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カテゴリ:環境エネルギー政策( 74 )

 

夢の技術だったRDFは完全に失政

 全国にあるゴミ固形化燃料(RDF)施設の処理費が、焼却した場合の2倍にもなると毎日新聞(電子版)が報じている。全体で年間200億円ほど余分なコストがかかっていることになるという。

 RDFはゴミを乾燥し、圧縮成型(ペレット化)した固形燃料である。RDFにすることで扱いやすくなり、ゴミ削減とともに発電や製鉄所の燃料や還元剤として使える、当時問題になっていたダイオキシンの発生も抑えられると、一石二鳥にも三鳥にもなる技術として、10年ほど前にはまるで救世主のようにもてはやされた。

 音頭を取ったのは当時の厚生省、補助金を出して建設を誘導した。これにゴミ処理の広域化を進めていた多くの県、さらに中小の自治体が乗った。しかし当時から稼働率を高めるためにより多くのゴミを集めねばならずゴミ減量に逆行する、製造時にダイオキシンが発生するのではないかという疑問が市民団体や専門家などから上がっていたのだ。しかも、プラントの建設費は巨額になる。もともといくつかの商社やプラントメーカーが、厚生省に持ち込んだ技術だと聞いたことがある。

 三重県はRDFを使った発電事業を推進。1998年5月に開催されたある会合で、県の担当者はその技術のすばらしさを熱弁した。しかし、2003年にその三重県のRDF発電所のRDF貯蔵タンクが爆発、消火作業にあたっていた消防士2名が死亡するという痛ましい事故が起きた。RDFに含まれる有機物が発酵、発熱すると同時に可燃性のガスを発生させたと見られている。

 RDFは燃料としても低品位でいまでは相当な処理費用を払って引き取ってもらったり、一般焼却施設で焼却している始末だ。製造時に発生しないと言われていたダイオキシンも生成することがわかり、追加対策も必要になった。RDF製造施設は今や完全にお荷物。失政以外の何ものでもない。

 結局RDFで儲けたのは誰かを考えれば、これは立派なスキャンダルだと思う。当時の厚生省の担当者にどう落とし前をつけるのか、問いたいものだ。

 RDF施設が全国に行き渡ったあと、ゴミ処理の主力はガス化溶融炉に移った。これも大規模プラントが前提で、費用がかさむ。効率よく運用するには、収集を広域化しゴミをたくさん集めなければ成り立たないシステムだ。

 ガス化溶融炉の次はバイオガス、さらに最近はエタノール。金のかかる「夢のような」事業には、誰かの利益が絡んでいる。眉につばつけた方がいい。
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by greenerworld | 2008-03-31 10:22 | 環境エネルギー政策  

CO2排出を中国に肩代わりさせているだけでは……

 90年代から、日本の製造業は海外への進出が進んでいる。とくに中国への進出は2000年以降顕著だ。その中国では、2000年以降CO2を始めとする温室効果ガス排出の伸びが著しい。昨年はアメリカを抜いて世界一になったと言われている。ただ、その排出には日系など海外企業の現地工場からのものが少なからず含まれている。沿海部の大工業地帯は世界のメーカーが集まっているが、日系企業の看板が目立つ。さらに純粋な中国企業であっても、その生産品の多くは海外向けだ。日本向けの冷凍食品も、コンビニ弁当やファミレスの食材も、多くは中国で作られている。安価な日用品や玩具で中国製でないものをさがすのは難しい。それらも、発注元は日本企業である場合がほとんどである。

 日本の温室効果ガス排出を部門別に見た場合、産業部門は唯一90年比で排出を減らしている。それを産業界の努力だと称える声もあるが、削減分の多くはエネルギーをたくさん使う工場を海外に移転した結果と見るべきだろう。

 海外進出工場を含めてそのグループ全体で排出量を見た場合、大きく増えていることは、メーカーの人間ならわかっているはずである。中国に進出した工場の使う電力は、石炭を中心にした火力発電に負っている。日本企業が中国に進出すればするほど、中国のCO2排出は増える。結局CO2の排出を中国に肩代わりさせているということではないか。日本の産業部門の排出は実質的には決して減っていないだろう。

 2013年以降の気候変動対策の枠組は不透明だが、中国やインドのような新興大国の参加がカギになる。そのときに「国対国」ではなく、一企業グループ内の排出総量としてとらえたらどうだろうか。日本に本社のある工場は、グループ内全体での排出削減目標を立て、実行する。そのかわり海外での削減分の一部を国内にトレードすることができるようなしくみだ。

 もし、日本の企業が「現地工場で日本と同レベルの省エネ基準を適用したら競争力を失う」というのであれば、国どうしで日本は中国に何も言えなくなる。積極的に現地工場の温室効果ガス削減に投資し、実践し、ともに排出を減らそうというべきではないだろうか。日本で売られる食品や日用品などの製造メーカーにも、発注元である日本企業がCO2削減を求めると同時に削減に協力する必要がある。隠れたCO2排出を減らさなければ、日本は「省エネで努力してきた」と胸を張ることはできまい。
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by greenerworld | 2008-02-03 11:59 | 環境エネルギー政策  

暫定税率問題─ひょうたんから駒?

