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カテゴリ:エネルギー( 93 )

 

ベタープレイスのバッテリー交換式EVシステム

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バッテリー交換ステーションのイメージ(ベタープレイス・ジャパンのパンフレットより)

 環境省の平成20年度補正予算で実施されている、電気自動車(EV)などを用いた「次世代自動車導入促進事業」の実証試験の一つとして、ベタープレイス社が横浜市で実施してきた、モデル事業を見学してきた。アメリカ・カリフォルニアに本社を置くベタープレイス社(シャイ・アガシCEO)は、これまでにイスラエル、デンマーク、カリフォルニア、カナダなどで、新しいコンセプトによるEV事業をスタートさせようとしている。

 自動車産業の黎明期以来EVは存在し、さらにこれまで何度かのEVブームがあったが、いずれの場合も定着はしなかった。その理由はEVの航続距離の短さ、バッテリーへの充電に時間がかかること、さらに充電インフラが町中に整っていないことである。リチウムイオンバッテリーの登場で、航続距離に関しては、街乗りの実用レベル(100km超)には達している。しかし、相変わらず、充電時間の問題は片付いていない。7月発売の三菱自動車のi-MiEVは、家庭用電源100Vでフル充電までに14時間もかかってしまう。専用の急速充電器なら、約30分で80%のチャージが可能だというが、その充電スポットはまだ少ないし、30分とはいえ、やはり時間がかかる。

 ベタープレイスが提案するのは、バッテリーを内蔵するのではなく、交換式にするという選択だ。これであれば数分で空になったバッテリーを満タンにできる。横浜・山下町の実験サイトでは、実証試験の一環としてそのバッテリー交換のメカニズムを公開した。車がバッテリー交換ステーションに入ると、ステーション側と車がブルートゥースで通信をしながら、完全に自動的にバッテリーの着脱交換を行うという。

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公開されたデモンストレーション用のバッテリー交換ステーションとEV

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使い終わったバッテリー(手前)を回収、その後フル充電されたバッテリーに付け替える

 回収されたバッテリーはステーションで充電され、また他の車に使用される。こうした充電ステーションを、一定間隔で整備することで、バッテリー切れの心配なくEVに乗り続けることができる。

 実証試験に用いたEVのベース車は日産デュアリスで、これをモーター走行のEVに改良し、車体の下にバッテリーを装着するようにしている。

 現状では、バッテリー内蔵式EVの価格は400万円以上する。実はその半分近くがバッテリーの値段だという。バッテリーがなければ、現在のガソリン車並に価格を下げることもそれほど難しいことではない。ベタープレイスのビジネスモデルでは、バッテリーは同社が所有することになり、カーオーナーはバッテリー代を負担する必要がない。またバッテリーは確実に回収され、同社が再利用・リサイクルも行う。

 会員制で、課金方式は定額制+従量制のような携帯電話と似たシステムを採用するらしい。

 ベタープレイスでは、ルノー・日産グループと提携し、イスラエルで2011年に電気自動車の量産車を発売する予定という。ベタープレイスはそれまでに同国内に充電インフラを整備していく予定だ。デンマークでは、大手電力会社DONGエナジーと組んでビジネス展開を図っている。

 ベタープレイスの日本法人であるベタープレイス・ジャパンは、この実証試験を受けて、10台程度の交換式EVタクシーによる路上運用テストを来年から実施する予定だ。まずはタクシー市場のEV化をターゲットとして狙う。タクシーは台数でいえば乗用車の2%だが、走行距離にすると20%と稼働率が高い。またサービスエリアが一定していることから、バッテリー交換式によるEVシステムの導入に向いているからだ。CO2の排出もその分多いわけで、タクシーが全てEVになると、日本のCO2排出は3%減るという。
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by greenerworld | 2009-06-19 21:34 | エネルギー  

ハイブリッドブーム、レアアース確保が課題

 トヨタプリウスが5月の月間売上トップ。ホンダのインサイトも好調で、いよいよハイブリッド車が「普通の車」になってきた。今年は電気自動車(EV)も発売されるし、トヨタはプラグインハイブリッドをリースで投入するという。

 ハイブリッド車や電気自動車は当然モーターを搭載している。高性能モーターや発電機に欠かせないのがネオジムやジスプロシウムなどのレアアース(希土類)だが、その生産は中国がほとんどを占めている。かつて日本が投資した鉱山も国家の管理下にあり、簡単には輸出できない。それどころか、国内産業を優先するために輸出を絞っている。

