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2大排出国のエゴと世界の行く末

 COP15コペンハーゲン会議が終了した。京都に代わる議定書はおろか、削減目標もなく、それぞれの国が掲げる目標を列挙するだけという「合意」文書のみが採択された。結局、最後の最後でアメリカと中国という2大排出国を中心にした談合で、作業部会案は骨抜きにされた。ヨーロッパ系のメディアは「失敗」、「恥」、「ごり押し」などの言葉で失望と非難を表現している。直前に暴露された「盗まれたメール」も一役買ったか。

 中国は2007年にアメリカを抜いて世界最大の温室効果ガス(GHG)排出国に躍り出た。さらに今後増え続けていくことは間違いない。しかし、高い経済成長が続き、富裕層も増えているとは言え、いまだに発展途上国である。貧富の差はむしろ先進国よりはるかに大きい。国民の不満を抑え、体制の安定を図るためには、高いレベルの経済成長が不可欠である。GHG排出に足かせをはめられたくない。
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 中国の一人当たりのGHG排出量は、4.6トンで、アメリカ19.1トンの4分の1以下、日本の半分以下でしかない。さらに、これまでの累積排出量は、アメリカやEUが圧倒的だ。先進国は先に多くのGHGを排出して豊かになったのだから、責任を果たすのは当然だというのが、新興国の言い分であろう。世界人口の20%を抱える中国の一人当たり排出量が日本並みになる(それほど先ではあるまい)ことを考えると空恐ろしくなるが、その後にはインドやブラジル、南アフリカといった新興国が控える。とくにインドは2030年ごろに中国の人口を抜くと考えられている。
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 今回の会議では発展途上国内での対立もあらわになった。より気候変動の影響を大きく受けると考えられる島嶼国やアフリカの国々は、中国やインドに対しても対策を求めた。しかし、将来の世代からの意見は何ら反映されていない。今世紀末から来世紀にかけては、気候変動よりもエネルギーの枯渇が深刻な問題になっているだろう。ポスト京都はポスト化石燃料であり、ポスト大量消費社会、ポスト経済成長至上主義としてもとらえるべきだ。現状の「Climate Deal」では展望は開けない。日本が率先して2020年25%削減や、2050年80%削減をうたうなら、政権はそうした社会や産業のビジョンを示すべきだ。その意味でも失望している。

by greenerworld | 2009-12-20 10:27 | 気候変動  

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