 ガソリンという矮小なテーマで与野党対決状況が演出されてうんざりしていたら、少しおもしろくなってきた。

 民主党は揮発油税と地方道路税にかけられているいわゆる暫定税率(両税を合わせてガソリン1リットルあたり25.1円)の期限がこの3月31日に切れることから、この廃止を訴えている。折からのガソリン高騰が産業や国民生活を直撃しており、暫定税率廃止でガソリンを値下げさせようというのだ。

 ただし同党は、税を本来の枠に戻すためのものでガソリン値下げは本筋ではないと主張している。両税は受益者負担という名目で道路を造るために使われる、いわゆる道路特定財源で、この巨額の財源に政・官・業が群がり、暫定税率を膨らませてきた経緯がある。

 言ってみれば、道路建設専用の財布からお金を取り上げようというもので、道路族が大きな力を持ってきた自民党は当然反対する。この財源がなくなれば道路整備、とくに地方の道路整備が難しくなり、自治体の財政を圧迫するというのが自民党の主張である。

 雲行きが変わってきたのは、町村官房長官が特定財源を地球温暖化と結びつけたからだ。ガソリン値下げは環境問題にマイナスとなる、言い換えればガソリンの価格を高く維持することで、ガソリン消費抑制に役立っているという論である。

 これには驚いた。ガソリン税は道路建設のための税で本来温暖化対策とは全く関係がない。むしろ道路整備は自動車の利便性を高め、温暖化の防止に逆行してきた。温暖化対策を言うなら、自動車を使いにくくするのが筋である。もちろん、ガソリンの価格を高くするのも一つの方法だろう。それには、環境税という方法がある。受益者負担ではなく、ペナルティを払うという考え方である。ヨーロッパでは環境税(または炭素税)は環境対策に使われる他、福祉や年金・所得税の軽減に使われ、企業や個人の負担が総合的に増えないように配慮している。少なくとも道路建設に使われることはない。

 と思っていたら、今度は石原伸晃前政調会長が、暫定税率が期限切れになれば環境税に形を変えることも考えるべきとテレビ番組で発言したそうで、またまた驚き。もっとも石原氏の父上は国に先駆けて東京都に環境税を導入しようとしているので、全く唐突に出てきた話でもない。町村官房長官の牽強付会が思わぬ方向にころがり出すかもしれない。

 暫定税率問題、こう考えるとけっこう重要な論点になりうる。通常国会では道路政策、交通政策、エネルギー政策、環境政策などなど、幅広い観点からキチンと議論してもらいたいものである。
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by greenerworld | 2008-01-20 16:07 | 環境エネルギー政策  

バリ会議に感じたデジャヴ

 COP13バリ会議は、案の定気候変動対策に消極的なアメリカ・カナダ・日本対積極的なEUという構図に、経済成長に水を差されたくない中国・インドが絡み合い混沌としたものとなった。それにしても日本はいったい何をしにいったんだろう? アメリカも2009年には大きく変わることが明白なのに、事実上レームダック化し機能不全に陥ったブッシュ政権に同調して、その眷属のように振る舞っているのは全く外交センスを疑う。日本政府には過去に学ぶ発想はないのだろうか。

 10年前のCOP3も、同じような膠着状況に陥った。日本の政治も参議院で与野党逆転し、内閣不信任案が提出される政治状況で現在とよく似ていた。COP3の議長を務めた当時の大木環境庁長官が、国会対応を優先するために議長職を投げ出して永田町に戻ろうとしたところを、NGOの働きかけで議長席に復帰するいう失態を演じた。京都会議が何とかまとまったのは、大木長官の功績ではなく、数値目標を決めた全体委員会のエストラーダ委員長(アルゼンチン)の手腕があったからである。そしてもう一人の立役者が、今年のノーベル平和賞受賞者、アル・ゴア氏だ。

