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「新エネルギー法」ではなく再生可能エネルギー法を

「再生可能エネルギー(Renewable Energyあるいは単にRenewable(s)。また再生可能エネルギー源としてRenewable Energy Sources=RESとも)」といえば、太陽光や風力、バイオマスのような太陽エネルギー起源または地熱や潮力のような、自然のプロセスから得られる繰り返し使えるエネルギーのことを言う。この言葉は、ほぼ同じ意味を表す「自然エネルギー(Green Energy)」とともに、その内容について世界的にも共通の理解が得られている。しかし、日本では世界的にはあまり通用しない「新エネルギー」という言葉が使われ、再生可能エネルギーという言葉は公的にはなかったに等しい。
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「新エネルギー」は1997年に成立した「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)」によって規定された概念で、「石油代替エネルギーを製造、発生、利用すること等のうち、経済性の面での制約から普及が進展しておらず、かつ 石油代替エネルギーの促進に特に寄与するもの」とされている。具体的には、



 ●供給サイドの新エネルギー
  光発電、風力発電、廃棄物発電、バイオマス発電、太陽熱利用、
  廃棄物熱利用、バイオマス熱利用、雪氷熱利用、海水熱・河川熱
  その他の水熱源利用、廃棄物燃料製造、バイオマス燃料製造

 ●需要サイドの新エネルギー
  電気自動車(ハイブリッド自動車を含む。)、天然ガス自動車、
  メタノール自動車、天然ガスコージェネレーション、燃料電池

 言ってみれば、エネルギー源とエネルギーの効率的な変換技術を一緒くたにしている。しかも、廃棄物という本来エネルギーでないはずのものまで「リサイクルエネルギー」として対象にしている。挙げ句の果てに、その後国際的に再生可能エネルギーという概念が行き渡ると、再生可能エネルギーを「『供給サイドの新エネルギー』に水力(揚水式を除く)及び地熱を合計したもの」といった本末転倒の定義づけをした(2001年新エネルギー部会報告書)。

「新エネルギー」は国際会議や国際的な取り決めなどでは使えない。再生可能エネルギーとしてきちんと国の政策の中に位置づけるべきだとのNGOなどの指摘も受け、ようやく国はその見直しに入っていた。

 その中間報告案(5月26日付総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会中間報告案)の意見募集が、資源エネルギー庁のサイトで行われている。それによるとこれからは、新エネルギーを「再生可能エネルギーのうち、その普及のために支援を必要とするものとして整理する」とし、 小規模水力発電、地熱発電、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電(バイオマス由来の廃棄物発電を含む)、太陽熱利用、バイオマス熱利用(バイオマス由来廃棄物熱利用、黒液・廃材を含む)、雪氷熱利用、海水熱・河川熱その他の水熱源利用、バイオマス燃料製造(バイオマス由来の廃棄物燃料製造を含む)を新エネルギーとするとしている。

 報告案には「新しい再生可能エネルギー(New Renewables)」という言葉まで使われている。再生可能エネルギーに古いも新しいもないと思うのだが、過去のボタンの掛け違い(政策担当者の過ち)を糊塗するためか、こんな新語を編み出した。

 しかしそのおかげで、コストパフォーマンスも二酸化炭素削減効果も高い太陽熱利用などは隅に追いやられてしまった。小水力が「新エネルギー」に入ったのは当然だが、これも日本ではバカがつくほど高コストな現状を追認するだけになりはしないか。

 結局開発や設置に補助を出そうという枠組みだから、補助金を前提にした価格設定をして、コストを下げる創意工夫や努力は出てこない。いつまでたっても自立できず、補助金がなくなればそれっきりになる。太陽熱利用が良い例である。かつてオイルショック後のサンシャイン計画時に多額の補助金を得て太陽熱利用技術の開発プロジェクトを行った企業で、いま太陽熱事業を継続しているところはどこもないと、ある太陽熱の研究者が慨嘆したことがある。

 それが「新エネルギー」の現実だとしたら、「新しい再生可能エネルギー」の先行きも怪しいものだ。設置補助制度がなくなった太陽光発電も、太陽熱の二の舞になるのではないかと危惧する再生可能エネルギー専門家は少なくない。

 ドイツの「再生可能エネルギー法」は、再生可能エネルギーを起源とする電力をその発電コストに見合った価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務づけるものだ。このような固定買取制度(フィードインタリフ、フィクストレートなどとも呼ぶ)により、再生可能エネルギー発電事業が投資対象となり、風力・太陽光などの爆発的な伸びをもたらした。ヨーロッパ諸国は言うに及ばず、中国などでも固定買取制度が導入され、日本のように電力会社に再生可能エネルギー電力を一定割合導入することを義務づけるRPS制度(日本の場合、RPSというのもおこがましいほど導入目標が低く割当分の取引制度や罰則もいい加減だが)を導入する国は、ごくわずかである。今からでも遅くない、まっとうな「再生可能エネルギー法」に方向転換すべきである。それなら補助金も要らないのだから、そもそも補助金がムダになることもないのだが。結局今回の中間報告案はこれまでやってきたことの追認になっており、新味はない。やれやれ……。

本日のモーツァルト的気分:Great Mass in C minor, K.427 13楽章

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by greenerworld | 2006-07-24 09:29 | 環境エネルギー政策  

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