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カテゴリ:環境エネルギー政策( 74 )

 

太陽光補助金事務は太陽光発電協会に

 資源エネルギー庁では、今年度の補正予算90億の住宅用太陽光発電設置補助金(1kWあたり7万円)の実務を担当する補助事業者の公募を行っていたが、10月31日にその発表があり、太陽光発電協会(JPEA)が採択された。JPEAは太陽電池セル・モジュールメーカー、周辺機器メーカー、住宅・住設メーカー、電力会社などが会員として名を連ねる有限責任中間法人。

 結局応募したのははJPEAだけ。以前の補助制度の時は新エネルギー財団(NEF)が担当していたが、NEFが名乗りを上げなかったのは「補助金依存型公益法人の改善措置」(国からの補助金収入を全収入の3分の2以下にする)に抵触するかららしい。もっとも事前の根回しはあったようで、公募以前から業界内ではJPEAが窓口になるだろうと噂されていた。

 大手企業が会員にいるとはいえ、太陽光発電は小さな市場であり、JPEA自体も小所帯。これだけの事業を引き受けるには体制づくりが急務である。募集時期や内容の詳細が決まるのはまだだいぶ先になりそうだ。
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by greenerworld | 2008-11-12 11:27 | 環境エネルギー政策  

日本に根付くか、カーボンフットプリント

 以前、イギリスでポテトクリスプやジュースなどにCO2排出量(カーボンフットプリント)を表示する試みが行われていることを伝えたが、今年度から日本でも同様の試みが始まった。

 経済産業省が、6月「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」を立ち上げ、有識者、メーカー、流通各社担当者などが委員として参加して検討を重ねている。カーボンフットプリントの検討は洞爺湖サミットを前に発表された福田ビジョン「『低炭素社会・日本』をめざして」の中に言及されており、いわば福田政権の置き土産。

 カーボンフットプリント(炭素の足跡、以下CF)とは、原料採取から製造・流通・販売・使用・廃棄に至るまで、その商品の一生でどれだけのCO2(CO2換算した他の温室効果ガスも含む)を排出しているかを、製品当たりの排出量で示したもの。共通のマークとともに数値が容器・包装のどこかに表示されることになる。先の研究会に参加している事業者を中心にCFの算出を進めており、30社100品目(予定、一部重複あり)が12月11-13日に東京ビッグサイトで開催されるエコプロダクツ2008に参考出品される。共通マークも11月中旬には発表される予定だ。

 とはいえ、CF算定のルールを決めるのは難しい。自社内で排出されるエネルギー起源などのCO2は把握できても、原料の排出量はさかのぼって計算するのか、それとも原料メーカーにまかせるのか、原料ごとのばらつきをどうするのか、どういう流通経路を使うのか、店舗ではどのように売られ、家庭ではどのように使われているのか……。などなど、各社とも四苦八苦しているようである。

 果たしてCFが消費者に認知され受け入れられるのか、という問題もある。成分表示や原産地表示と違い、直接安全・安心に結びつくわけではない。そのためにコストをかけて(算定だけでなく認証にもお金がかかるだろう)、商品価格にはね返るのでは元も子もない。もっとも取り組む企業側では、サプライチェーン管理の強化、効率化というメリットを見出しているところもあるようだ。

 エコプロダクツ展の結果も踏まえ、来年度は実際の店舗で施行されると言うから、CFつき商品をわれわれが目にする日もそう遠くはないが、まだまだ普及には時間がかかるだろう。あるいは普及しないまま消えていくかもしれない。

 ところで、なぜこんなにわが国の取り組みが素早かったのか。2010-2011年にCFの国際標準規格(ISO)化を控えており、来年にはその案が提示される予定。そこに日本の意見を反映させるには、実はぎりぎりのスケジュールなのだ。
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by greenerworld | 2008-11-05 09:06 | 環境エネルギー政策  

補正予算成立、太陽光補助金執行はいつ?