 京都会議では90年比一律−15%を主張するEU、0%を主張するアメリカが対立し、日本も実質ゼロの目標を主張して、アメリカの軒を借りながら両者の間を行き来するという状況だった。エゴがぶつかり合い、二進も三進もいかなくなりそうだった会議を動かしたのが、当時のアメリカ副大統領ゴア氏だったのである。会議終盤にさしかかった12月8日、満を持して京都に乗り込んだゴア氏は、対象温室効果ガスに代替フロンなどを含めること、森林吸収の算定基準を設けることなどを試算とともに提案し、交渉を進展させたのだ。こうして最終的に先進国全体で−5%という目標が合意された。もちろんシナリオは前もって描かれていたのだろう。その後アカデミー賞を取ったくらいだから。

 結局最後に京都に乗り込んだゴア副大統領、そしてアメリカがおいしいところを総取りした。京都会議での日本は道化役でしかなかった。バリ会議での日本の振る舞いを見ていると、それを忘れてしまったとしか思えない。いやそもそも気づいていないほど鈍感なのか。

 産業界が自主規制(現在は「自主行動計画」)による対策を主張し、キャップ・アンド・トレードなどの法規制導入に強く反対していることも当時と全く変わらない。環境税の導入も当時から議論されていて、いまだに実現のめどすら立たない。何もかも10年前と同様だ。なるほどバリでNGOから“化石大国”に指名されるわけである。
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by greenerworld | 2007-12-22 10:12 | 環境エネルギー政策  

日本も白熱電球にサヨナラ? 

 トーマス・エジソンが白熱電球を試作したのが1879年のこと。当時は灯りといえば、ガス灯か灯油ランプの時代。まだ電気は実用化されて間がなく、アーク放電を利用したアーク灯を灯すには巨大な電池か発電機を持っていかなければならなかった。

 エジソンは白熱電球を売るために、発電所をつくった。1882年、ニューヨークに直流方式の中央発電所を建設、電気を供給し、白熱電球を設置するビジネスを始めた。世界初の電力会社であり、照明サービス会社である。

 白熱電球は簡便で明るく安全だったため、1890年代には大都市を中心に広く普及した。電気の供給は郊外に建設された水力発電所が担うようになった。やがて、それ以外にもさまざまな電気器具が発明され家庭で使われるようになる。自動車と家電はアメリカが生んだライフスタイルであり、世界のあこがれだった。その元となったのが、白熱電球だ。

 だが、白熱電球は効率が悪い。電気エネルギーの1割以下しか灯りに転換できない。残りは熱となって、周辺を暖める。冬はまだいいが夏はやっかいだ。少しでも効率のよい照明をと、白熱電球の4倍ほど高効率の電球型蛍光灯が普及してきている。オーストラリアやイギリスなど、白熱電球を禁止しようという国も出てきた。そしてわが日本もいよいよ白熱電球の追放に乗り出すらしい。政府が温暖化対策の一環として、家庭やオフィスの照明で使われる白熱電球の国内での製造・販売を数年以内に中止する方針を打ち出す見通しだという(共同通信電子版)。全世帯が電球型蛍光灯に切り替えた場合、家庭からの排出量の1.3%に当たる約200万トンが削減できるとのことだ。

 約130年間、夜を照らしてきた白熱電球にお別れの時が近づいている。しかしこれぐらいドラスティックなことをやるなら、いっそのこと太陽熱温水器の設置義務付けでもやってはどうだろうか。日本中の家庭の半分が太陽熱温水器をつけたとしたら、家庭からの排出の5%以上が削減できるはずだ。
 
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by greenerworld | 2007-12-19 16:45 | 環境エネルギー政策  

クリントン候補50年までに80%削減を政策に

 2050年までに、温室効果ガス排出を1990年レベルから80%削減、2030年までに自動車の平均燃費を55マイル/ガロン(23km/リットル)に……。次期アメリカ大統領の有力候補の一人、民主党のH.クリントン上院議員のエネルギー・気候変動政策の一端が明らかになった。他にも、2030年までにバイオエタノールなど再生可能燃料の供給を600億バレルにし、バッテリーの研究を促進してプラグインハイブリッド車の普及を進めることで、2030年までに石油輸入を3分の2に減らすことも盛り込まれている。

 次期大統領に誰が選出されるとしても、後ろ向きなブッシュ政権の気候変動対策とは大きく様変わりすることはまちがいないと思われる。上院小委員会はこのたび事業所ごとに排出枠を割り当て、過不足を取引できるしくみ(キャップ・アンド・トレード=CAT)を盛り込んだ「気候安全保障法案」を可決させた。アメリカ産業界もブッシュ後を見越して動き始めている。ニューヨーク州、カリフォルニア州など11州がEUとの共通の排出権取引市場づくりに参加を決定したのもその一環だろう。クリントン氏もCAT導入に前向きだ。

