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10年ぶりに荒井沢を訪ねる

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 横浜市栄区に昭和30年代にタイムスリップしたような一角がある。鎌倉との市境に位置する荒井沢。険しい丘陵のおかげで、開発の手を免れた。しかし、地権者にとっては手間がかかるやっかいな土地。山林も放置され、畑もだんだんと手が入らなくなっていた。ここを本来の里山の姿に戻すにはどうしたらいいかと、栄区の担当の方から相談を受けたのが16年前の夏だ。横浜里山研究所(NORA)のYさんらと、制度の検討、自然環境の調査をしながら、観察会や放棄されていた狭い谷戸田を復田しての米作りイベントなどを仕掛け、2年目に取り組んだのが、耕作放棄地でのそばづくり。自前でそばを育てて打って食べませんかという呼びかけに集まった皆さんは、現地を見て息を飲んだことだろう。そこは20年も放棄され、笹や木が生い茂るジャングル状態になっていたのだ。

 人海作戦で切り開き、なんとか3アールばかりをそば畑として確保した。その後、その開墾グループは「荒井沢緑栄塾 楽農とんぼの会」(緑栄塾)を立ち上げ、活動は発展継続している。写真が開墾した畑だ。かつて「ジャングル」だったとは誰も思わないだろう。

 緑栄塾では、共同作付、共同作業が基本。また原則として作業は週1回、日曜日だけである。今は退職者が増えたため平日でも畑に出られるのだが、頑なに日曜百姓のペースを守っている。栽培するのは、小麦、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ、そば、冬場のダイコンや白菜、小松菜など。週末農業で無農薬栽培に適した作物。実はソバを除いて、この地区で昔から栽培されてきたものばかりである。それらを一定の面積で作付けするので、一部市民農園のようにごちゃごちゃした景観にはならない。

 単なる趣味の週末農業とは違い、農道の整備や耕作できなくなった畑の草刈りも請け負う。秋には落ち葉をかき、落ち葉堆肥を積む。地区で担えなくなったかつての里山の営みを、近在の住民がお手伝いをするというスタンスなのだ。

 当初考えたことは3つ。里山が伝えてきた自然、景観、文化(人と自然との関わり)を守ること。会が発展し、会員が増えても、この考えはきちんと継承されていて、とてもうれしくなった。

 組織や運営方法は、試行錯誤しながら皆さんでつくりあげたものだ。運営方針は4つのF(フラット、フレキシブル、フランク、フレンドリー)と5つのCan(できる人が、できる時に、できる場所で、できる範囲で、できるだけ)。会員の皆さんは、その日の畑番の作業指示に従って、やれることをやる。そして農作業を楽しむ。折節に親睦のイベントもある。

 今活動は福祉や教育、地域へと広がっている。学校や養護施設からの体験作業の受け入れ、デイケアセンターでのうどんやソバ打ち、区民イベントへの参加……。イベント対応は年間40回にも及ぶというが、それらは全て向こうから声を掛けていただいたもの。無理せずに楽農のペースを守って、いつまでも続いてほしい。

 皆さん、ありがとうございました。また伺います。

 興味のある方は↓へ
 荒井沢緑栄塾 楽農とんぼの会
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by greenerworld | 2009-10-25 11:46 | スローフード  

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