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“原発後”の世界に向けて その5

 エネルギー効率の話を続いて書くはずでしたが、寄り道をします。

 今回の事故に関して、「最初から原子炉に海水注入をしていればここまで深刻な事態にならなかった。東電は原子炉の延命を考えて、海水注入をしなかった」という見方や、あるいは「米軍の支援要請を東電が断った」という記事が出ています(東電は否定)。事の真偽は今後明らかにすべきですが、こうしたことは十分にあり得たことだと、ブログ子は考えます。

 原子力に関しても、オール電化推進に関しても、電力業界は一枚岩です。かつては社内や関連研究所などに原子力に関して問題意識や疑念を抱くような社員もいたそうです。しかしそうした“異質な”社員は排除され、新規採用にあたっても、出身研究室、身内や交友関係に反原発の考えを持った人物がいないかどうかなど慎重に身辺調査や“思想”調査がされてきたと聞いています。東電を筆頭に電力会社の社員は極めてプライドが高い。同時に会社に対する忠誠心も高い。そうした“一社懸命”な忠誠心はまた、社会に危害を与えることが往々にしてあります。事故後も東電は重要な情報を隠してきました。この期に及んでもこうした体質は全く改まることはありません。

■企業における“多様性”とは

 ブログ子は生き物が元々のフィールドなので、生態系や生物多様性に長く関心を持ってきました。拙い理解ではありますが、生物多様性とは幾重にも準備された“代替性”と見ることもできます。環境の変化に対して復元力の高い安定した生態系は、必ずこうした代替性を備えています。それは、遺伝子レベルであったり、種レベルであったり、機能レベルであったりといろいろですが、個々には死んだり種が置き換わったりということはあっても、全体としてはまとまりのある生態系を維持できるのです。

 最近CSR(企業の社会的責任)の中で言われるようになったのがその「多様性」という言葉です。一般には、社内に、性別・障碍・人種・国籍・宗教などの違いを認めていこうということで理解されているようです。しかし、ブログ子はもう一つ重要なファクターとして、異なる考え方や志向を社内に認め合うことが必要だと思っているのです。

 もともと経営管理の理想型は軍隊でしょう。トップの命令一下、余計なことは考えずに規律正しく働くのが最も効率よくコストもかからないかもしれない。しかし、社員皆が一色に染まれば、リスクをリスクとして認識することなく、社に破滅をもたらすことすらあります。立ち止まって考えたり、別の方向を模索するためには、考え方や志向の多様性が必要です。一見効率の悪いことが長い目で見れば利益になるのです。

 かつての日本帝国軍が日本中の思想を一色に染め、勝算なき戦争に突き進んだように、戦後の日本は官民挙げて原子力を礼賛し、原発立国を目指してきました。その中で電力業界はほとんど異論を許さない、生態学的に見ればひ弱な体制を築き上げてきました。それが組織を破滅させるだけならいいのですが、社会をも破滅させかねない状況にいま陥っています。

 その意味でも、東電福島第一原発事故は第二の敗戦なのです。(続く)
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by greenerworld | 2011-03-26 09:19 | 3.11後の世界  

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