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電力解体を議論すべきではないか

 国の再生可能エネルギー(政府は相変わらず「新」エネルギーという用語に固執しているが)電力導入義務量の見直しが発表された。いわゆるRPS法(新エネルギー等特措法)により、2010年までに電力会社は販売電力の1.35%を再生可能エネルギー由来のものにすることを義務づけられているが、その後は決まっていなかった。共同通信によると、とりあえず2014年までの目標が決まったが、総販売量の1.63%に相当する160億kW時。実に微々たるもので、国際的にも恥ずかしい義務量となった。朝日新聞では、見直しの過程で電力会社の強い影響があったと、報道されている。

 EUではRPSのようなしばりはないが、域内における2010年目標は21%である。現状ではわずかに届かないものの、19%程度には達しそうだという。もちろん水力資源に恵まれた国は高く設定されているなど国によってばらつきはあるが、たとえば2010年目標が12.5%であるドイツでは、2006年時点ですでに11.6%が風力を始めとする再生可能エネルギー由来の電力になっている。その他の国々やアメリカの州でも、日本とは文字通り桁違いに高い導入目標を掲げている。

 これまでも書いているが、いま日本のようなRPS(再生可能エネルギー電力比率や量の割当)を制度として持つ国はむしろ少数で、ドイツのような電力会社に固定料金で再生可能エネルギーからの電力の買い取りを義務づける固定買取制度を導入している国が主流だ。その方が再生可能エネルギー電力の普及にはるかに効果的なことがドイツの成功で明らかになり、多くの国が追随しているのが現状。ひとり日本がRPS、それも証書を売買する市場を持たない不完全なかたちの制度に固執しているのだ。一体なぜだろうか。



 そもそもこの「RPS法」が成立する過程では、ドイツのような固定買取制度を義務づける再生可能エネルギー推進法を導入しようという議論が、NGOと超党派の議員連盟の中で先行していた。その再生可能エネルギー推進法をつぶしたのが電力会社の意を受けた議員たち、そして変化を好まず、既得権益を手放そうとしないエネルギー官僚たちの横槍であった。

 1月29日にパブリックコメントが締め切られた「エネルギー基本計画」でも、原子力発電をわが国の基幹エネルギーと位置づけ、詳細に施策を描き込んである一方、「新」エネルギーに関しては、わずかな記述にとどまる。

 結局、電力・資源エネルギー庁の原子力発電複合体による、再生可能エネルギーつぶしといわれてもしかたがない。原子力の呪縛が、本来最も環境に負荷をかけない再生可能エネルギーを片隅に押しやる。その原子力発電所の運転データが改ざんされ、あるいは故障を偽装していたことが明るみに出ている。いや原子力発電だけではない、そもそも今回の発端はダム。その後火力発電所、原子力発電所でもデータの改ざんが発覚した。

 電力会社の安全軽視・隠蔽体質は一向に改まらない。彼らが守ろうとしているものはいったん何なのだろうか。電力自由化も、制度的には進んでいるように見えても実態は遅々として進まない。送配電網をがっちりと押さえた電力会社の力は余りに強大である。再生可能エネルギーで発電した電力を売りたいと思っても、途中の道が閉ざされているのだ。

 電力会社は電気事業法で保証されている潤沢な資本と利益を使って、オール電化、エコキュートを宣伝しまくっている。「電気を大切に」といいながら、電気を浪費させる機器だ。ヒートポンプは確かにすばらしい技術だが、温水をつくるならCO2も核廃棄物も出さない太陽熱の方がずっとクリーンだ。だが、太陽熱はエコキュートにほぼ駆逐されてしまった。国も全く力を入れていない。電気だけでなく、熱においても国は電力会社の肩を持って、本気で再生可能エネルギーを導入しようとはしていない。

 硬直化した日本の電力市場を明るく見通しのよいものにし、活性化するために、そして国際的にも恥ずかしくない再生可能エネルギーの導入を進めるためにも、電力会社の解体を議論すべき時ではないだろうか。少なくとも、送電部門を分離し、中立的な機関による運営に変えるべきだろう。日本中に張りめぐらされた送配電網は、そもそも電気事業法下に決められた枠組みの中で、国民が払った電気料金で整備されたものであり、半公共的財産だ。原子力発電も、電力解体の中でいったん国有化して、電力会社の負担を軽くすることも検討すべきだろう。電力会社からも、原子力の呪縛を解きはなってやらねばならない。しかしそんな発想が資源エネルギー庁(もちろん自民党や民主党からも)から出てくるとは思えない。

 それにしても解せないのは、原子力への拘泥である。核燃料は国産でもなく核燃サイクルは破綻しかけているのに「準国産エネルギー」とこじつけ、突き進む。ほとんど思考停止になっている。日本のような地殻変動の激しい日本列島で、核廃棄物を地下埋設して、何百年間も(実際には半永久的に)安全なところなどあるのか。
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by greenerworld | 2007-02-01 19:41 | 環境エネルギー政策  

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