 16日に参議院で補正予算が可決成立した。既報のようにこの補正予算には、太陽光発電補助金90億円が盛り込まれている。報道されているように、住宅用にkWあたり7万円程度、3kWのシステムで20万円程度というのが、経産省の考えのようだ。

 ところが、その補助金をどのような形で支給するのか、詳細はまだ霧中である。以前の住宅用太陽光補助金は、新エネルギー財団(NEF)が窓口となり支給されていた。しかしいったん終了した制度をそのまま復活させることは行政の常としてあり得ないことだ。そこで、新たなスキームを検討しているようだ。ところがその内容検討と準備に時間がかかる。せっかく補助金が通ったのに、執行されるのは年度末か来年度にずれ込みそうだという話も漏れ聞こえてくる。

 業界はいま買い控えによる深刻な設置件数の低迷に苦しんでいる。6月の福田ビジョンを受けて、総合資源エネルギー調査会・新エネ部会が緊急提言を出し、「3〜5年以内に太陽光発電を半額程度にする」ことを打ち出してしまった。半額になるならそれまで待とうと考えるのは当たり前だ。さらに、2009年度予算に補助金の復活が盛り込まれたことが各紙で報道され、拍車をかけた。今業界では、問い合わせはあっても受注はほとんどない状態だという。

 業界から聞こえてくる「死活問題だ」、「歯を食いしばってでも耐えるしかない」という声は悲鳴に近い。この半年、仕事がない中で半年後か一年後かの需要急増に備えなければならないのだ。「まさかお客さんに補助金復活の話をしないわけにはいかない。まじめにやっている業者ほどきつい」とは、何とも罪作りな話だ。

 この矛盾を解決するには、今設置しても損をしない制度にするしかない。たとえば来年度のしかる時点から20年間は有利な価格で発電電力を買い上げる。今設置する人も対象になるとしっかりアナウンスすることだ。補助金の恩恵に全くあずかれなかった2006年度からこれまでの設置者に適応すべきことはいうまでもない。

追加情報:資源エネルギー庁のサイトにに上記事業の補助事業者(民間団体)の公募情報がアップされている。本日(10/17)から10/27までの期間で、決定は10/31を予定。条件は以下の4項目。

(1)太陽光発電システムに関する技術、流通の仕組みに精通しており、かつ、補助事業の遂 行に必要な組織、人員を有していること。
(2)当該補助事業を円滑に遂行するために必要な経営基盤を有し、かつ、資金等について十 分な管理能力を有していること。
(3)国が当該補助事業を推進する上で必要とする措置を、適切に遂行できる体制を有してい ること。
(4)当該補助事業に係る普及促進を行い得る能力を有すること。

 やはり以前とは異なる枠組で執行するらしい。しかし、資源エネ庁では「詳細は採択が決定してからその団体と協議する」という。実際の執行がいつになるか、まだわからない。
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by greenerworld | 2008-10-17 08:14 | 環境エネルギー政策  

不況が最大の温暖化対策か?

 EUでは今回の金融危機に伴う景気後退で、企業活動・消費が減退し、CO2排出も減少すると予想されている。もちろん、不況に見舞われているのはEUだけではなく、全世界であり、世界全体のCO2排出の伸びもここ1、2年は一段落する可能性がある。日本も9月の自動車販売台数が前年比5%の減、百貨店の売り上げも大きくマイナスになるなど、景気の状況は変わっている。京都議定書の目標期間入りし、その目標達成が危ぶまれているが、案外この不況が効いてくるかもしれない。過去に、CO2の排出が前年比マイナスだったのは、1993年度、1998度年、2001年度といずれも経済後退期。2006年度もやや減っているがこの年(2006年12月〜2007年2月)は暖冬である。

 景気対策でお金を使えとばらまきをすればするほど、CO2排出は増える。景気後退のあおりを受けて、ニューヨークの原油取引市場では最高値の半分に値下がりしており、原油高から進んでいた代替エネルギーや省エネルギーへの投資もしぼみそうだ。

 こういう時代こそ、CO2排出を抑制する方向に向けた経済刺激策が必要なのだが、低炭素社会を打ち出した福田ビジョンの掛け声は麻生政権になってずいぶん小さくなった気がする。果たして二次、三次と矢継ぎ早に繰り出そうとしている政府の補正予算は、どんな内容になるだろうか。
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by greenerworld | 2008-10-16 09:03 | 環境エネルギー政策  

太陽光補助に補正予算?

