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史上最悪の原油流出

 『タイタニック』、『アバター』のジェームス・キャメロン監督が、1989年に発表した作品『アビス』は、興行的にはぱっとしなかったが、当時としては先進的な映像技術を使い、深海に住む地球外生命との出会いを神秘的に描いた。舞台はメキシコ湾で深海の油田探査にあたる、海底油田探査基地「ディープ・コア」だ。東西冷戦が終わりを告げようとしていた時代、米ソの衝突の危機を縦糸にした反戦映画でもあり、軍人たちの描き方は『アバター』に共通するところがある。

 そのディープ・コアさながらに、メキシコ湾の2000mを超える深海の油田掘削を行っていたのが「ディープウォーター・ホライズン」。もっとも、こちらは本体は海上にあり、長いドリルを深海底に突き刺して掘削する。BPにリースされ、ミシシッピ河口はるか沖の鉱区で掘削にあたっていた4月20日に爆発事故を起こし、11名の犠牲者を出した上、その二日後には沈んでしまった。

 それだけではない。コーストガードによれば、すでに事故以来6百万リットルもの原油が油井から流出し、海上を漂っている。さらに一日当たり80万リットルが加わり続ける。このまま流出が続けば、89年にアラスカで起きたエクソンバルディーズ号事故を上回る、史上最悪の原油流出事故になるおそれがあるという。メキシコ湾の生態系、漁業、景観にも深刻な被害が予想されている。

 シティグループの試算では、処理には125億ドル(1兆1,750億円)もの莫大なコストを要するという。うち、BPの負担は80億ドル(7,520億円)に及ぶ。同社の株価は急落する一方、原油価格は上昇し始めた。

 『アビス』では、最後に巨大な宇宙船が主人公とともにディープ・コアを海上に持ち上げ救い出すが、今回の原油流出は人類の力だけで何とかしなければならない。石油文明の負のコストはあまりにも大きい。
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by greenerworld | 2010-05-02 18:22 | 環境汚染  

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