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半ペーまたは黒はんぺんのこと

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 おかげさまで(誰のおかげか知らないけど)静岡の黒はんぺんはだいぶ有名になった。

 静岡県では、はんぺんといえば黒はんぺんだから、わざわざ黒はんぺんとは言わない。私の子どものころは「半ぺー」と呼んでいた。

 何十年も前のこと、東京で過ごした初めての冬に、下宿に友人が来ておでんを作ろうということになった。総菜屋でおでん種を買い求め、「はんぺんありますか」というとなにやら見慣れない、まるでマシュマロのように白くてフワフワしたものを渡された。思わず「なんですかこれ?」と尋ねてしまった。総菜屋のおやじさんの答えはもちろん、「なにってはんぺんに決まってるだろ」。私に言わせればあんな頼りないものは「半ぺー」ではない。私はこちらの方をかたくなに「白はんぺん」と呼んでいる。

 さて、半ペー、黒はんぺんは何からどうやってつくられるのか。イワシのすり身が原料に含まれているであろうことはすぐにみてとれるが、うかつなことに製法をよく知らないのだった。





 厚手の歯ごたえのある半ぺーを作っているさすぼし蒲鉾(静岡県由比町・写真がその製品)のホームページに、製造過程が紹介されている。原料はイワシとミナミダラとあるが、9割は目の前の駿河湾でとれたイワシだそうだ。内臓と頭を取ったイワシを骨ごとすりつぶして石臼で撹拌し、ヘラとお椀のふたで成形して、熱湯でゆでる。簡単なようだが、手作業なのに形も大きさもしっかりそろっている。原料のイワシの状態で微妙に味付けを変えるところは、長年の勘だとか。さすぼしさんの半ぺーは、時々かすかにじゃりっとした歯触りがあり、魚を丸ごと食べているんだなあ、と実感できる。

 ただ、私が昔食べていた半ペーはもっと薄くてぺらぺらな感じであった。じゃりじゃり感もなくむしろ弾力がある。実家のあたりではかつては焼津からおばさんたちが魚といっしょに担いで売りに来ていた。それが薄手の半ぺーだったのだ。それで私はひそかに「焼津系」と呼んでいる。いまでも実家近くのスーパーで売っている半ペーはその系統だ。だが、清水や由比あたりではここさすぼし蒲鉾のような厚手のものが主流のようで、こちらは「由比系」と呼ぶことにした。

 その後調べてみると焼津系、実はイワシではなくてサバが主原料なのだ。道理で風味や歯ごたえも異なるわけだ。二つの系統がどこで分かれるのかは、いまだ定かでない。静岡駅北口の商店街にある2軒の練り物屋の一方が「焼津系」、他方が「由比系」である理由もまだ確かめていない。そもそもそんな系統はないのかもしれないのだが、探ってみたいテーマではある。

 最近は白い半ぺーもあるが、これは東京の白はんぺんとは違う。形も触感も黒はんぺんとよく似ていて、東京的には「白い黒はんぺん」としか言いようがない。お使いものにはいいが、自分で食べるならやはり黒はんぺん=半ペーがいちばんだな。

 料理法については、こちらを。

 半ぺー─料理編 http://greenerw.exblog.jp/4032753/


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by greenerworld | 2006-12-09 08:14 | スローフード  

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