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風力発電を逆風にさらさないために

 9月28日朝日新聞朝刊に「風力発電 向かい風」という記事が掲載された。自然保護団体などが生態系や景観の破壊につながると建設反対の声を上げている、という内容だ。「クリーンだけどエコじゃない?」というサブタイトルもついていた。少し時間がたってしまったが、このことについて少々。

 世界的な環境保全団体であるグリーンピースもWWF(世界自然保護基金)も、生態系の保全・野生生物の保護を活動の大きな柱とすると同時に、風力発電を始めとする再生可能エネルギーを強力に推進する立場をとっている。風力発電のメリット・デメリットを考慮した上で、これが気候変動などのより大きな環境破壊を防ぐために必要な技術であり施設であると認めているからだ。もちろん、大規模な自然破壊や貴重種の生存を脅かすような建設はあってはならない。たとえば、ワシやタカが風車のブレード(羽根)に衝突して死亡するような事故(バードストライク、バードキル)は避けなければならないし、また原生的な自然が残るような地域を切り開いて建設することも許されるべきではない。前者に関していえば、風車の建設場所や周辺の管理によってかなり防ぐことができるといわれている。渡りのコース(実は風況のよい場所が多い)での設置を避ける、ワシやタカの狩り場とならないよう風車の周辺に小型野生動物が立ち入らないようにするなどの対策が考えられる。



 バードキルに関しては、そもそも高圧送電線に衝突したり感電死する被害の方が多いともいわれる。だが、山岳地帯を貫く高圧送電線が話題になることは少ない。飛行機との衝突やエンジンへの吸い込みによる事故も少なくないはずだ。

 結局風力発電が迷惑施設になっていることが大きな原因の一つなのではないか。記事にもあるとおり、風車ビジネスのほとんどは商社やプラントメーカーの子会社が多い。結局地域に吹く風から得られる利益は地域外に持ち去られる。地元に落ちる固定資産税や土地の賃借料などわずかなものだ。地元住民が景観を台無しにされる、音や影が気になると考えるのは無理もない。
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 デンマークの民間研究機関・フォルケセンターのP・メゴー所長は、かつて「風力発電のNIMBY(Not In My BackYardの略、必要な施設でもうちの近所にはご免という住民感情を表す言葉)問題を回避するには、地域住民を関わらせることだ」と語ってくれた。デンマークで風力発電が普及したのは、地域住民が組合をつくって風車建設に投資したからだ。デンマークに行くと農村地帯に点々と風車が立っている風景を見ることができる(写真はユトランド半島北部)。日本でもこうしたコミュニティ・ビジネスとして風力発電事業が行われるなら、もう少し異なった状況になっただろう。そもそも日本では農地に風車を建設することがきわめて難しい。結果的に海岸線や山岳地帯など、景観や自然に影響を与える場所に計画されることが多くなるという面もある。

 イギリスもデンマーク以上に風の強い国だが、風力発電の導入はデンマークやドイツに大きく後れをとっている。イギリスでもやはり景観や自然の保護を理由に各地で風力発電建設反対運動が起きた。その陰に原子力発電推進派の存在を指摘する向こうの新聞記事を読んだことがあるが、その真偽はわからない。ただ、イギリスでもやはり地域と関係のない資本が風車建設を計画することが多かった。

 風車建設の是非も含めて、専門家も交えきちんと話し合うことが重要なのはいうまでもない。ビジネスだけに走らないよう、ガイドラインも必要だろう。そのためにも、より多くの地域住民が関わることができるしくみをつくるべきだ。

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by greenerworld | 2006-10-06 08:48 | エネルギー  

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