮らし方、町のあり方、居住形態などを変革していかなければならないだろう。コミュニティの果たす役割が大きくなり、高齢者も社会の中で一定の仕事をしなくてはならない。ただ消費するだけとは行かず、食料でもエネルギーでも、ある程度は自分たちで生産するようになっている必要があるだろう。

 そうするとけっこう1960年ごろの農山村の社会に似てくるのだが、その後の技術や制度の進歩がそこに被さってくると、それほど悲観した話でもないと思える。
[PR]

by greenerworld | 2009-07-23 20:43 | 環境エネルギー政策  

<< CO2マイナス80%の世界:人... 日蝕にヒグラシは反応したか >>