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ナノソーラーが薄膜太陽電池を初出荷

 昨年12月中旬、米カリフォルニア・シリコンバレーの太陽電池製造ベンチャー、ナノソーラーの製造ラインから、初めての薄膜太陽電池が出荷された。ナノソーラーの太陽電池は現在主流のシリコン結晶系ではなく薄膜系と呼ばれるタイプで、銅-インジウム-セレンの化合物。一般にCIS(またはガリウムを加えてCIGS)と呼ばれている。ナノソーラーでは、原料をインクのようにアルミニウムシートの上に“印刷”して製造するため、きわめて低コストでの生産が可能になるという。同社の太陽電池Nanosolar Powersheetは米・科学誌ポピュラーサイエンスの「2007年の最高技術革新」に選定された。同社では、すでに東ドイツ地域で1MW(メガワット、メガは百万)の太陽光発電所への受注に成功したとしている。

 ナノソーラーを率いるのはCEOのマーチン・ロシュアイゼン氏。氏自身のブログによれば、ドイツ・ミュンヘン生まれのオーストリア系で、ミュンヘン工科大で修士、米・スタンフォード大学で博士号を取得、シリコンバレーでいくつかのIT企業を成功させた後、2001年にナノソーラーを立ち上げた。その後、2006年には投資家などから1億ドルもの資金を集め、将来的に430MW/年とする生産計画を発表して大きな注目を集めた。

 ナノソーラーの太陽電池は、出力1ワットあたり99セントの価格が可能だとしている。円に換算すると11万4000円/kWということになる。出荷価格だとしても、これが本当ならば、現状では周辺機器や工事費込みで200万円程度かかる3kWのシステムが100万円以下になるだろう。30万円/kWという価格は、発電単価にして20円/kWh以下となるため、太陽光発電システム普及の目安価格となっている。大規模なシステムであればさらに単価は下がる。原料シリコンの調達に苦労し、なかなか価格を下げることができないシリコン結晶系太陽電池には、大きな脅威となるかもしれない。

 ナノソーラーの太陽電池の変換効率はどの程度なのか、同社のサイトを見たが数値は見あたらなかった。通常のCIS系と同じ10%前後とすれば、多結晶シリコン太陽電池よりやや低く、結果として同じ出力で面積を余分に取ることになる。ただ、インゴットをスライスしてつくるシリコン結晶系は、どうしてもセル間にすき間が生じる。シート状のCISはすき間は生じない。発電効率の差ほど面積に差は出ないだろう。

 驚くべきは、ナノソーラーシートのエネルギーペイバックタイム(EPT)である。EPTは製造に要するエネルギーを発電によってどのくらいの期間で回収できるかを表す数字で、これがシステムの耐用年数を超えていれば、ライフサイクルでエネルギー収支がマイナスとなり全く意味がないことになる。結晶シリコン太陽電池は、生産規模にもよるが2〜3年と言われている。NEDO(新エネルギー産業技術総合開発機構)では、100MWの生産規模で多結晶シリコン太陽電池のEPTを1.5年としている。これに対してナノソーラーの太陽電池は1か月以下というのだ。風況の良い場所に建設する風力発電より短い。同社のパネルは25年保障なので、少なくとも24年と11か月分、CO2フリーで電気を供給してくれることになる。

 ナノソーラー http://www.nanosolar.com/
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by greenerworld | 2008-01-02 11:34 | エネルギー  

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