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もう少し先送りできたかもしれないこと

 世の中には、今すぐに決めなくても、まだ先送りできるって思うことが、よくある。そうこうしているうちに何となく解決したような気になるんだけれど、決して解決していなくて、日に日に深刻になっている問題。財政赤字とか、年金とか。何十年も前から改革しないといつか破綻するっていわれてきたのに、いまだに問題は先送りされ続けている。これとちょうど似たような問題が核廃棄物。使用済み核燃料は最終処分場が決まっていない。地層処分することはほぼ決定しているけれど、正式に調査できた場所はまだない(ひそかに調査した場所はあるけれど)。そもそもオンカロ(フィンランドの地層処分場)のように安定した地層は日本にはなく、何万年、何十万年と安全に保管できるのかも不明。それなのに、そんなムズカシイ問題は先送りしたまま、アブナイ核廃棄物は溜まり続けている。

 しかし東電福島第一原発事故で発生した“放射能がれき”の処分問題で、図らずも放射性廃棄物の処分問題は先送りできない状況に至ってきた。6月9日に、環境省の南川事務次官はがれきや焼却灰の最終処分場を福島県内に建設する案を佐藤知事に打診したが、これを知事は拒否した。

 福島県にしてみれば、自分たちの使った電気を起こしたわけでもない原発のがれきを、なぜ引き受けなければならないのかということだろう。いまはがれきの話だが、当然原子炉建屋、容器、そしてメルトダウンした使用済み燃料も、「きれいさっぱりどこかへ持っていってくれ」という話になる。もともと事故がなければ、どこかの最終処分場に持っていくはずだったものだ(原発立地自治体はみなそう思っている)。いや、放射能に汚染された住民はまき散らした放射能も全て回収して、元に戻してくれと言いたいに違いない。除去した校庭の汚染土も、下水汚泥も処分先が決まらず放置されている。汚染土除去のプロジェクトも、結局ここで行き詰まっている。これらは当然東電が引き取ることが筋だが、引き取ったとしても、放射性物質が消えてなくなるわけではない。安全な場所に埋めるなりして、その後も管理し続けなければならない。福島が拒否したからといって、県外に受け入れ先が出てくるとはとうてい思えない。結局二進も三進もいかなくなり、最後は「金で解決」という話になるのではなかろうか。

 一か所で処理できなければ薄めて拡散させるという手がある。そんなことを考えたかどうか知らないが、文科省も農水省も環境省も、かなり高めの基準を作って、埋立や再利用が可能だという方向に動き始めた。「だってどうしようもないでしょ。このまま立ち往生してどうにもならなくなるよ」というのが彼らの思いだろうね。

 そもそも放射能に汚染されたがれきや汚泥をどのように処分するのか、事故から3か月以上もたつのに方針が決まっていないのは、原発は事故など起こさないという虚構に原因がある。下水汚泥や焼却灰はまだしも、高濃度の放射能がれきは薄めて捨てるわけにもいくまい。今後建屋や原子炉、高濃度汚染水処理で出た超高濃度放射性汚泥、メルトダウンした燃料そのものも議論になる。「工程表」には書かれていないが、けっして先送りできない問題だけに「トイレのない家」論がここ一年以内に一気にクローズアップされる。

 他にも遠からず物理的に原発を止めざるを得なくなる理由。

1)福1での被曝で原発作業員が不足し、他の原発での点検作業ができなくなる。
2)六ヶ所再処理工場が稼働できず使用済み核燃料を保管する各原発の燃料プールが満杯になる。

 いずれも、安全神話の陰に隠されてきた闇の世界があらわになっただけだ。さてもやっかいなものをつくってしまったものだ。この上、まだ電力の安定供給のために原発は必要不可欠ですというやつの精神構造が理解できない。
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by greenerworld | 2011-07-02 21:30 | 3.11後の世界  

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