 複数メディアの報道によれば、経済産業省は補正予算案に太陽光発電の助成を盛り込んでいるようだ。グリーン証書を活用したものではなく、単純な設置補助でkWあたり7万円。ちょうど10分の1程度をアシストする。

 以前も書いたように、太陽光発電の補助制度は2005年度を最後に打ち切られた。すでに市場形成の役目は果たしたという理由だ。しかし、そうはならなかった。補助金を失ったとたんに市場はしぼみ、日本メーカーは急拡大するヨーロッパ市場に生産品のほとんどを向けるようになった。「国内でCO2を出して生産し、海外で削減に寄与する」構図となった。それでも日本メーカーはドイツのQセルズに生産トップの地位を奪われ、中国や台湾の新興メーカーに猛追されている。設置でもドイツに大きく後れをとり、まさに“落日”の様相を呈していた。

 そんな中、“お家芸”太陽光発電で世界トップの座を奪い返そうと、福田政権下で策定した「低炭素社会づくり行動計画」には「太陽光発電の導入量を2020年に10倍、2030年には40倍にすること」が目標として掲げられた。このなかには「3〜5年後にシステム価格を現在の半額程度に低減することを目指す」ことも掲げられている。

 その第一歩として、来年度概算要求に補助金の復活が盛り込まれたことは9月11日に書いた。ブログ子が指摘したように、それでは“買い控えが起こる”ことを経産省もさすがに危惧したのだろう。ただ補正予算の行く末は解散時期がらみで不透明だ。成立したとしても、2006年度から2年半の間の設置者は救われない。政策によって不利益を被ったのだから、行政訴訟の対象になるのではないだろうか。

 さらにその先、「3〜5年後に現在の半額」という目標が掲げられている中で、7万円/kWの補助金に魅力があるだろうか。やはり半額になるまで待とうというのが当然の感覚だろう。“国民目線”とはとても思えない場当たり施策だ。まあ、その結果市場は活性化せず半額実現も難しくなるだろう。

 設置補助はもはや時代後れの施策で、世界的にも発電電力を高額で買い取るFITが主流。それでも設置補助にこだわるとすれば、せめて「今から半額」にすべきです。
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by greenerworld | 2008-09-30 08:21 | 環境エネルギー政策  

太陽光発電設置に補助金復活!

 経済産業省の2009年度(平成21年度)概算要求に、「住宅用太陽光補助金」として238億円が盛り込まれた。2005年度を限りに廃止されて以来、4年ぶりの復活となる。もっとも2005年度の補助額はkWあたり2万円というもので、予算額も26億円まで減っていた。238億円は過去最大だった2001年度の235億円を抜き、最大規模となる。福田首相の置き土産「低炭素社会づくり行動計画」(今年7月)のおかげである。「行動計画」では、2010年までに太陽光発電のシステム価格を半額、2020年には導入量を現在の10倍に、2030年には40倍にするという目標を掲げている。

 2010年に半額というのは実現が心許ないが、ともかくやる気になっているのだ。しかし、どういう補助の仕方をするかはまだ見えてこない。かつてのように単純に設置補助金を出すのだろうか。最近はドイツ始めヨーロッパでの太陽光発電(に限らないが)の普及に、高価格での発電電力買い上げを義務付けたフィード・イン・タリフ(FIT)制度が功を奏したことがかなり知れ渡ってきた。政策担当者・担当官僚もみなFITに効果があることは知っている。FITは今やお隣の韓国や中国でも導入され、自然エネルギーの普及に役立っている。日本でも議論されたが結局電力業界の強硬な姿勢で実現しなかったどころか、ほとんど無視されてきた。その結果、日本は自然エネルギー電力の普及で、1人蚊帳の外という状態だ。で、お家芸だった太陽光発電でも設置ではドイツ、スペインに抜かれ、生産1位の座も危うくなってきたのだ。

 そこであわてたというわけだろう。このままでは国内市場がしぼんでしまう。これはいつか来た道なのである。日本はかつて太陽熱大国だった。それが今や年々市場は縮小するばかり。それに太陽光は太陽熱と異なり、ハイテクで技術革新、関連産業の広がりも期待できる。その結果がこの補助金復活というわけだ。

