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刺身が食べられなくなる─世界の水産資源は2048年までに崩壊

 過剰な漁獲、沿岸開発、汚染物質の排出により、人類は海洋と海洋生態系を痛めつけてきた。果たしてこの先いつまでわれわれは海洋を食料の供給源や汚染の排出先(陸上や大気中に放出させた汚染物質も多くはやがて海にたどり着く)として、頼り続けることができるのだろうか。どうやら枯渇が近づいているのは石油ばかりではないようだ。

 米科学誌『Science』の11月3日号に掲載されたカナダのB. Wormらの論文は悲観的だ。彼らの研究によれば、魚類を始めとする海洋生物種とその数は急激に減少しつつあり、2048年までに商業利用されている水産資源が全世界的に崩壊するだろうと予測された。つまり、マグロの刺身も、サーモンステーキも、カニやエビも、食べられなくなるというのだ。

 彼らは50年以上にわたる5億以上の世界中の漁獲記録を分析した。その結果、沿岸における生物多様性の低下、水質の悪化、有害藻類の大発生、沿岸における洪水の発生、魚の死滅が起こっており、1950年に利用できた水産資源の29%が2003年までに崩壊したという。そして、2048年までに残りの全ても崩壊するというのだ。

 こうした海洋の生産性低下は、必ずしも過剰な漁獲が原因とは限らない。たとえば耕地にまかれた化学肥料や農薬が流れ出し、閉鎖的な海域を汚染したり、富栄養化させることも原因となる。底生生物やプランクトンが死滅し、水質を保ち酸素を供給する機能が失われることもある。沿岸の開発で藻場やサンゴ礁が失われることも原因の一つだろう。これらが連鎖的な作用となって、より大きな魚類の減少を招き、そこに過剰な漁業の圧力が加わり、生態系の崩壊を招く。行き着く先はもちろん、人類の経済・社会の崩壊だ。

 しかし、まだこの傾向を逆転させる時間はある、と研究者たちは言っている。保全海域の設定、持続的な漁業経営、海洋汚染のコントロールをすることで、全面的な崩壊を防ぐ手だてをすべきだという。気候変動もマイナス要因であり、これを食い止める努力も必要だ。

 Source:Boris Worm et al. ; Impacts of Biodiversity Loss on Ocean Ecosystem Services, Science Vol. 314, 3 Nov. 2006

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by greenerworld | 2006-11-03 16:45 | 生物多様性  

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