管理者へのメール / 管理者のプロフィール


原発に頼って大丈夫なのか

 中越沖地震で東電柏崎刈羽原発の運転が止まった。今回の地震の規模が建設時の想定を上回る大きさだっただけでなく、原発直下に断層が走っている可能性が高くなった。東電は断層の深度が深く、地上への影響は考えられないというが、そんなことは起こってみて初めてわかることだ。大地震の震源になるかもしれない場所の真上に原発が立っている。こんな恐ろしいことはあるまい。

 これでますます不安に思うのは、静岡県の浜岡原発である。ここは東海地震の想定震源域のほぼ中央にあるのだ。もちろん日本中どこに行っても、地震からは逃れられない。能登半島地震でも、近くには志賀原発があった。他にも想定していなかった地震が起こる可能性は否定できない。地震大国日本に原子力発電があること自体がヤバイんじゃないの。



 こんな状況にもかかわらず、日本は地球温暖化対策を原発と省エネルギーで乗り切ろうとしている。しかし、原発は省エネルギーと相容れない。まず、原発は大量の排熱が出るがこれを使うことができず、そもそも非効率な発電設備である。ヨーロッパでは(フランスを除いて)、適正規模の発電所をつくり、電力と熱を供給するCHP(熱電併給)プラントの建設が進んでいる。熱電併給は最大で80%程度のエネルギーを利用できる。しかし、原子力発電では、遠距離送電の電力ロスも考えると投入エネルギーの35%程度しか利用できない。また、需要に合わせた調整ができず、ピークに合わせれば、オフピークには大量に電力が余る。それに、結局細かい調整は比較的小回りのきく天然ガス発電でまかなわねばならず、また今回のようにトラブルで止まったときの対策のためのバックアップ設備も備えなければならない。設備投資にも設備の維持管理にもよけいなコストがかかるのだ。

 使う側にしても、オール電化が省エネになるとは限らないし、CO2削減にも寄与しないという調査もある。だいいちCO2削減に効果が高い太陽熱利用と共存できない。再生可能エネルギー利用や中小規模な分散型発電による熱電併給など、他にもっと効率のよいやり方があるのに、原発の存在がそれらを否定してしまうのだ。

 しかも、原発が世界的規模でも地球温暖化対策の切り札になり得ないという声も高まってきた。そもそも燃料のウランに限りがある。ウランの可採年数は現状で60年程度。中国、アメリカなどが原発建設を進めようとしており、新規鉱山の開発があったとしても、資源量は心許ない。実際に近年ウラン鉱石の価格は高騰している(ちなみに発電燃料の主力である石炭価格も高騰しているので、数年後には電力料金の値上げも予想される。オール電化にしたお宅は覚悟しておいた方がいいですよ)。価格が上がれば、より純度の低いウラン鉱石も利用されるようになるだろうが、精製のためにエネルギーを使い、CO2を排出するのでは何もならない。

 核廃棄物の処理には相変わらず全くめどが立っていない。世界中で核廃棄物が増え続ければ、放射能漏れの危険が高まることはもちろんだが、これがテロリストの手に渡れば、「汚い爆弾」=通常の爆弾に放射性物質を詰めたもので、核爆弾と違い簡単につくれる=として使われるおそれがある。これが使われたら、汚染地域には人が住めなくなる。東京やニューヨークのような大都会で、そんなテロが起こるかもしれないのだ。

 オックスフォードリサーチグループは、現在世界で稼働している原子炉の多くは耐用年数を迎えつつあり、予想されている電力需要増に対応するためには、今後60年間で3000、つまり毎週1基の原発を建設しなければならないとしている(そんなことが可能でしょうか?)。また、高純度のウラン鉱石は25年以内に払底するため、高速増殖炉への要求が高まると述べている。ナトリウム漏れを起こして停止した実験炉「もんじゅ」のタイプである。ウラン235の含有率が低くてもかまわないどころか、通常反応しないウラン238をプルトニウムに変えて、新たな燃料に使うことができるという「夢の原子炉」だ。しかし、高速増殖炉は制御が難しく、核暴走が起こりやすいため、多くの国で開発がストップした。しかも燃料の再処理の過程で、大量の死の灰が環境に放出される。

 プルトニウムは長崎型原爆の燃料であり、汚い爆弾として使われた場合にも大きな被害をもたらす。もし高速増殖炉が実用化され多くの国で使われるようになったら、それは世界のあちこちでプルトニウムが短期間に大量につくられるようになることを意味する。原子力に未来のエネルギーを託すことの危うさをもっと考えましょう。
[PR]

by greenerworld | 2007-07-19 11:18 | 環境エネルギー政策  

<< 牛肉1kgにCO2が36kgつ... 政府庁舎に太陽光? 他にやるこ... >>