 東京都では、来年度から3kWシステムに対して30万円程度、太陽熱を複合利用するソーラーシステムに20万円程度、太陽熱温水器に3万円程度の補助を予定していることを8月末に発表した。ただし、自家消費分の環境価値の譲渡を条件にしている。これには少し説明がいる。東京都では、単純な補助金ではなく、グリーン証書と結びつけた制度を検討してきた。自然エネルギーで発電した電力はCO2を出さない。これに環境価値を認め、排出量取引の対象とする。しかし、太陽光発電の設置者の多くは、すでにRPS法による発電設備認定を受けており、電力会社に売電した分は環境価値を売り渡していると認識されている。しかし、自家消費分はその限りではないので、環境価値が残っているというわけだ。しかも、太陽熱に環境価値を認めようというのが東京都の制度のミソだ。

 しかし、その環境価値(自家消費量)をどのように計るのか。これはきわめて難しい。東京都は10年分の環境価値を先払いする形で補助するらしい。標準的な発電量で置き換え、一律に同じ金額を支払うというなら、実質的には単純補助と変わらない。きちんと量として把握できないのであれば、その環境価値をCO2削減量として売買することも難しいだろう。東京都の制度もまだまだ検討を加える余地がありそうだ。

 ともあれ、東京都の制度は国や市町村の補助制度と併用可能だという。そうすると、国の制度が加われば東京都民にはかなり有利な条件となりそうである。

 それにしても、2006〜2008年度の設置者こそ好い面の皮ではないか(いや設置した方には失礼ですが)。この間は原料シリコン不足にヨーロッパの需要増が重なり、システム価格が上昇している。この人たちを救済しようという考えはないのかね。少なくとも、今年下期には設置は極端に減るでしょうな。
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by greenerworld | 2008-09-11 20:40 | 環境エネルギー政策  

肥料とエネルギーと“ポスト京都”

 チッソ、リン酸、カリといえば、作物の三大栄養素。これらを含む肥料なしでは十分に収穫を上げることができない。もちろんほとんどは「化成肥料」すなわち工業的に合成された肥料である。全農(農協の中央組織)が主要な肥料の販売価格を大幅に値上げすることになり、農家の経営を直撃することが懸念されている。肥料価格の高騰は、資源・エネルギーインフレの大波をまともにかぶった形だが、当然その影には、中国などの食料需要の高まりがある。

 日本はいずれの肥料もほとんどを輸入に頼っている。リン酸やカリは天然鉱石が原料だが、チッソは現在空気中の窒素ガスと水素を使い高圧高温化でアンモニアを合成するハーバー(&ボッシュ)法で製造されている。水素は天然ガスから、高温高圧をつくるためのエネルギー源は石炭や石油。いずれも化石燃料だ。

 自然界では、マメ科植物などに共生する根粒菌が空中の窒素を固定することはよく知られているが、生物的に固定される窒素量は年間1億8000万トンほどだと言われている。そのうち、豆類などの作物やアルファルファなどの牧草によるものが約半分を占める。

 一方でハーバー法により工業的に固定される窒素が、生物的に固定されるのとほぼ同量あると言われている。農耕地以外で自然に固定される窒素の一部は、狩猟採集や天然肥料・自然循環の形で利用されてはいるが、その量はわずかだろう。人類の食料のおそらく6割以上が、化石燃料を使って工業的に合成された窒素によってまかなわれているということになる。このやり方がいずれ限界に突き当たることは想像に難くない。しかも製造過程や施肥後に強力な温室効果ガスであるN2Oも発生する。施肥後に余剰の窒素分が水系や地下水を汚染するという問題もある。おそらく窒素はものすごく無駄に使われているのだ。もちろん、有機質肥料だけでは65億人にふくらんだ人口をまかなえそうにない。

 「地球環境」問題や「地球温暖化」問題の議論は、いかに人類がこの先も持続的に生き延びていけるかという話につながって初めて意味がある。誤解を恐れず言ってしまえば、温暖化そのものはそれほど問題ではないと思っている。重要なのは、今世紀半ばには90億人に達すると予測される人類を養える食とエネルギーがこの先も確保できるのかということだ。現在の地球温暖化の議論は「いかにCO2を減らすか」に収束している。肝心の人類の持続可能性という視点がかすんでしまっているのではないだろうか。肥料のみならず、農業機械・漁船・移送の燃料に至るまで、食が化石燃料によって成り立っていることを考えれば、「ポスト京都」は、ポスト石油、ポスト化石燃料として議論しなければならない。
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by greenerworld | 2008-07-02 08:01 | 環境エネルギー政策  

