再生可能エネルギー(自然エネルギー)は、化石エネルギーや原子力エネルギーのような既存エネルギーに対して割高である。もちろん、これは既存エネルギーの資源確保のために投入される資金、電源立地対策や廃棄物・廃炉処理といったコストが含まれていないので、再生可能エネルギー側にとっては不公平きわまりない計算根拠なのだが、現実にその「割高さ」(あるいは既存エネルギーの不当な安さ?)が理由となって普及が進まない。とくに導入初期においてはなおさらだ。
それを補う政策がいくつかある。一つは環境を汚染する既存エネルギーに対してペナルティ的な税を課すこと。これは環境税や炭素税という呼ばれ方をする。ヨーロッパではほとんどの国が導入しているが、日本では経済界や経済産業省が反対しており、実現していない。逆に再生可能エネルギーの方はエネルギー税を優遇するという方法もある。 これに対して、電力会社やユーザーに一定割合で再生可能電力を供給または使用することを義務づける、再生可能電力割当制度(リニューアブル・ポートフォリオ・スタンダード;RPS)という制度がある。日本は2003年にこのRPSを導入した。 通常のRPS制度では再生可能電力を環境価値として証書化し、それを市場で売買することができる。つまり電力会社やユーザーは自分で発電したり直接買い取ったりしてもいいし、誰かが発電した分を証書として買い取ることも認められる。ところが日本のRPS制度は証書の売買を行う市場を持たず、導入目標も2010年でわずか1.35%ときわめて低いという、RPSとも言えない中途半端な制度である。 それはとりあえずおいても、RPS制度を持つ国自体が世界ではきわめて少数になっていることが、日本ではほとんど知られていない(いや、RPS制度のことや日本にRPS制度があることを知っている人だってどれほどいることか)。世界の主流はフィードイン制度である。なぜなのか。それは両制度の結果を見れば明らかだ。ドイツを始め、フィードイン制度を導入した国々における再生可能電力の伸びは著しい。さらにこれらの国々では再生可能エネルギーが産業としても比重を高めている。それに比較すればイギリスを筆頭にRPSを導入した国々の成果は見劣りするものでしかない(他に主要国ではスウェーデン、ベルギー、オーストラリアがRPS制度を導入しているがいずれもフィードイン制度のようなめざましい成果は見られない)。 日本ではわずかに太陽光発電のみが、再生可能エネルギー分野での成功例だが、それは設置資金への直接補助(kW補助)によるものだ。それも住宅用は05年度で打ちきりになり、06年度の導入はモジュール価格の上昇とも相まって、厳しい状況と伝えられている。モジュール価格の上昇と供給不足はシリコン原料の逼迫、ヨーロッパでの需要の高まりが原因である。日本メーカーは相変わらず世界シェアの半分近くを占めるが、今では3分の2がドイツを中心とした海外への輸出に回っている。日本で既存エネルギーを使ってつくられた太陽電池が、海外でクリーンな電気を発電しているのだ。しかも、その結果われわれは高い太陽電池を買わされる羽目になっている。フィードイン制度の国では、設置価格に見合ったkWh単価で買い取ってくれるのだから、値上がりは設置者の負担にならない。 フィードイン制度はドイツ、スペイン、イタリア、オーストリアなどヨーロッパの主要国で成功し、原子力発電大国のフランスも導入した。ドイツ、スペインでは風力発電に続き太陽光発電が急速に伸びているのだ。中国やインドもフィードイン制度を導入している。 再生可能エネルギー政策で、日本はいまやよく言えば唯我独尊、はっきり言えば仲間はずれの状況といっていい。日本でもっとも数が多いのは個人所有の「太陽光発電所」である。再生可能電力発電設備のオーナーである彼らすら、残念ながらこうした事実について知らないようだ。一部のNPOなどが太陽光発電による電力の自家消費分をグリーン電力証書化し、売買しようとしているが、何ともわかりにくい。 時代遅れのRPSから、国際標準であり効果も実証されているフィードイン制度へ。20万以上もいる太陽光発電所オーナーが集まれば、その声はけっして小さくないと思うのだが。 本日のモーツァルト的気分:Serenade No.9 in D major KV.320 第2楽章 なんとも分かりやすい再生可能エネルギー政策の解説してくださり、ありがとうございます。なぜ日本ではそのようにフィードイン制度をしっかりと採用確立できないのか、その原因はどこにあるのでしょうか。 都市計画の諸制度ど同じように、あるにはあるけど働いていないのと同じ状態(これが日本病なんでしょうが)と理解するしかないのでしょうか。 それはともかく、本日のモーツアルト的気分をどう選ぶのかも知りたいというか、新カテゴリー(モーツアルト)で出してほしいですね~ フィードイン制度が採用できない理由を説明し出すと、とても長くなりますし、まだ十分に分析できていません。それはなぜ、ドイツなどでフィードイン制度が導入できたのかという理由を知らなければならないからでもあります。ただ、一つだけヒントを。 最近のエネルギー危機とオイルショックの頃とが、とてもよく似た状況にあるということに気づきました。この30年余り進歩しなかったなあ、ということでもあるのですが。さて、オイルショック後76年にエイモリー・ロビンスが書いた論文がアメリカで大きな論議を呼び(このころロビンスはまだ30歳になってなかったんですよ、すごいな)、カーター大統領がそのアイデアを取り入れ、78年にPURPA法を成立させます。これは、効率の良い発電設備、再生可能エネルギー発電設備からの電力を電力会社は買い取らなければいけないというものです。 80年代前半にアメリカでは風力発電が大きく伸びました。80〜90年代のデンマークやドイツの風力発電の伸びも、同様の理由(制度)によります。フィードイン制度は、「ソフト・エネルギー・パス」や「カーター・ビジョン」を源に持っています。その基本は、分散型の小規模なエネルギー設備(コジェネレーションを含む)をきちんと社会のインフラとして位置づけ、電力ネットワークへの接続を保証するということです。ひるがえってわが日本の状況は、大電力会社が発電・送電・配電を支配し、それを支える電力インフラも百万kWの規模です。残念ながら電力が自由化されても、送電ネットワークは開放されず、圧倒的な資本力の前に、参入した新規電力事業者もみな苦戦、一部は撤退を余儀なくされています。これだけ巨大だと、そこに働く人たち・家族、下請け、関連メーカー、納入業者などの数は莫大です。このようなしがらみに加え、長い独占で電気のことは電力会社にまかせておけば間違いないという、他人任せの状況も生まれてしまった。この壁は厚く大きいですね。 なるほど、世界で一番進んだ社会主義制度(戦争中に築き上げたものと理解していいのかな?)が、自律分散的なソフトエネルギーパスを拒んでいるという認識ですね。かなり納得できます。やはりここを突き崩す努力を続けねばならないんだ。元気がでました。 ところで、ミクシィにも場を持っているのですか? いかにも今の電力会社の源は、1938年にそれまでの電力会社が統合されてできた国策会社「日本発送電」です。戦時体制に組み込んだわけです。戦後民営化されたとはいえ、日本発送電の地域区割りをそのまま9電力会社に引き継ぎました(その後沖縄返還に伴い10電力会社となった)。日本発送電を統括していた電気庁は今の資源エネルギー庁のルーツです。しかし、それ以前は地域地域に小さい電力会社がありました。家の中に会社の異なる2系統の電線が引かれていたなんてこともあったようですよ。
ミクシィはどんなもんかなと思って、IDを持っているだけです。ご招待メール送りましょうか?
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