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尊徳先生エネルギーを語る

 『二宮翁夜話』に面白い話が出ていた。江戸時代末期、小田原に生まれ下野(今の栃木県)などで藩や村落の立て直しに実績を上げた二宮尊徳(金次郎)の教えを弟子の福住正兄がまとめた本である。

 越後の国に弘法大師の法力によって水油(石油のこと)が湧き出るようになったところがあり、今も絶えないそうだと聞かされた尊徳先生曰く、

「それは確かに不思議な話だが、そこだけのことではないか。私のやり方は違う。どの国であっても荒れ地を耕し菜種を蒔いて育てれば種1斗あたり油2升はとれて、いつまでも続けられる。これは日本に伝わる根本の道であって、日月の光のある限り、この世界がある限り間違いなく実行できる。なので弘法大師のやり方より優れている」(同書・天の巻第一篇八、原文は文語なので口語に意訳しました)

 このあと報徳の話に続く。すでに実績を上げたあとの晩年のことなので自画自賛の向きはあるが、その考えは現代に十分通じるなあと思った次第。



 菜種油は当時、灯火の燃料(灯油)として使われていた。二宮尊徳の若きころのエピソードにも、自分自身の勉強に使う灯油を得るために荒れ地を開墾して菜種を栽培する話がある。今で言えばバイオ燃料というところですな。石油はどこにでもあるというものではない。それに対してこちらのやり方は再生可能で持続可能、しかもどこでもできるではないかとぴしゃりと言い切る。卓見である。しかし、さすがの尊徳先生もその後アメリカや中東で石油が大量に掘削されて、こんなにエネルギーを使う世の中になるとは思っても見なかっただろう。二宮尊徳が亡くなったのは大政奉還に先立つこと11年の1856年だが、その3年後にはアメリカで石油の機械掘りが始まっている。今の世の中に現れたら、尊徳先生なんとおっしゃるだろうか。

 それにしても、弘法大師はあちこちで温泉を掘り当てたり、ため池をつくったりしている(と伝えられている)が、油田まで掘り当てているとは知らなかったな。
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by greenerworld | 2007-06-07 09:52 | エネルギー  

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