これで国内太陽光設置は前年割れ必至

 来年から経産省が太陽光発電の補助金を復活させるという。住宅用太陽光発電システム設置に対する補助金制度は1994年から始まり、2005年度に終了した。最後は1kWあたり2万円だったが、それでもないよりはまし。それに設置に対する「公的なお墨付き」という意味合いはあった。どういうことかというと、「国も補助金を出して応援しているんですから」というセールストークに使えたわけだ。しかし、それも終了してしまうと設置は足踏み。昨年はとうとう前年比マイナス。ドイツに大きく後れを取っているばかりか単年度の設置でスペインにも抜かれた。

 太陽電池大国ニッポンとしては、じくじたるものがある。設置はともかく、生産ではトップを維持していたが、これもドイツのQセルズがシャープを抜いて世界第一位になり、中国のサンテックなども躍進していて、風前の灯火だ。そこで再び国内市場を活性化させようというのだ。

 福田総理が6月9日に発表した「『低炭素社会・日本』をめざして」は、太陽光発電の設置を2020年に現状の約10倍、2030年には約40倍を目標としている。今のようにもたもたしていたのでは、とても達成はおぼつかない。そこで何らかの支援制度を復活させ、3〜5年後にはシステムの設置価格を現在の半額程度に低減することを目指すという。

 半額というのは、現行でシステム1kWあたりの設置価格は70万円程度、発電電力1kWhあたり40数円程度の太陽光発電の発電単価を、家庭用電力料金並の20円強に下げることを意味する。お得感が出て、多くの人が設置しようと考えるだろうというわけだ。グリーン電力証書などテクニックを駆使するようだが、制度が複雑になり関連団体がたくさんできて天下りの温床になりそうだ。

 それより何より、将来価格が下がるというのに、目先の今年来年に設置しようという人がいるのだろうか。少なくとも来年度からは何らかの補助制度が始まるということになると、今設置を考えている人だって、来年設置した方が得になりそうだからと思いとどまるだろう。3〜5年後に半額になるというなら、それまで待とうと考えるのが普通だろう。太陽光発電はそれを入れなければ楽しめないコンテンツがあるわけではない。市場を伸ばして価格を下げようというのに、買い控えを誘うのはあまりにも不可解である。

 少なくとも今年の設置が前年割れするのは、これで決定したも同然だ。とにもかくにも愚かしい。
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by greenerworld | 2008-06-26 23:01 | 環境エネルギー政策  

江戸は理想の循環社会だったか?

 08年度版の「環境・循環型社会白書」が江戸時代の社会システムを「循環型社会」として絶賛しているそうだ。特に「肥だめ」。よく知られるように、江戸の周辺の武蔵野と呼ばれる地域は、畑作地帯で麦や豆、野菜を作って江戸に供給していた。そして、江戸に作物を売りに行く帰りに屎尿を運び、肥料として畑に戻していたとされている。たしかに、こうして屎尿を肥料として使い回していたシステムは合理的だと思うが、それだけで江戸の農業が成り立っていたわけではない。

 そもそも武蔵野の台地は水に乏しく、かつては広大な採草地(まぐさ場)だった。その草(ススキなど)を緑肥として少ない農地にすき込み、肥やしていたのだ。これを刈敷という。

 江戸の人口が増え、食糧が足りなくなって新田開発を進めると、こうしたまぐさ場が農地に換えられた。当然肥料が足りなくなった。そこで武蔵野の新田(といっても多くは畑)地帯はコナラなどの落葉広葉樹を植え、そこから得られる落ち葉や枝条を肥料としてすき込むシステムを採用した。これが武蔵野の雑木林の起源。だから、江戸初期より前には、武蔵野の雑木林は存在しない。あるのは、茫漠たるススキの原だった。

 武蔵野はもともとあまり肥えた土地ではない。落ち葉をすき込んだだけでは、生産力は維持できなかっただろう。下肥はそれを補ったが、しかし、畑の地力を保つにはそれでも足りなかった。

 一方、雑木林はもう一つ大事なものを提供してくれた。燃料である。農民は柴(小枝や潅木)を自給用に使い、太い薪は売り、金に換えた。当時日本橋あたりには肥料問屋があって、ここでは干鰯(ほしか)、油かすなどの肥料を売っていた。これらの販売される肥料を総称して金肥と呼ぶ。農民は薪を売った金で金肥を購い、畑に投入していたのだ。実は江戸の農業を支えたのは、この金肥なのである。

