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CO2排出を中国に肩代わりさせているだけでは……

 90年代から、日本の製造業は海外への進出が進んでいる。とくに中国への進出は2000年以降顕著だ。その中国では、2000年以降CO2を始めとする温室効果ガス排出の伸びが著しい。昨年はアメリカを抜いて世界一になったと言われている。ただ、その排出には日系など海外企業の現地工場からのものが少なからず含まれている。沿海部の大工業地帯は世界のメーカーが集まっているが、日系企業の看板が目立つ。さらに純粋な中国企業であっても、その生産品の多くは海外向けだ。日本向けの冷凍食品も、コンビニ弁当やファミレスの食材も、多くは中国で作られている。安価な日用品や玩具で中国製でないものをさがすのは難しい。それらも、発注元は日本企業である場合がほとんどである。

 日本の温室効果ガス排出を部門別に見た場合、産業部門は唯一90年比で排出を減らしている。それを産業界の努力だと称える声もあるが、削減分の多くはエネルギーをたくさん使う工場を海外に移転した結果と見るべきだろう。

 海外進出工場を含めてそのグループ全体で排出量を見た場合、大きく増えていることは、メーカーの人間ならわかっているはずである。中国に進出した工場の使う電力は、石炭を中心にした火力発電に負っている。日本企業が中国に進出すればするほど、中国のCO2排出は増える。結局CO2の排出を中国に肩代わりさせているということではないか。日本の産業部門の排出は実質的には決して減っていないだろう。

 2013年以降の気候変動対策の枠組は不透明だが、中国やインドのような新興大国の参加がカギになる。そのときに「国対国」ではなく、一企業グループ内の排出総量としてとらえたらどうだろうか。日本に本社のある工場は、グループ内全体での排出削減目標を立て、実行する。そのかわり海外での削減分の一部を国内にトレードすることができるようなしくみだ。

 もし、日本の企業が「現地工場で日本と同レベルの省エネ基準を適用したら競争力を失う」というのであれば、国どうしで日本は中国に何も言えなくなる。積極的に現地工場の温室効果ガス削減に投資し、実践し、ともに排出を減らそうというべきではないだろうか。日本で売られる食品や日用品などの製造メーカーにも、発注元である日本企業がCO2削減を求めると同時に削減に協力する必要がある。隠れたCO2排出を減らさなければ、日本は「省エネで努力してきた」と胸を張ることはできまい。
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by greenerworld | 2008-02-03 11:59 | 環境エネルギー政策  

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