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[DVD]誰が電気自動車を殺したのか? 

f0030644_10253169.jpg 「Who Killed The Electric Car?(誰がその電気自動車を殺したのか?)」。定冠詞がついているのは特定の車を指しているからで、GMのEV1のことだ。1996年に市場に投入されたバッテリー電気自動車EV1は、2シーターのスポーツカータイプ。キュートで、速く、静か、しかもクリーン。アメリカの交通輸送の未来を変えるかもしれないと思われた革新的な車であり、事実一部のカーユーザーに熱狂を持って迎えられた。しかし、GMは2004年末を持ってリースを終了することを決定。EV1は全てリースという契約方式であったため、ユーザーは回収を拒むことができなかった。回収されたEV1は次々とスクラップにされていく。元ユーザーたちは、EV1を救おうと立ち上がり、キャンペーンを始める。そして残されたEV1を守るために、24時間の監視態勢を続けるが、とうとう……。



 この映画は、EV1が「殺された」理由を追うドキュメンタリー。最後の方では数々の「被疑者」たちが裁きを受ける。石油産業、GM始め自動車メーカー、アメリカ政府、カリフォルニア州大気保全委員会、消費者、バッテリー、燃料電池。無罪だったのは一つだけだ(どれでしょう?)。

 ただEV1は殺されたが、電気自動車は死ななかった。ハイブリッドカーという形で生き残ったのだ。GMがEV1を回収・スクラップにしていたころ、トヨタのプリウスは全米で売上を伸ばし始めていた。ビッグスリーはハイブリッド技術で日本勢に完全に後れを取った。その後石油価格の急騰もあり、大型車ばかりつくっているビッグスリーの売上が低迷したのはご存じのとおり。巨大化して時代の動きに対応できなくなった、アメリカの石油─自動車産業複合体を象徴するような話である。中間選挙で共和党が敗北し、ブッシュ政権はレームダック化した(ただし、この映画はもっと前の話)。ブッシュはエタノールが石油に代わる国産燃料だと唱えたが、一方で自動車業界はプラグインハイブリッドカーという、新世代の電気自動車に向かって動き始めている。

 「地獄の黙示録」やテレビドラマ「プレジデント」のマーチン・シーンがナレーターを務めている。また、トム・ハンクスやメル・ギブソンもEV1のサポーターとしてインタビューされている。映画は今年春アメリカでソニーピクチャーズが公開し、DVDも同社から出ているが、残念ながら日本語版がない。アマゾンで取り寄せたが、リージョンコードは1なのでパソコンのDVDプレーヤーで再生した(なぜか、私のMacBookのDVDドライブはデフォルトがリージョンコード1に設定されているのだ)。監督は自身もEV1ユーザーだったクリス・ペイン。93分。

 本日の気分はラベルのBolero

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by greenerworld | 2006-12-11 10:27 | レビュー  

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