 おそらく次世代自動車はプラグインハイブリッド(航続距離の長く比較的大型の高級車・スポーツ車タイプ)と電気自動車(現在の軽自動車のような街乗りタイプ)に二極化していくだろう。そのキーエレメントであるレアアースがますます不足してくる事態が懸念されるわけだ。国もそこは十分に認識していて、ベトナムやオーストラリアなど他の供給国へのアプローチと並行して、国内廃棄物からのリサイクル(いわゆる「都市鉱山」開発)に取り組もうとしている。しかし、リサイクルの技術もさることながらそのしくみづくりが容易でない。レアアースは他にも光増幅器やレーザー発信器、水素吸蔵合金などに使われる。レアアースがハイテクニッポンのアキレス腱にならないか。
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by greenerworld | 2009-06-04 10:29 | エネルギー  

2008年の日本の太陽電池設置出力、世界6位に後退

 ヨーロッパ太陽光発電産業協会(EPIA)の資料によると、2008年の世界の太陽光発電設置出力(最大値)は、5,559MW(メガワット=100万ワット)と、前年の2.392MWから2.3倍以上に伸びた。トップはなんと2,511MWを設置したスペイン。前年の5倍近くの伸びで、一国だけで世界市場の半分近くを占めた。2位がドイツで1,500MW、3位にアメリカが342MWで入った。4位にランクインしたのは韓国で274MW(前年の6.4倍)、5位イタリアも前年の6.1倍で、258MW。日本はそれに継ぐ6位で230MWだった。前年より伸びたものの、過去最高の290MW(2005年)にはまだ遠い。

 5年後の2013年ののマーケットは、十分な導入促進策が実行されれば、世界で22,325MWに達するとEPIAは予測する。2008年の4倍だ。

 スペインの2008年の伸びはフィードインタリフ(電力の固定価格買取制度、FIT)導入効果で大型太陽光発電プラントが次々建設されたことによるもの。あまりの急拡大に2009年度は上限を設けることになったため、2009年には急減しそうだ。ドイツもFITのレートを下げるので、今後成長率は緩やかになると見られるが、向こう2〜3年は世界のトップを維持するとEPIAでは見ている。

 2011年にはアメリカがドイツを抜き、国別でトップに躍り出るだろうとの予測。イタリア、フランスも今後市場が拡大するとの見立てだ。

 2013の市場予測を地域別に見ると、ドイツを中心にヨーロッパが世界市場の約半分を占め、10,925MW、アメリカが4,500MW、日本・韓国・中国の東アジア3国が4,700MW。中国が2013年には2,000MWに達し、日本の1,700MWを凌駕するだろうという。かつては世界市場の半分を占めた日本だが、わずか10年ほどで10分の1以下になり、市場としての存在感も薄まる。

 福田ビジョンに示された「太陽光発電世界一奪還」だが、EPIAの予測ではかなり難しいということになる。
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by greenerworld | 2009-05-25 09:50 | エネルギー  

パシフィックエタノールが連邦倒産法適用申請

 自然エネルギーニュースサイトのCleanEdgeによると、ビル・ゲイツを始め投資家から華々しく資金を集めたバイオエタノールメーカのパシフィック・エタノールが、連邦倒産法代11条の適用(民事再生)を申請した。資産は5000万〜1億ドル(47億5000万〜95億円)なのに対して負債は最大5億ドル(475億円)にも上り、債権者数は最大999にも及ぶという。カリフォルニア州マデラに開設したエタノール工場始め、ほとんどの工場はすでに操業を停止しており、操業中はオレゴン州のボードマン工場だけ。

 アメリカでは459兆リットルのエタノール生産能力があるが、需要の低迷と倒産によりそのうち380兆リットル分しか生産されていないという。他にも多くのエタノールメーカーが倒産しているが、かつての“エタノール・ブーム”の象徴だったパシフィックエタノールの凋落は、バブルの終焉を意味している。

 エタノールブームもブッシュ政権とともに去り、後には莫大な負債(投資家には損失)が残った。ビル・ゲイツはどこかでうまく売り抜けたのだろうか?
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by greenerworld | 2009-05-21 23:59 | エネルギー  

存在感薄まる日本の太陽電池産業

 最近まで世界の太陽電池の半分をつくり出していた日本だが、この3年ほどで凋落が著しい。直接のきっかけはシリコン不足だったが、その間にEUや中国・台湾のメーカーが急成長し、国内市場の低迷もあって、急伸する海外市場でシェアを奪っていった。太陽電池情報誌「PVNews」によれば、2008年の日本メーカーのシェアは18%までに低下、中国とEUが27%で並び、台湾が12%まで迫ってきた。

