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[MOVIE]10万年後の安全

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 10万年前といえばまだ人類(ホモ・サピエンス)はアフリカにとどまり、中東・ヨーロッパにはネアンデルタール人が、アジアにはホモ・エレクトゥスが君臨していた時代だ。

 では今から10万年後には、どのような人類がどのような文明を築き、どのような言葉を話しているのだろうか。

 マイケル・マドセン監督の『10万年後の安全』(原題:Into Eternity)は使用済み核燃料の地層処分をテーマにしたドキュメンタリー映画だ。オープニングはフィンランドの凍てついた大地に掘削された地下トンネルへの入口を映し出す。ここでは地下400m以上、距離は数kmにも及ぶ広大な地下空間の掘削が進んでいる。オンカロとはフィンランド語で「隠し場所」という意味だという。ここに隠されるものとは原子力発電に使った後の使用済み核燃料である。その中には半減期が2万4100年というプルトニウム239や6560万年のプルトニウム240が大量に含まれている。

 オンカロには、中間貯蔵施設で数十年間冷却されたあとの使用済み核燃料が埋められる。使用済み燃料には何重ものシールドが施され、放射能がなくなるのを待つ。アルファ線を放出するプルトニウム239の放射能は、10万年を経てようやく元の16分の1まで減ずる。オンカロ・プロジェクトの終了は100年後。その後はオンカロ自体がほぼ永久に封印されることになる。オンカロの建設が進んでいる場所は、18億年前からの安定した地層だという。

 映画は、関係者や専門家へのインタビューと、オンカロ建設現場、建設現場で働く人々の姿を淡々と追いながら、未来の“人類”に語りかける形で進む。しかし、未来の人々に絶対に掘り起こされないという保証はない。マドセン監督は、一体どうやって彼らにこの場所が危険であるのかを知らせるか、そんなことが可能なのかを問う。10万年もの間変わらないコミュニケーションの方法はあるのか。危険を知らせるはずの石碑が逆に彼らに好奇心を抱かせてしまわないか。口伝のような方法が有効なのか。そもそも彼らはホモ・サピエンスであるのか。数万年あれば新しい種に入れ替わっていたとしてもおかしくない。

 世界にはすでに25万トンもの使用済み燃料がある。その処分方法がはっきりと決まっているのはオンカロだけだ。日本でも最終処分は地層処分が想定されている。しかしその調査ですら、いまだ正式に実施できた場所はない。だいいち日本にはオンカロのような安定した地層はどこにもないのである。

 たったいまあなたが使っている電気を起こすために、原子力発電所では処分のあてのない使用済み燃料が溜まり続けている。その量は日本だけで年間1,000トンにも及ぶ。

 全国巡回上映中。

 10万年後の安全公式サイト
 http://www.uplink.co.jp/100000/

 オンカロ・プロジェクトの英語ページ
 http://www.posiva.fi/en/research_development/onkalo/
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by greenerworld | 2011-06-03 18:17 | レビュー  

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