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めざせ! オール「非」電化住宅

 電気は便利だ。テレビ、冷蔵庫、洗濯に掃除、あかり、冷暖房に調理まで、ありとあらゆることが電気でできる。しかもスイッチ一つ、リモコン一つで。

 というわけで、われわれの生活は電気なしでは成り立たなくなってしまった。家庭のエネルギー需要に占める電力比率は高まり続け、CO2排出量も増えている。電気の使用量を減らすにはどうしたらいいか。電気を使わなければいいのはわかっていても、いまさらなかなかできるものではない。省エネにも限りがある。エアコンの台数が増え、テレビが大型化し、皿洗い機や温水洗浄便座まで、さらに電気を使え使えとせき立てられている。そのたびに電力消費量は上がり、CO2や核廃棄物がはき出される。東京電力のCMで、でんこちゃんが「電気を大切に」と呼びかけるのもむなしく聞こえる。

f0030644_11581730.jpg こんな時代に、「非」電化グッズの研究開発に力を注ぐ発明家がいる。その名も「非電化工房」を主催する藤村靖之さん。今年、栃木県那須に自宅と工房を移転した。池畔に建つ自宅と工房には、数々の「非電化製品」が。非電化冷蔵庫は、放射冷却を利用して冷水をつくり、それで中のものを冷やすしくみ。同じ原理でモンゴルの遊牧民が使える簡便な非電化冷蔵庫を開発した。寒いモンゴルでも、夏には羊の肉が腐る。これは羊一頭分の価格で現地の人がつくり、羊二頭分の値段で売る。貧しい遊牧民が買える値段で、しかも現地にビジネスを根付かせるために、現地で調達できる資材を使いぎりぎりまでコストを削ったという。乾燥地帯だけに夜間の熱放射は大きい。簡便なつくりでも十分に役に立つ。



f0030644_1212648.jpgf0030644_121425.jpg 他にも、非電化クーラー(やはり放射冷却を利用したもの)、非電化除湿器(除湿剤を使い、効果がなくなれば太陽光で復活させることで何回でも利用できる=写真下)、非電化食品乾燥機や滅菌装置(太陽光を集光して高温を作る。ソーラークッカーと同じ原理)等々。


f0030644_124252.jpg もちろん、全てが非電化でできるというわけではない。しかし、電気の使用を最小限にし、使うなら自給できる分だけをうまく使うことで、格段にエネルギー消費を減らすことができる。そしてこの技術は何より、電気を使いたくても使えない発展途上国の貧しい人々の役に立つ。衛生状態の向上、緑の保全、農産物の保存や加工に利用でき、産業の振興にも結びつく。当然ながら、藤村さんには発展途上国とくにアフリカの国々から指導の要請が引きも切らず、年に何回かはアフリカ通いだ。

 痛感したのは、非電化生活には創意工夫が満ち満ちているということだ。われわれは便利な電気と引き替えに、クリエイティビティを売り渡してしまってはいないだろうか。「世の中に楽しい選択肢を増やしたい」という藤村さんの優しい目が、電気に飼い慣らされた奴隷生活から解放してあげますよと語っているように思えた。

 藤村さんはここを拠点に、ワークショップを開催するなど国内にも非電化技術のネットワークづくりを進める。敷地内に、非電化カフェや非電化ショップに非電化B&B(宿泊施設)も建てる予定だという。那須を訪れる楽しみが増えそうだ。

 本日の気分はパヴァロッティを悼んで:Puccini ; Turandot 'Nessum Dorma!'
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by greenerworld | 2007-09-09 11:56 | エネルギー  

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