 メーカー別に見るとトップは昨年に続いてドイツのQセルズ(生産量570MW)だったが、2位に食い込んだのはアメリカを本拠とするファーストソーラー(504MW)。3位が中国のサンテック(498MW)である。かつてのトップ企業、日本のシャープは4位(473MW)となった。5位には台湾のモテック(384MW)が食い込んだ。日本メーカーでは京セラが6位の他、サンヨー、三菱電機がトップ10から滑り落ちた。前年比伸び率はQセルズが47%、ファーストソーラーが143%、サンテックが52%、シャープが30%、モテックが118%。ファーストソーラーの驚異的な伸びが目を引く。ファーストソーラーは、唯一薄膜系(CdTe:カドミウム-テルル)を中心に生産しており、短期間で生産を伸ばした。来年にはトップを奪い取る可能性がある。シャープは40%伸ばしているものの、2007年の生産は前年割れしており、2006年と比べると9%の伸びにとどまっている。

 Qセルズ、ファーストソーラー、サンテックのトップ3を始め、トップ10のうち6社は2000年代に入ってから市場に参入してきたニューカマーだ。短期間にプレーヤーが入れ替わるのも、この産業の特長であり、第二のQセルズ、ファーストソーラーがひしめいている。シリコン系では安いシリコン原料の製造が中国中心となっており、原料の調達に難しさがある。ファーストソーラーのように、化合物薄膜系の生産が伸びてくるとさらに短期間で業界地図が塗り変わる可能性がある。

 中国の国家発展改革委員会は、中国の太陽電池生産を2020年までに1,800MWにするという計画を2007年に立てているが、最近それをはるかに超える10,000MW以上に達するという見通しが出された。中国では再生可能エネルギーの振興策によって風力発電も大きく伸びている。太陽光発電にも国内市場の刺激策が打ち出され、太陽電池の生産目標も近く見直されるだろうという。ちなみに2008年の世界の太陽電池生産量は7,000MW弱である。大市場はEUそして米国へ、さらに中国へと移ろうとしている。このままでは、日本の存在感は薄まるばかりだ。

 
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by greenerworld | 2009-05-06 15:00 | エネルギー  

7代先まで使える電球

 照明の世界は年レベルで大きく変化している。ここ1〜2年、消費電力の大きい白熱電球廃止の動きが世界中で広がっており、日本でも2012年までに電球型蛍光灯に置き換える方針が昨年発表された。これに対しては反対の声も上がっている。

 電球型蛍光灯は白熱電球に対して消費電力は4〜5分の1、寿命も3〜5倍で、CO2削減に効果が高いと考えられている。価格もかなり高かったが、最近では量販店の店頭では40Wタイプ(消費電力8W)で、1個1,000円以下で売られている。これに対して白熱電球の方は、1個80円程度だが、たとえば、1日8時間点灯すると、1年で白熱灯の方は電気代が2100円、電球型蛍光灯の方は470円(20円/kWhで計算)。その間に白熱電球は1〜2回交換の必要があり、1年間の費用は2200円対1400円程度で、すぐに元が取れてしまう。ただ、電球型蛍光灯は頻繁な点・消灯に弱い、点け初めが暗い、有害な水銀が封入されており処理にコストがかかるなどの問題もある。トイレなどしょっちゅう点けたり消したりする場所には、あまり向いていない。

f0030644_12102843.jpg いっぽう、LED(発光ダイオード)照明は効率が高く寿命も長い。しかし、価格も高くまた周辺部が暗くなるということで、スポット照明などの用途にしか用いられていなかった。ところが、3月に大手T社が電球型LEDを発売したことを知り、さっそく連休でにぎわう都心の量販店で買い求めた(写真)。

 価格は8,980円とかなりお高い。たかが電球1個に1万円近く払う人はよほどの物好きである(私のことです)。しかし、白熱電球40Wタイプ相当(周辺光量30W相当)で消費電力は4.3W、寿命は4万時間もある。

f0030644_12112596.jpg そこで同等性能の3タイプを比べてみたのが右表である。4万時間という寿命は、1日8時間点灯としても13年以上もつということになる。消費電力は電球型蛍光灯の半分ぐらい。4万時間を基準にコストを比較すると白熱電球が3万円以上なのに対して、電球型蛍光灯が12,300円、電球型LEDは12,400円とほぼ拮抗した。点灯消灯の繰り返しによる劣化もなく、点灯すればすぐ明るくなる。熱発生も少ない。水銀も使っていない。

