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ハリガネムシの不思議

f0030644_08083558.jpg 昨年(2014年)近所の自然観察仲間のTさんから、近くの丘陵に続く道をハラビロカマキリが十何頭も下りて来るのを見たと聞いて、その去年と同じ日にその場所に行ってみた。途中ですでに住宅街の路上にぺしゃんこになったハラビロカマキリの死体が、ところどころにあるではないか。丘陵に近づくと果たして、向こうから何メートル置きか、ハラビロカマキリが道を歩いている。全部で10頭以上、みな低い方(この場合は南の方)へ向かって歩いている。たしかに山を下りて来るように見える。

 そう、ハリガネムシである。普段は樹上で暮らしているハラビロカマキリが、なぜ路上をよたよたと歩いているのか。それは体内に宿した寄生虫のハリガネムシに、操られて(?)いるからだ。カマキリの体内で成虫になったハリガネムシは、その後水中で交尾して産卵する。そして来年の春、卵から孵った微少な幼虫が水生昆虫の体内に侵入し、その水生昆虫が羽化してカマキリに食べられると、その体内で成熟するという、ライフサイクルを持っている。どのようなメカニズムかはよくわからないが、ハリガネムシはそのライフサイクルを完結させるために、宿主であるカマキリを水辺に導くのだ。

f0030644_08084971.jpg 平地ではカマキリが多いが、上流部ではカマドウマやキリギリスなどに寄生するハリガネムシがいる。寄生されたカマドウマは渓流に飛び込んで、魚の餌になる。その際に魚の口や鰓からハリガネムシは脱出する。

 さて、ハラビロカマキリ、もう1頭のほうからはハリガネムシが出てこなかったので逃がそうと思って手に取ったら、いきなり出てきた。それも2匹である。この日は3匹のハリガネムシが手に入った。サンプルとして研究者に送ったら、2匹はメスだったそうである。
 
 今年は秋の訪れが早かったので、それまでにも何度か確認しに行っていたのだが、見あたらなかった。それが去年とまったく同じ日にカマキリが山を下りて来たのはただの偶然なのか、来年も確認してみなければならない。ハリガネムシ、まだまだ不思議が多い。

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by greenerworld | 2015-10-25 17:08 | 生物多様性  

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