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“原発後”の世界に向けて その4

■2050年までに自然エネルギー100%の日本を

 原子力資料情報室のページに「なぜ『脱原発』か」と題する共同代表の西尾漠さんの文章が掲載されています。2000年に書かれた文章とのことですが、今回の事態は起こるべくして起こったことだと今さらながら痛感すると同時に、こうした警告に耳を貸そうとせず今回の事態を招いた政府・電力業界にあらためて強い怒りを覚えました。

「なぜ『脱原発』か」
http://www.cnic.jp/modules/about/article.php?id=15
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 2005年に、藤井石根明治大学名誉教授が座長になり『2050年 自然エネルギー100%』(フォーラム平和・人権・環境編、時潮社刊)という本をまとめました。先の西尾漠さんやブログ子(小澤)も共同執筆に加わりました。この本の中では、タイトル通り2050年までに原子力も化石燃料も使わないで、国内で得られる再生可能(自然)エネルギーだけでまかなえる社会をつくる、という目標の下、風力・水力・太陽光(熱)・バイオマスなどの再生可能エネルギーの利用可能性を、専門家の皆さんとともに議論し、シミュレーションしました。原発に関しては設計寿命が来たものから順次廃炉し2030年に全廃、さらに化石エネルギーからも2050年までには脱却するというシナリオです。結論から言えば、それは可能であるということになりました。もちろん人口の減少、ということも加味してあります。ただそれ以上に大きいのが、エネルギー効率を高め、投入エネルギー(一次エネルギー)を大幅に減らすということです。

■原発のない未来を描く

 2003年に『コミュニティエネルギーの時代へ』(岩波書店)という本を書くために、ドイツとデンマークを訪れました。いずれも風力発電を始め再生可能エネルギーの導入で先進的な国です。ドイツ南部のフライブルクは、「ソーラーシティ」という別名を戴くほど太陽エネルギーの利用やビジネスがすでに盛んでした。フライブルク市の環境部長にインタビューすると「この町ではわれわれがやることはあまりない。なんでも市民が率先してやってしまうから」と笑っていたのを思い出します。
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 そのフライブルクが再生可能エネルギー利用に舵を切ったのは、近くにあるヴィールという村に原子力発電所の計画が持ち上がったことがきっかけだといいます。その計画は市民の根強い反対運動により撤回されるわけですが、フライブルク市民たちは原発のない未来に向けて、地域のエネルギーの将来を真剣に考え始めました。というのも、フライブルクはフランス国境に近い町で、フランスから原子力による電気が送られてきていたからです。

 一方のデンマークは、70年代初めの石油ショックをきっかけに原子力の導入を進めようとした当時の政府に対して、環境NGOが原子力のないエネルギーの将来計画「代替エネルギー計画76」を提案、それがデンマーク国民の広汎な支持を得て、原子力導入計画は見送られました。

 奇しくも、再生可能エネルギーの先進地は脱原発の先進地であったわけです。

■カギはエネルギーの効率的利用

 さて先のフライブルクの環境部長さんが見せてくれたのは、同市のエネルギー政策の「3本の柱」でした。それは、エネルギーの効率、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入、です。エネルギーの効率化と省エネルギーは混同されることもありますが、ここでは、はっきり区別されています。省エネルギーはあくまで使う場面でのエネルギー消費削減であり、白熱電球を電球型蛍光灯やLEDに替えたり、建物の断熱性を高めたり、あるいはコンセントを抜いたりすることがそれに当たります。

 これに対してエネルギー効率化とはエネルギー変換(発電など)や輸送時における損失を減らすことです。前回述べたように、現在の発電システムでは大量の熱を環境中にムダに放出するばかりか、熱汚染をもたらしています。また遠距離を昇圧・降圧を繰り返しながら送電することによる損失があります。しかし、今発電所で捨てられている熱は、まだまだ十分に使えるものなのです。

 家庭やオフィスで使う熱の最も大きな用途は給湯や冷暖房です。これはたかだか50℃あればすみます。80〜90℃もあれば、吸収式冷温水機という装置で冷水をつくることもでき、夏も冬も空調に使えます。発電をしながら、そこで出てくる廃熱を利用する──むしろ熱利用しながら発電するといった方が正確かもしれません──しくみをコジェネレーションシステムと呼んでいます。

 こうした使い方をすれば、極端な話、エネルギー投入量(一次エネルギー)は半分以下ですみます(下図参照)。電気には電気にしかできないことをやらせればいいのです。むしろここにこそ、エネルギー消費削減の大きなカギがあることがわかると思います。こんなことを書くとエネファームを売りたいガス会社の回し者かと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。理由は次回。(続く)
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出典:『コミュニティエネルギーの時代へ』(小澤祥司、岩波書店)
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by greenerworld | 2011-03-23 22:01 | 3.11後の世界  

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