管理者へのメール / 管理者のプロフィール


人類は地球の再生能力を超えて消費している

 WWF(世界自然保護基金)の「生命の惑星レポート(Living Planet Report)」2006年版の報告は深刻な内容だ。2003年の世界人口一人あたりが使っている地球上の生産面積(エコロジカルフットプリント)は2.2グローバルヘクタール。この値は一人の消費する資源の生産および排出する廃棄物の処理に生態系がどれだけの面積を必要としているかを表している。この合計を地球が提供できる生産・処理面積で割った指標は1.25。つまりわれわれ人類は地球の生産・処理能力の1.25倍もの消費をしている。エコロジカルフットプリントは1980年代半ばに1.0を超え、以後ずっと上昇し続けている。その増加の勢いは衰えない。われわれは地球のストックを急速に消耗させていることになる。

 もし家計なら、毎年の収入に加えて預貯金を取り崩していることになる(他の「星」から借金はできないから)。企業なら大きな赤字を毎年垂れ流し続けているということだ。ストックの大きさがどれほどあるのか正確にはわからないが、この場合は預貯金や資本金と異なり、生きている生物種や生態系、あるいは化石資源ということになる。つまり地球のバイオマス総量。やっかいなのは、これらが相互に関係を持っていてこそ、地球全体の生産力が成り立っているということだ。どこかで崩壊が起こると連鎖的に生産力が低下し、ストックが劇的に枯渇するおそれが強い。いやすでにその段階に入ってしまった可能性がある(刺身が食べられなくなる─世界の水産資源は2048年までに崩壊参照)。



 このままで行くと、エコロジカルフットプリントは今世紀半ばに2.0に達すると予測されているが、このレベルに至ると大規模な生態系の崩壊が危惧されている。刺身だけでなく、他の生物資源も(農業生産さえ)得られなくなるかもしれない。そうなれば、気象変動の影響が本格的になると予測される今世紀末を待たずに人類は破滅。われわれは衣食住も、さまざまな資源もほとんどを生態系の生産力に依存している。そのことをあまりにも軽視していないだろうか。

 実際に同レポートのもう一つの指標「リビングプラネット指標」は、地球に住む313種の脊椎動物─ほ乳類、鳥類、は虫類、両生類、魚類─の数が、1970年から2003年までに30%も減少したことを示している。

 同レポートは二つのシナリオを提示している。一つは現状の傾向をスローダウンさせるもの、もう一つは早急に持続可能性にシフトするシナリオだ。しかし、後者へのシフトが可能だとしても、時間がかかる。すでにあるさまざまな資本(建物、道路、発電所、車のようなインフラ)は、数十年の期間で使用されるものだから、これをすぐに持続可能なものに転換することができない。

主要国の一人あたりエコロジカルフットプリント(グローバルha/人)

 世界平均 2.2
 アメリカ合衆国 9.6
 中国 1.6
 インド 0.8
 ロシア 4.4
 日本 4.4
 ブラジル 2.1
 ドイツ 4.5
 フランス 5.6
 イギリス 5.6
 メキシコ 2.6
 カナダ 7.6
 イタリア 4.2

WWF http://www.panda.org/

[PR]

by greenerworld | 2006-11-15 18:23 | 生物多様性  

<< 2050年までに太陽熱発電で全... EUの太陽熱利用2005年は2... >>