 密閉型の照明にも使えるので、トイレ・洗面所・風呂など、それほど光量がいらないところはとりあえずこちらを使ってみようかと考えている。LEDの特性上高出力のものはまだ開発されていないが、60Wタイプぐらいまではいけるのではないだろうか。いずれ他のメーカーも追随するだろうし、価格が5,000円を割ってくれば十分に競争力が出てくるので、電球型蛍光灯が駆逐される可能性もある。

 で、トイレに使った場合どのくらいもつのか。一日の点灯時間は合計してせいぜい30分ぐらいだから、なんと220年にもなる。一生ものどころか、7代先の子孫まで使えるんである。

 忌野清志郎さんに合掌。
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by greenerworld | 2009-05-03 12:31 | エネルギー  

ポスト・ピークオイル社会のクルマのかたち

 ホンダが発売したハイブリッド車「インサイト」が予想を上回る人気で、トヨタもプリウスの新型車が5月に発売されるのを機に、現行モデルを大幅値下げすることを決めるなど、急遽ハイブリッド車が注目を集めているが、今年は日本にとって「電気自動車元年」でもあることも忘れてはならない。三菱自動車が、初の量産型i-MiEVを発売する予定なのだ。f0030644_2048239.jpg同社は東京電力と共同で充電インフラを開発しており、埼玉県越谷市のイオンレイクタウンなどに設置され始めている(写真。右側の黄色い方は電動バイク用充電スタンド)。

 i-MiEVのサイトを見ると、「三菱自動車が選んだ未来です」とある。このコピーはなかなか意味深長だ。いまクルマはほぼ100%化石燃料で走っている。その化石燃料(石油)の枯渇とそれに伴う価格高騰によって、自動車業界はクルマという乗り物根本に関わる解決策を突きつけられている。もちろん、地球温暖化や大気汚染の問題もある。その答えの一つが電気自動車だ。三菱自動車以外にも、スバル、日産などが電気自動車に取り組み、コンセプトカーを発表している。

 今回の電気自動車は「第3次」と言われる。第1次は70年代。オイルショックの前後で、きっかけは1970年に改訂された大気浄化法(通称マスキー法)。第2次は90年代でカリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションビークル)規制への対応のため。日本ではこのころ京都会議をきっかけにクリーンエネルギー自動車という用語が普及し、こちらも後押しした。しかし、電気自動車は普及しないままに終わった。最大の原因はバッテリーである。バッテリー容量が小さく、航続距離が短いし、充電に長い時間がかかるので、なんとも使い勝手が悪い。

 何しろガソリンはエネルギー密度が大きい。ガソリンを満タンにすれば、燃費のよい小型車ならば500km以上走ることになる。一方、高性能リチウムイオン電池を積んだミニ電気自動車でも、実走でせいぜい100kmも走ればいいところで、まだ鉛バッテリー主流だったころは、環境アピールには使えても実用性に乏しかった。

 逆に言えば、ガソリンのエネルギー密度の大きさが、世界不況に陥っても身動きのとれないビッグ3のような存在を生んだと言うこともできる。ガソリンや軽油はそれだけ“イージーな”エネルギーだからである。

 しかし、「イージーオイルの時代は終わった」と言われる今、クルマはガソリンや軽油に頼らない未来を模索しなければならない。方向は大きく分けると3つある。まず現行の車の燃費を高めていくこと。エンジンの性能、トランスミッションの改良、軽量化……。しかし重装備化が進む現在のクルマにとっては、燃費を1km伸ばすこともなかなか容易ではないし、いずれ限界に突き当たる。ハイブリッド社(HVまたはHEV)はその延長にあり、減速時のエネルギーを回生するとともに、そのエネルギーを加速時に使う(アシストする)ことによって燃費を高めている。トップメーカーのトヨタは、いずれほとんどの車種にハイブリッド車をラインナップするという。

 燃料の多様化はこのサブカテゴリーだ。ガソリン、軽油から、いわゆるバイオ燃料への代替である。ただこれが解決にならないことはすでに白日のものとなっている。現状のような車のままでは、せいぜい数%が代替できるかどうかというところだろうが、車側はいずれにせよバイオ燃料への対応を進め、“デュアル・フューエル”あるいは“マルチ・フューエル”化するだろう。

 2010年代の中ごろまでは、こうした方向に進むだろう。その先にプラグイン・ハイブリッド(PHEV)がある。これは電気とガソリン・軽油(またはバイオ燃料)を併用するが、むしろ電気が主であり、高速走行時や長距離を走る際に液体燃料でアシストする。

f0030644_20541077.jpg このプラグイン・ハイブリッドまで技術的に対応できるのは、国内では2社程度と見ている(写真は走行試験中のプラグイン・プリウス)。ヨーロッパでも2~3社、アメリカではもしかすると1社もないかもしれない。GMには可能性があったが会社そのものの存立が危うく、開発資金が手当てできそうにない。貧すれば何とやらである。

