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ヨーロッパの洪水と地域熱供給の関係

 英国イングランドでは断続的に集中豪雨が起き、河川の水位が上昇、洪水の被害も拡大している。まるで、日本の梅雨末期のような気象だ。

 これで思い出したのが、昨年訪れたオーストリア・ザルツブルク郊外のタルガウという町。数年前に集中豪雨で洪水が起こった。これまで経験したことのないことだった。湿度も高く洪水も頻発する日本では、床を高くすることはあっても地下室を設けるという伝統はない。しかしヨーロッパでは、地下室をもっている家が多く、物置や機械室として使われている。給湯や暖房のために使われるボイラーや燃料もたいてい地下に置かれている。タルガウでは人命には影響がなかったようだが、家屋への浸水が起こり、灯油が流れ出したり、ボイラーが台無しになるといった被害があったという。

f0030644_9285290.jpg タルガウではいま多くの建物が町外れにある「熱プラント」から熱を供給してもらっている。ガスの配管のように熱水を送る配管を地域に張り巡らせ、各家庭やビルはそこから熱交換によって、給湯や暖房のためのお湯を得る。カロリーメーターで使った分を計測し、精算する。この方式だと、各建物がボイラーや燃料をもつ必要がない。洪水対策でもあるのだ(写真は家庭用の熱交換器の内部。小型のガス湯沸かし器ほどの大きさ)。

 ヨーロッパではこうした「地域熱供給」システムが普及している。近くに廃熱の発生する工場などがあればそれも使える。発電しながら廃熱を熱供給に回す熱電併給(CHP)プラントも多い。日本では発電所で生じる廃熱は環境中に捨てられているが、CHPであれば熱がムダにならず、エネルギー効率は7〜8割に高まる。また多くの熱供給プラントでは、地域のバイオマス資源が燃料として利用されている。

 地域熱供給が普及しているのは、個々にボイラーを持ち燃料を焚くよりもエネルギー効率もよくコストも低い、さまざまな燃料が使いやすいといった理由からだが、気候変動が進むにつれ、ヨーロッパでこれまで経験がなかった集中豪雨や洪水が起こるようになって、もう一つのメリットにも光が当たっているように思う。地震の多い日本では、そのまま、まねするわけにはいかないとも思うが。
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by greenerworld | 2007-07-27 09:45 | 気候変動  

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