 干鰯は外房でとれるイワシが原料、菜種かすは西国の菜種の産地から運ばれてきたという。いずれも江戸圏内の循環資源ではない。しかも、江戸末期にはイワシがとれなくなり、蝦夷(北海道)のニシンが代わりに使われるようになった。これが蝦夷地進出の一因ともなった。つまり江戸末期には、農業生産は肥料資源不足で行き詰まっていたともいえる。明治になって化成肥料が入って来たとき、それを金肥として受け入れる下地はできていたのではないか。

 江戸時代のシステムは、当時の条件の中では合理的にできあがっていたと思う。そこには祖先が少しずつ積み上げてきた英知を感じるし、見習うべきものは多々あるけれども、それだけで回っていたわけではない。そもそも、江戸時代が完成した循環型社会だったとしたら、もっともっと長く続いただろう。しかしその間に人口は停滞し、大多数の国民は支配層に搾取され、移動の自由もなく、食うや食わずの生活を強いられ、大飢饉が何度も襲っている。言ってみればいまの北朝鮮みたいなものだ(もっとも同時期のヨーロッパも頻繁に飢饉に見舞われているので、日本だけがやり方がまずかったわけではないと思う)。それが破綻して明治維新を迎えたわけである。もちろんそれは政治経済システムの問題でもあるが、生産システムに関しても持続可能とは言えなかっただろう。その時々の体制・環境制約の中で、経済的に合理的なやり方をしていたということなのではないのか。何が何でも江戸礼賛というのはおかしい気がするね。
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by greenerworld | 2008-06-03 21:19 | 環境エネルギー政策  

柏崎刈羽──原子力頼みの温暖化対策は破綻

 えらいこっちゃ! 東京電力の柏崎刈羽原発の運転停止で、2007年度の日本の温室効果ガス排出量は2%も押し上げられるという。2006年度の日本の排出量はわずかだが前年より減った(暖冬の影響が大きい)が、また増加してしまう。2012年の目標達成はさらに遠のく。

 東電自体のCO2排出量は当初見通しより23%も増加し、2006年度と比べて1.3倍になったという。2006年度は暖冬だったが、07年度は猛暑や冬の寒さの影響で東電の販売電力量は前年比3.4%増の2,974.0億kWh(東電HP)。一方、CO2排出量の見通しは1億2700万トン。とすると、電力1kWhあたりのCO2排出量(排出係数)は0.427kgとなる。2006年度の東電の排出係数は1kWhあたり0.368kgだったから、大幅な増加である。今、オール電化住宅に限らず電力比率が高まっているので、電力を購入している家庭も企業も公共機関も大幅に排出を増やしたことになる。CO2削減の努力を続けても、外部的な要因で跳ね上がってしまう。自主行動計画とはいえ、CO2削減を公言し、達成できなければ排出権購入でまかなうことにしている企業にしてみれば、負担が増えることにもなる。ことは東電にとどまらないのだ。

 柏崎刈羽の再開はいつになるかわからない(いやこのまま廃炉にすべきと思っている)。他の原発だっていつ同様の災害に見舞われるかわからない。原発頼みでCO2削減しようという戦略は完全に破綻している。原発に頼れば頼るほど、不測の事態を想定してより多くの火力発電所を建設しなければならない。そして、原発が止まれば、一気にCO2排出が増える。高コストでCO2対策にもならず、しかも事故やテロの危険、やっかいな放射性廃棄物を出す。

 原発推進派=再生可能エネルギー否定派は、再生可能エネルギーが不安定で質の低い電気だという。しかし、不安定さでいえば原発だってしょっちゅう止まる。こちらも負けず劣らず不安定だ。しかも原発の建設には長い時間がかかる。計画から20年はざらである。そうこうしているうちに既存の原発はどんどん古くなってトラブルが増え、地震が来なくとも頻繁に停止することになるだろう(もっと心配なのは危機的な大事故だ)。

 原発に頼っている限り、100年たってもCO2は減らない。そう断言してもいい。あ、100年たったらウランも石油もないか……。
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by greenerworld | 2008-04-29 21:45 | 環境エネルギー政策