処暑を告げる虫
2010年 08月 31日
原産地は南中国から東南アジアあたりで、戦前に木材とともに日本に渡ってきたらしい。コオロギの仲間だが、一生を木の上で過ごす。十数mは飛ぶようで、街路樹伝いに広がった。街路樹に殺虫剤が大量に降りかけられていた時代はほとんど絶滅しかけたようだが、記憶では80年代半ばごろから都会で増え始め、次第に郊外に広がっていったようだ。公園や街路樹の整備がアオマツムシには好都合だったか。日本の生態系には樹上で暮らすコオロギの仲間というジャンルを欠いていたので、天敵も少なく、急速に広がったのだろう。写真はコンクリタイルの床の上にたまたま飛んできたオスだが、木の葉の上にいるとなかなか見分けがつかない。ただ、スズメバチやアシナガバチ、ヒヨドリなどが餌にしているようである。クロアナバチのような狩バチも幼虫の餌にしそうだが、何分都会には彼らが巣作りできる環境が少ない。
アオマツムシが鳴き始めると他の秋の虫の音(ね)もすっかりかすんでしまう。都心の公園などでは、頭上から降り注ぐアオマツムシの合唱でやかましいほど。秋の風情も何もあったものではない。それでもこの声を聞くと、暑さももうしばらくの辛抱と思える。
by greenerworld | 2010-08-31 08:08 | 花鳥風月