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2005年度の温室効果ガス排出は90年比+8.1%

 環境省から2005年度の温室効果ガス排出量速報値が発表された。

 これによると前年から0.6%増加、その主な理由が厳冬による灯油・ガスの消費増加によるものだという。全体で1990年比では8.1%の伸びだ。つまり国際公約であるわが国の京都議定書数値目標(2008-2012年に1990年比−6.0%)からすると、14.1%をこれから数年間で減らさなければならない。京都議定書における日本の目標はエネルギー起源の二酸化炭素(CO2)排出量はプラスマイナス0で、森林吸収や排出権取引などの京都メカニズムで5.5%削減することになっている。しかし、実際にはエネルギー起源CO2は13.9%も増えている。これに対して目標では+2.0%としていた代替フロン類は−66.9%と大幅に減っており、その分が効いている。メタンや一酸化二窒素も同様に目標以上に減っており、もし二酸化炭素排出が計画通りプラスマイナス0であったなら、森林吸収分は必要ないくらいだ。

 CO2排出が大幅に増えた要因は、家庭・業務の民生部門のエネルギー消費が大幅に伸びていることにある。個々の機器の省エネ性能は高まったが、それは新たな機器の普及と台数の増加(これは人口以上に世帯数が伸びていることとも関連がある)、大型化によって打ち消されてしまった。人口は減少局面に入ったが、世帯数はしばらく増え続ける。

 産業部門が−3.2%と減ったことも必ずしも企業の努力とは言えない。1990年と現在の産業状況を考えてみれば、高炉の閉鎖などもあって、エネルギー多消費型の素材産業は縮小、製造業の海外移転も進んだ。それを吸収するようにサービス産業化が進んで、業務部門のエネルギー消費は伸びた。



 2005年に運輸部門のCO2排出が前年より減ったのは、厳冬とガソリン価格の高騰で自家用車の使用が減ったからではないだろうか? だとすれば、燃料価格上昇は即効性はあるかもしれない。環境税導入はそれなりに効果を上げるのではないか。

 しかし、それでも残り時間を考えれば14.1%はあまりにも遠い数字だ。小手先の対策ばかりで、根本的な対策を先送りにしてきた結果である。京都会議以後も政府が本気で数字を達成しようとしていたとは思えない。アメリカが離脱したときも、あわよくばそれに乗っかろうとしたフシすら感じられた。1997年からであれば少なくとも10年はあったのだ。

 2010年目標はギブアップするしかない状況と思うが、それで全てをあきらめてはいけない。なぜできなかったのかをきちんと総括し、2025年、2050年に向けてしっかりとした目標と戦略を打ち出す必要がある。表向きは目標を放棄できない環境省としては、難しいところだろうが……。

 京都議定書から離脱したアメリカでは、カリフォルニアが温暖化対策法を成立させたことはすでに紹介した(06.9.1)が、ここでは京都議定書の目標にこだわらず、2020年を達成年度としている。京都議定書の目標より低いことは残念だが、これからの取り組みとして現実的な対応ではある。

 日本も長期的な目標と戦略を打ち出す必要があるだろう。そして、繰り返すが、なぜこんなにひどい結果になったのかの、総括はちゃんとしなければならない。そうした議論が今の政府にできるのかは、はなはだ疑問ではあるのだが。

 本日のモーツァルト的気分:Requiem In D Minor, K 626 第6楽章

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by greenerworld | 2006-10-18 12:11 | 環境エネルギー政策  

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