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アメリカがトウモロコシを輸出できなくなる日

 アメリカでは燃料用エタノールの需要が高まり、生産もうなぎのぼり。2001年から2005年にその生産量は倍増したが、今後2〜3年でさらに2倍になると考えられている。すでに全米で100ものエタノール工場が稼働しており、58工場が建設中で、さらに150工場が計画中というからすごい。ブッシュ大統領がぶち挙げた、RFS=再生可能燃料ポートフォリオでは2012年に75億ガロンを目標にしているが、建設中の工場が稼働を始めるとトータルで90億ガロンの生産能力が見込まれ、目標をはるかにしのいでしまう。そればかりか、計画のある工場が全て完成すると190億ガロンの生産能力に達するという。いやはやアメリカ人が一つの方向に走り出すとものすごいことになる。「政策の効き過ぎ」である。

 アメリカでのエタノールの原料はほぼ100%トウモロコシだから、当然ながらトウモロコシの値段も上昇している。これが他人事でないのは、日本の畜産飼料がアメリカからのトウモロコシに大きく頼っているからだ。すでに飼料価格が高騰して畜産・養鶏農家は悲鳴を上げている。今後アメリカ国内でのエタノール生産が増えると、まず輸出分が食われてしまう。日本に入ってくる資料用トウモロコシが不足しますます高騰することが懸念される。統計を見ると、すでにここ数年アメリカからのトウモロコシ輸入は減少しているが、これに加えて昨年あたりは中国からもトウモロコシが入ってこなくなった。



 穀物以外の茎葉を原料にするセルロース・エタノールの生産が本格化するまでしばらくかかる。その間はトウモロコシがエタノール原料の中心になる。アメリカの農家がトウモロコシの作付け面積を増やすという見通しもあるが、栽培には灌漑用水も必要。天候にも左右される。エタノール需要が旺盛なだけに、それがどれだけ需給緩和に役立つか不透明だ。

 トウモロコシの需要の半分はアメリカ国内での飼料用。当然ひっ迫する需要で飼料価格が高騰しているから、アメリカ産牛肉の値段も上がる。オーストラリアも干ばつで穀物の収穫量が激減しており、オージービーフも頼りにならない。

 農水省も「エタノールブーム」に浮かれていないで(なにしろ農水にとっては久々の攻めの材料だから)、飼料自給の方策を真剣に考えた方がいい。自動車燃料よりまず国民の食でしょう。

 肉がなければ魚があるというわけにはいかない。マグロは絶滅が危惧されるまでとりすぎて漁獲規制。一方で頼みのイワシも資源量が激減して、こちらも絶滅すら心配される状況。いよいよ食べるものがなくなってきた。そうだ、黒はんぺんは大丈夫なのか?

参考:
Staying Home ; How Ethanol will Change U.S. Corn Exports, Institute for Agriculture and Trade Policy, Dec. 2006
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by greenerworld | 2007-01-17 10:09 | エネルギー  

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