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バイオ燃料──二つの懸念

 チンパンジーの行動研究の先駆者で、その保護活動にも力を注ぐジェイン・グドール博士が、アメリカのクリントン・グローバル・イニシアティブで開かれたシンポジウムで、バイオ燃料による熱帯林破壊の懸念を訴えた。

 化石燃料を燃焼させるだけでなく、森林破壊そのものが温室効果ガス排出の原因のうち20%も占めている、と博士は言う。しかも、森林は先住民、野生動植物の生活の場でもある。このままのペースで森林破壊が続けば、われわれが生きているうちにチンパンジーなどの動物は絶滅するだろうと。

 サトウキビやパームの場合、生産から燃料の生成の過程での化石燃料消費が少なく、温室効果ガス削減効果は高いとされている。しかし、サトウキビやパーム栽培のために、ブラジルやインドネシア、ボルネオの森林を切り倒すことは、地球温暖化を防ぐことにならないどころか、加速することになるかもしれないのだ。それどころか、取り返しがつかない土壌浸食や生態系の破壊をもたらす。「バイオ燃料ならなんでもよいということにはならない。その原料がどこからもたらされるかによる」(グドール博士)

 だが、熱帯林を破壊しないバイオエタノールであっても、問題は多い。トウモロコシ起源ではほとんど温室効果ガス削減効果がないという調査結果もある。小麦やテンサイなども同様だ。しかも、穀物価格の急騰を招き、さまざまなところに影響が出始めている。日本でスナック菓子やインスタントラーメン、肉製品などが値上がりし始めているのはその一部にすぎない。

 アメリカでは穀物価格上昇で、予算で購入できる援助向け食料が減っているという。今年は2000年に比べて半分に減ってしまった。紛争地域などに暮らす、貧しい人々向けの食料援助が大幅に減っているのだ。

 穀物価格上昇で潤う農民もいるが、それは近代化が進み資本もある先進国の大規模農民だけだ。多くの発展途上国の零細な農民たち、小作農民たちはむしろその悪影響を受けるだろう。ましてや土地をもたない都市の貧困層は穀物価格の上昇に直撃される。

 中東の石油への依存から脱却するために、自動車燃料のバイオ燃料化を進めるというブッシュ構想は、結果的にますます世界を混迷させ、不安定にする結果になるのではないだろうか。
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by greenerworld | 2007-09-29 15:43 | エネルギー  

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