管理者へのメール / 管理者のプロフィール


無効分散または死滅回遊

 今ごろの季節に湘南や房総の海岸の潮だまりに行くと、スズメダイやチョウチョウウオのなかまなど熱帯・亜熱帯の魚がよく見られる。春に生まれ、稚魚が黒潮にのって流されてたどり着いたもの。ただし、冬の寒さに耐えられず死んでしまう。以前は死滅回遊という言葉が使われていたが、マグロやカツオの回遊のような周期的な移動とはちがうので、最近は無効分散といわれているようだ。通常は「無効」だが、たどり着いた先の条件がよければ(温かければ)、定着することもある。こうして分布を広げることもあり得るし、低温に適応して種分化する場合もあるだろう。

 動物の周期的な移動を、陸上では回遊ではなく渡りという。寿命が短いこともあり、昆虫には渡りをするものはほとんどない。長距離を移動するというアサギマダラも同じ個体が行ったり来たりするわけではないので、鳥の渡りとはちがう。10月18日に紹介したツマグロヒョウモンのように、温かいところから北上・東進する場合も一方向への分散で、しかも冬が越せず大方は無効分散になる。しかし、最近都市が暖かくなっている。とくに冬の最低気温が高くなっているため、越冬が可能な地域が広がった。しかも、食草になるパンジー(ビオラ)が冬でも公園や庭で咲いている。そんなこんなで、市街地中心にツマグロヒョウモンが分布を広げているのだろう。

 一方で野生のスミレ類は雑木林や草原の開発・管理低下で減少している。野生のスミレに依存するヒョウモンチョウ類にはすみにくい世の中だ。
[PR]

by greenerworld | 2007-10-20 12:15 | 生物多様性  

<< ゆで落花生 秋の訪問者 >>