管理者へのメール / 管理者のプロフィール


尊大な中国と日本のこれから

 尖閣諸島のトラブルをめぐって弱腰、国辱的と非難される菅政権だが、もし自民党が与党だったらどう対応していたかと考えてみる。少なくとも谷垣氏が首相であれば、小泉政権の事例に倣って、何もなかったことにした(身柄拘束せず、領海外へ立ち去らせる)のだろう。逮捕しておきながら釈放したことが、弱腰と非難されるなら、政権与党の宿命とは言え、やや菅政権が気の毒になってくる。逮捕したからこそ中国の理不尽さ、尊大さが明らかになったのであり、これ以上中国を刺激しないために落としどころを探るという意味で釈放はまちがっていなかったと思う(もし勾留延長さらに起訴していたら、偶発的にせよ戦争のおそれさえあった)。

 結果を見れば、国際的にも、欧米メディアは中国を非難しているし、同様の領有権問題を抱える東南アジア諸国も、中国に対する警戒を強め、連携する動きが出てきた。一方、進出する日本企業が改めて中国リスクを認識し、レアアースなどの資源面でも中国代替を進める動きも明確になった(これは政府があえてプロパガンダしたのだと思う)。外交的に中国にとってはマイナスだったと思うし、経済的にも政治的にも中国一辺倒からの脱却は悪いことではない。

 こういう事件が起こると、短絡的な思考の国粋主義者たちが声を荒げる。それは日本大使館に押し寄せる中国民衆も同じである。こうした対立がエスカレートしていけば、日本がいっそうの軍備増強や核武装に向かうという話になりかねない。過去において軍備増強やましてや戦争によって、国民が幸福になったことはなかった。頭を冷やすべきだ。

 もっとも、中国の軍隊(人民解放軍)は共産党の軍事部門であって、あくまで体制を守るための軍隊だ。国や国民を守るためのものではない。軍事パレードは、諸外国に対してよりも国民に対して、楯を突くとこの軍隊によって抹殺されるぞと脅しているのである(これは北朝鮮も同じ)。中国指導者はつねに体制の崩壊という恐怖と戦っている(これも北朝鮮と同じ)。

 改革開放経済の成功で、中国は世界第二位の経済大国になろうとしているが、いまだに発展途上国のままだ。都市部には大金持ちがあふれているかと思えば、周辺の農村部に行けば、日本の昭和20年代と変わらない風景を見ることができる。大都市のビルや高速道路は立派に整備されたが、上下水道やゴミ処理という生存インフラは多くの地域で未整備のまま。健康保険や年金も一部にしかない。環境破壊は著しく、土地の生産力は低下している。

 1979年からのいわゆる一人っ子政策も、功罪半ばする。人口の急増を抑え、食糧危機を回避したが、人口構成はいびつになった。男の子が家を継ぐという伝統から、生まれてくる子供の男女比率は、男117:女100と不自然に偏っている。結婚できない男があふれることになる。

 経済成長・都市への人口集中は晩婚化、非婚化、少子化を進める。女性の合計特殊出生率も下がっており、公式統計よりかなり低く実際には1.5くらいだという。中国政府は2033年に人口のピークを迎えるとしているが、2025年ごろには人口が減り始めるという学者もいる。これは日本以上に深刻だ。社会保障制度が整わないまま、一人の子どもが二人の親を面倒見なければならない。

 中国はこれからさまざまな社会問題が噴出し、混乱に陥っていくと思う。共産党体制が崩壊するだけでなく、旧ユーゴのように国家が分裂することも考えられる。その過程で内戦が起これば日本だって何らかの形で巻き込まれる。13億の人口を抱える国から、ボートピープルが押し寄せるかもしれないのだ。腹立たしいことは多いが、非難するだけでは何の解決にもならない。長い目で見て、大人の対応をすることが必要だ。
[PR]

by greenerworld | 2010-10-05 09:32 | 森羅万象  

<< ひながかえった ナラ枯れの被害 >>