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一筋縄ではいかない太陽光電力全量固定買取

 民主党のマニフェストに、「再生可能エネルギーによる発電量の全量を一定期間、一定価格で買い取る固定価格買い取り制度を導入」とある。ドイツ、スペインを始めとして、導入の成功モデルとなっているフィードインタリフ(FIT)である。

 太陽光発電の場合、これまで電力会社が「余剰電力」をボランタリーに買い取ってきた。それで、設置者の家には通常の電力メーターと余剰電力用の電力メーターとの、2つのメーターが設置されている。太陽光発電の電力をコントロールする、パワーコンディショナーも自家消費で余った分を電力会社の配電線側に送り出すように設計されている。全量買い取りにするというと、このシステムを全部変更しなければならない。家庭用太陽光発電システムの設置件数はすでに膨大な数である。これを誰の負担でやろうというのか。当然電力会社は反対するだろう。

 さらに、現状では柱状トランスを超えて、余剰電力が押し出されるようにはなっていないようである。つまり同じ柱上トランスを共有する数軒〜十数軒の間で、余剰電力は消費されている。しかし全量固定買い取りになれば利益が出ることから設置が増えて、同一柱上トランス域内で消費しきれず、その先(6,600V)に送り出さなければならない。このシステム変更は考えただけで難しそうだ。おそらく地域の配電系統と切り離して、地域内の太陽光発電システムを全てつなぎ直し、変電所を設けて接続するということになるのではあるまいか。

 さらに、電力会社が買い取った部分はRPS(電力会社に義務付けられた再生可能エネルギーの利用比率)に参入されている(その契約をした場合。わが家は契約していないのでその分の環境価値は宙に浮いている)。自家消費分の「環境価値」は未利用だったということで、現在これを太陽光発電設置者から買い取り、「グリーン電力証書」として企業などに買い取ってもらう事業が、いくつかの会社・団体によって実施されている。設置者の負担を少しでも軽くというのが本来の主旨だが、計測器をつけるコストや手間に比べると実入りは少ない。それでもNPOや株式会社など、グリーン証書を取り扱っている団体があり、利害関係者がいる。経産省の住宅用太陽光発電の10年固定買取制度が余剰電力だけを対象にし、自家消費分を対象外にしているのは、ある意味なかなか絶妙な手なのである。

 ブログ子はこれまで完全FITの導入を主張してきたが、太陽光発電のような世界でもすでに既存のシステムが広く行き渡り、既得権が生じている部分もある。一口に「FITを導入します」と言っても、一筋縄ではいかないのである。さて、民主党はどうするつもりなのか。
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by greenerworld | 2009-08-06 19:31 | 環境エネルギー政策  

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