 日本はといえば産業界、経済産業省とも、CATに大反対。環境税にも後ろ向き、再生可能エネルギー導入に効果の高いフィードインタリフも電力業界の大反対で葬り去られたまま。確かに日本の省エネルギー技術は世界有数のレベルだが、それだけではマイナス6%の達成も困難なことは実証済みである。成長も環境も手に入れるには大きなパラダイムシフトが必要だ。欧米はそれに向けて動いている。環境エネルギー経済政策において、世界の孤児になりつつある日本。このままでは、ほんとうに置き去りにされかねない。
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by greenerworld | 2007-11-08 00:13 | 環境エネルギー政策  

京都議定書目標年へ秒読み段階で「あと7%」

 2006年度の日本の温室効果ガス排出量速報値が、11月5日に環境省から発表された。総量で2005年度に比べマイナス1.5%と減少、京都議定書の基準年である1990年と比べると総排出量は6.4%上回った。前年度比減少は喜ばしいことだが、まれに見る暖冬で家庭部門(前年比−4.4%)、業務部門(同−2.6%)の排出が減ったことが大きい。しかし、暖冬が毎年続くわけではないし、今年度以降は中越沖地震に伴う柏崎刈羽原発の長期停止の影響も出てくる。減少は一時的なものと考えた方がいいだろう。産業部門は景気拡大で0.6%増加しているのだ。

 京都議定書における日本の排出量目標(公約)は90年比マイナス6%。このうち、3.8%を森林吸収により、1.6%を京都メカニズムにより削減することになっている。算定が難しい森林吸収源対策は怪しいものだが、これが達成できたとしてもあと5年間で7%分を削減しなければならないことになる。

 産業界は10月、自主行動計画の追加対策を決め、18業界で合わせて1993万CO2トンの削減を上乗せする目標を設定した(日経10月24日朝刊)。ただ、これが達成されてもマイナス1.6%分にしかならない。よほどのことがない限り(経済活動が大幅に低下するような経済危機とか天変地異……それは困る)京都議定書の目標達成は難しい状況と思われる。

 電力会社や鉄鋼会社はこれ以上の排出削減は難しいとして、海外での排出量削減枠の取得をふやす方向だという(朝日10月11日朝刊)。しかし、対策はあくまで自主行動計画であるので、赤字を出してまで排出枠を買うことはあり得ないだろう。折しも、東京電力が柏崎刈羽原発対策で今年度大幅な損失を出すことが決定的。赤字企業が排出権を買うことが株主から許されるのかという問題もある。かといって、小売価格、料金には転嫁できまい。産業界ばかりが削減を求められることへの反発もある。こんな状況でその先の「マイナス50%」をどうやって達成しようというのだろうか。
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by greenerworld | 2007-11-07 10:38 | 環境エネルギー政策  

いったい環境省は何を考えているのか???

 いやあ、わが目を疑っちゃいました。

 10月6日の朝日新聞夕刊。環境省が来年度から、温暖化対策で小店舗もCO2排出量取引に加われるようにし、個人も一部参加できるようにするとの記事。

 個人が加われるのか、減らした分を企業に売れるようになるんだな、と当然のように思って、最後まで読んだら。ん? 「個人でも企業から排出権を買って家庭の排出を帳消しにする「カーボンオフセット(炭素相殺)」をできるようにする」だけで、個人が減らした排出量を売ることができないしくみにするという。もう一度読み直したけど、やはりそう書いてある。

「カーボンオフセット」はたとえば、電機製品や冷暖房器具を使ったり、海外旅行をしたり、ドライブしたりする際に排出するCO2の分を購入する。でもそんなことをしようとする人は環境意識が高く、すでに省エネルギーを実践していたり、エコカーに乗っていたり、太陽光発電や太陽熱機器を設置したりしている可能性が高い。家庭部門の排出削減には、圧倒的に多いそれ以外の人をどう参加させるかが必要なのだ。

 そのためには排出する人にペナルティを課すしくみか、逆にがんばった人が報われるしくみが必要(両方あればなお効果的)。前者の代表が環境税、排出量取引は後者である。

 それなのに、がんばった人が削減した排出量を売れない。排出量を買えるだけという。がんばっている人はもっともっとがんばれるでしょ、というのか。絶望的にずれてるぞ、環境省。
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by greenerworld | 2007-10-07 11:21 | 環境エネルギー政策  

