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人口減少社会の公共事業のあり方

 JAL再建問題で、その惨憺たる実態が次第に明らかになってきた。国内線は9割が採算割れ、全体の3分の1以上の52路線が搭乗率50%に達しないという。採算がとれているのは大都市と沖縄などを結ぶ路線のみ。多くの地方路線は赤字の垂れ流し状態。甘〜い需要予測に基づき、特別会計で地方空港を造り続け、そこに旅客機を就航させてきたツケがJALの翼に重くのしかかっている。そもそも民間企業であるJALが、なぜ言いなりに近い形で赤字必至の路線に飛行機を飛ばしてきたのか。かつて我田引鉄と呼ばれた国鉄と同じ、フラッグキャリアとして保護されてきた中で作り上げられた政官業癒着の構造なのだろう(JALは高級官僚の天下り先)。静岡空港の事業経過でも、結局推進に都合のいい(根拠の薄い)数字しか上がっていない。いま振り返ってみれば、反対派の主張の方が的を射ている。

 そもそも多くのの公共事業は、需要や利用者の拡大予測を元に計画される。道路然り、ダム然り。しかしその前提である人口はすでに減少フェイズにさしかかっているのだ。2050年ごろの日本の人口予測(中位推計)は9,500万人くらい。今より3,000万人以上減少する。これは1960年ごろの人口に相当する。ところが人口構成は大きく異なる。当時は若い層が多く、文字通りピラミッド型。2050年はそれに対して、逆ピラミッドに近い。高齢者比率が高まり、生産人口が減るわけだから、当然富も減る。中長距離の移動も減るだろう。

 さらに、人口の都市集中が進んで、地方人口は少なくなっている。ここからも、大都市間を除いて中長距離移動が激減することが容易に推測できる。現在ある地方空港のほとんどは(すでにお荷物になっているが)、遅かれ早かれ廃港の憂き目を余儀なくされる。それなら早く撤退した方が傷口が広がらなくてすむと思う。それが静岡空港に関する10月2日の主張(「富士山静岡空港をソーラーパークに」)。

 人口減少社会の中で必要とされる公共事業は、人口拡大時代の延長で無理矢理創った予測に基づく鉄やアスファルトの計画ではなく、生活の質、安心や安全、実質的な豊かさを保証するようなものではないのか。衣食住やエネルギーの地産地消、教育や文化、景観、暮らしのシステム、自然環境……。「グリーンニューディール」の本質はそこにあるはずで、世界に先駆けて、人口減少社会の中で豊かさ(逆に言えば“市民満足”)をつくり上げていくことが、これから日本の重要な役割だと思う。お隣の中国も2033年が人口のピークとの予測だし。
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by greenerworld | 2009-10-07 10:59 | エコエコノミー  

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