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太陽熱で発電する3kWのスターリングエンジン

 スターリングエンジンという熱機関がある。1816年にスコットランドの牧師で技術者のスターリングが考案したもので、蒸気機関と同じ外燃機関だ。簡単に言えばシリンダー内部の気体を温めたり冷やしたりすることで膨張・収縮させ、ピストンを動かす。ただし一か所を短時間に加熱・冷却することは難しいので、温める場所と冷やす場所を別々にし、気体の方を動かすしくみになっている。

 理論上高効率で、しかも爆発を伴わないので静粛・安全。さらに熱源を選ばないという利点があるが、小型化が難しかったことから、その後開発されたガソリンエンジンやディーゼルエンジンにかなわなかった。しかし、スターリングエンジンには発明家や技術者たちをとらえて放さない夢がある。

太陽熱で発電する3kWのスターリングエンジン_f0030644_18511788.jpg 温める方には太陽熱も使える。太陽熱発電では、ヘリオスタットと呼ばれるパラボラ集光装置で高温をつくりスターリングエンジンを動かすという、ディッシュスターリング発電が実証段階だ。これを小型化した発電装置を発売しようというベンチャー企業もある。

 アメリカのワシントン州にあるINFINIA社では、3kWの太陽熱スターリングエンジンをこの秋に売り出すという。変換効率は24%で同じ出力の太陽光発電の2倍だ。集光部分の直径は4.7メートル。スターリングエンジン部分も驚くほど小型だ。効率を高めるため太陽追尾装置もついているようである。

 占有面積としては方形の4.7×4.7mと考えても同じ出力の太陽電池以下で、しかも発電量は2倍ある。価格は太陽電池並みに抑えるという。一般住宅の屋根にのせるのは無理かもしれないが、農地の端、河川の堤防、ビルの屋上など、設置可能な場所はたくさんありそう。ヨーロッパでは太陽電池を大量に並べたソーラーパワープラントが続々誕生しているが、ソーラースターリングエンジンの性能がメーカーの発表通りで、メンテナンス費用も安いなら、今後はこちらの方にシフトしていく可能性もある。第三世界の非電化地域でも活躍しそうだ。実機を見てみたい。

 INFINIA http://www.infiniacorp.com/main.php

by greenerworld | 2008-09-04 18:54 | エネルギー  

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