新政権は環境問題にどう立ち向かうのか

 前首相がおもちゃ箱をひっくり返して退陣したあと、福田康夫氏が第91代総理大臣に選出された。大臣の顔ぶれは前政権をほぼ引き継ぎ、独自性はない。党役員人事がこの内閣の性格を表しているのだろう。

 最近は右翼団体も環境を前面に出す時代だが、安倍前首相も改憲を悲願としつつ環境問題にも取り組む姿勢をかなり強く打ち出していた。残念ながら、彼のイデオロギーとしての美しい国と、美しい星のコンセプトには大きな隔たりがあったが、それを躊躇なく同じ土俵にのせてしまうところが彼の思想の限界だった。ブレーンがいなかったのだろう。だが具体性はなかったものの、実際キャッチフレーズとしてハイリゲンダムサミットで打ち出した「美しい星50」は、世界にというより日本国内に向けてかなりインパクトがあったと思う。その点は評価している。

 さて、福田新首相の環境への取り組みはどうだろうか。比較の問題だが、少なくとも麻生氏より環境問題への認識はあるように見える。福田氏の総裁選出馬に当たっての政権公約では、環境立国の推進を掲げ、洞爺湖サミットの成功、環境技術と人材育成での国際貢献、ストック型社会の構築がうたわれている。いずれも具体性はなく、出馬に当たって大急ぎでまとめた印象は否めない。ただ、「ストック型社会の構築」に関しては、今年6月福田氏自身が会長としてとりまとめた、自民党住宅土地調査会の「200年住宅ビジョン」がかなり反映されているのだろう。しかし、戦後の日本経済は、短期のスクラップアンドビルドで成り立ってきた。「ストック型社会の構築」を本気でやろうとしたら、日本の経済政策、環境政策の大きなターニングポイントになる。新首相がどこまで深くそれを認識しているのだろうか。

 石油会社に長く勤務しながら、エネルギー問題や気候変動問題には今のところ言及はない。洞爺湖サミットに向けて「美しい星50」を引き継ぐだけでなく、具体的肉付けを期待したいものだ。

 新首相のリーダーシップはどこまで発揮されるのか、とりあえずはお手並み拝見。
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by greenerworld | 2007-09-25 21:34 | 環境エネルギー政策  

浜岡原発、二つの大いなる不安

 先日の中越沖地震の際、柏崎刈羽原発では最大2058ガル(揺れの激しさを表す単位)もの激しい揺れを受けていたことがわかった。同原発の耐震基準における揺れの最大想定地は834ガルだった。未知の活断層を見逃し、耐震基準があまりにも甘かったと言わざるを得ない。

 ところで7/19にも書いたが、浜岡原発(静岡県御前崎市)は、大きな揺れが予想される東海地震の想定震源域のほぼ真ん中に位置する。現在浜岡原発では2011年をめどに耐震補強工事を進めているが、補強後の耐震基準は1000ガル。現状はといえば、1、2号機が450ガル、3〜5号機が600ガルという耐震基準。これを1995年の阪神大震災(最大818ガル)並みの揺れが来ても大丈夫なようにするという補強だという。

 果たして浜岡原発付近が震源となった場合、1000ガル以下の揺れですむのか。はなはだ不安な状況になってきた。

f0030644_14254686.jpg 不安は他にもある。写真上は1975年の同原発付近の航空写真(国土交通省国土情報のページより。原発は建設途中)、下はGoogleマップによる最近の航空写真である。縮尺が少し違うのと、干満の状況が不明なのを勘案していただいても、明らかに砂浜が後退しているように見えないだろうか? 実は近年遠州灘の海岸がやせ続けているのだ。天竜川などの大河川上流に多くのダムが築かれ、沿岸への土砂の供給が減っていることが主要な原因とされている。しかし、今後温暖化による海面上昇も予想される。千年スパンで見ればこの原発が海に浸っていてもおかしくない。

 もちろん、千年後に原発が稼働していることはないだろう。しかし、運転終了した原子炉は解体後の行き場がなく、その場でシールドされて、建屋ごと半永久的に封印されているかもしれない。その時代の子孫たちは、波に洗われる「負の遺産」をどんな思いで眺めるのだろうか。いや、最初の東海地震で大事がなかったとしても。さらに千年間には何度かの大地震に襲われるはずである。

 廃炉後も含めた長い将来にわたる原発の安全性について、もっと厳しく考えるべきだと思う。これは電力会社だけの責任ではない。ただそのためには電力会社は隠蔽体質をあらため、情報を明らかにしなければならない。
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by greenerworld | 2007-07-31 14:32 | 環境エネルギー政策