史上最悪の原油流出
2010年 05月 02日
そのディープ・コアさながらに、メキシコ湾の2000mを超える深海の油田掘削を行っていたのが「ディープウォーター・ホライズン」。もっとも、こちらは本体は海上にあり、長いドリルを深海底に突き刺して掘削する。BPにリースされ、ミシシッピ河口はるか沖の鉱区で掘削にあたっていた4月20日に爆発事故を起こし、11名の犠牲者を出した上、その二日後には沈んでしまった。
それだけではない。コーストガードによれば、すでに事故以来6百万リットルもの原油が油井から流出し、海上を漂っている。さらに一日当たり80万リットルが加わり続ける。このまま流出が続けば、89年にアラスカで起きたエクソンバルディーズ号事故を上回る、史上最悪の原油流出事故になるおそれがあるという。メキシコ湾の生態系、漁業、景観にも深刻な被害が予想されている。
シティグループの試算では、処理には125億ドル(1兆1,750億円)もの莫大なコストを要するという。うち、BPの負担は80億ドル(7,520億円)に及ぶ。同社の株価は急落する一方、原油価格は上昇し始めた。
『アビス』では、最後に巨大な宇宙船が主人公とともにディープ・コアを海上に持ち上げ救い出すが、今回の原油流出は人類の力だけで何とかしなければならない。石油文明の負のコストはあまりにも大きい。
by greenerworld | 2010-05-02 18:22 | 環境汚染