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奥多摩のシカによる環境劣化

 4月6日に奥多摩の日原に行ってきた。天祖山への登山道は取り付きから急斜面で、あちこちにハシリドコロが顔を出し早くも花が咲いている。

f0030644_15195339.jpg 登り始めてすぐ5〜6頭のニホンザルの群れと出会った。標高1000mを超えると数日前の雪が残っており、1300mあたりから15cmくらいの積雪に。雪山装備はしていなかったので、滑落したらしゃれにならないと頂上手前でで引き返した。山を甘く見てはいけません。




f0030644_15226100.jpg 入山の目的はシカの食害の様子を見ること。東京都の調査では、天祖山から水松山にかけてと、雲取山周辺でシカの生息密度が高い。確かに林床をかつておおっていたはずのスズタケなどのササがまったく見られない。灌木も毒があってシカが嫌うアシビぐらいだ。そういえばハシリドコロも有毒である。やはりシカが食い残した結果増えているのだろう。

f0030644_15222389.jpg 唐松平に入ると、ところどころ無惨に樹皮がはがされた木がある。シカがかじった痕らしい。ぐるりとはがされて、そのまま立ち枯れた木もある。根元を掘り返した跡も見つけた。周辺にはまだ新しいシカの足跡。。食べるものがなくて木の根を掘り返したのだろうか。

 奥多摩地域にシカが増えているという。林床のササや灌木の葉や芽を食い尽くし、踏み荒らすことで、表土が崩れ、雨とともに流出する。林床の多様な植生も失われてしまう。畑にも現れて作物を荒らしてしまう。

 スギやヒノキの植林地伐採地では、もっと深刻な問題が起こっている。植林地を皆伐すると草原のような環境となり、休眠していた草や灌木が生えてくるため、シカにとって絶好の食事場所となるのだ。草や灌木は食い尽くされ、苗木も食い荒らされ、踏み荒らされて、やがて砂漠のような状態になり、大雨が降って斜面ごと崩壊してしまうのである。f0030644_15311151.jpgもちろんシカにとっては、餌があるからやって来るのである。傾斜のきつい斜面に植林して、そこを皆伐するという林業のやり方を変えなければならない。

 奥多摩湖に近い地区に移動し、途中の民家で話を聞いたら、このあたりは最近シカがあまり出なくなった、という。以前は畑も荒らされたし、向かいの斜面でよく草を食んでいたそうだ。畑にはぐるりと電柵がめぐらされていた。東京都では昨年からシカの有害駆除事業も開始した。

 シカの群れが多摩川の南岸に移動しているという話もある。この地域のシカは埼玉・山梨との県境地帯を移動しながら生活しており、実態の把握は難しい。駆除の効果ではなく、単に餌を食い尽くしたから、ほかへ移動していったということかもしれない。

 シカをはじめとする野生生物による被害は東京都だけではない、シカ、サル、クマやイノシシが人里に進出し作物を荒らしたり、ヒトに被害を及ぼすケースが増えている。自然のバランス、というより、ヒトと野生のバランスが崩れている。
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by greenerworld | 2007-04-08 15:36 | 生物多様性  

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