 2つ目の方向が燃料電池自動車(FCEV)で、これは詳しく書かないがいずれ挫折するはずだ。よほど技術的ブレークスルーがない限り、エクセルギー的に成り立たない。

 そして3つ目が電気自動車である。いや究極は全て電気自動車になると、経産省などでは考えているフシがある。PHEVもFCEVも実は電気自動車であり、電気自動車の技術向上によって、ここに収斂していくという見方である。しかし、先ほど言ったようにバッテリーの問題がある。充電時間も含め、これ以上バッテリーを高性能にすることも難しそうだ。

 しかし、すでに海外では一足早く電気自動車の時代(第3次ブーム)はスタートしている。カリフォルニアの電気自動車ベンチャー、テスラ・モータースがテスラ・ロードスターを市販し始めているし、ノルウェイのシンク(THINK)もコンパクトなシンク・シティを販売している。

 充電時間の問題も、08年12月10日の当ブログで紹介したベタープレイス社のビジネスモデルのように、バッテリーそのものを交換してしまうことで解決できる。このアイデアは日本にもあったが、実用化では先を越されそうだ。複数のバッテリーメーカーがひしめき、自動車会社と提携を結んでいる日本では難しいかもしれないが、小型電池のような規格化ができれば、この方式はすぐにでも普及するだろう。ガソリンスタンドも電気スタンドに模様替えして生き残れる。

 ただ航続距離が短いという電気自動車の限界は当分(永久にかもしれない)解決しないだろう。それであれば航続距離の短い乗り物として使い、長距離の移動は別の手段にまかせるという考えもある。それほど高性能な電気自動車でなくてもいい。もっと簡便で安価な乗り物が出てくる必要がある。インド、タタモータースの20万円カー「ナノ」の電気自動車版が、新興国から発売される日も遠くないかもしれない。

 個人がクルマを所有するというスタイルから、必要なときに必要な形で“移動というサービス”を提供するシステム(ビジネス)構築も望まれる。町の構造やライフスタイルも含めて、クルマ社会からどう脱却するか、ポスト・ピークオイル社会に向けたビジョンが必要だろう。
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by greenerworld | 2009-03-25 20:51 | エネルギー  

インサイトのバッテリーも

 ホンダのハイブリッドカー、インサイトが発売になった。プリウス同様ハイブリッド専用モデルとし、しかもプリウスとスペックはほぼ同じでありながら189万円からという戦略的な価格設定である。これはプリウスにとって大きなライバルとなることだろう。

 トヨタ・プリウスも1月のデトロイトモーターショーで新型を発表した。気になっていたのはバッテリーである。2008年度中にはリチウムイオンを搭載したタイプを発売するのではないかと噂されていたからだ。トヨタのハイブリッド車用バッテリーを生産しているのは、静岡県湖西市にあるパナソニックEVエナジー社である(パナソニックの名を冠しているがトヨタ自動車が60%の株を保有する)。ここで2008〜2009年にはリチウムイオンバッテリーの生産ラインが一部動き出すはずだった。ところがデトロイトで発表された新型プリウスに搭載されていたバッテリーはニッケル水素だった。

 今日発売されたインサイトのバッテリーもニッケル水素である。リチウムイオンバッテリーを市販車に搭載するには、まだ解決すべき問題が残っているのだろうか。それとも単にコストの問題なのか。本格的なプラグインハイブリッド、電気自動車時代には、エネルギー密度の大きいバッテリーが不可欠だとされており、「革新的二次電池」が開発されるまでの本命がリチウムイオンバッテリーと見られている。

 しかし、リチウムイオンバッテリーはパソコンや携帯電話で発火事故を起こしている。自動車に搭載してトラブルが起きた場合大問題になる。メーカーが慎重に慎重を重ねていることは間違いない。バッテリーのエネルギー密度が高まれば、当然事故が起きやすくなるのは道理だ。さしあたり、市販車で最初にリチウムイオンバッテリーが搭載されそうなのは、今年発売予定の三菱のi-MiEVであるが、記録的な販売不振がスケジュールに影響を与えそうである。

 国を挙げて次世代バッテリーの技術開発に力を注ぐのは結構だが、コンパクトな乗り物を使った効率のよい交通システムは、もっとローテクでもできるはずだ。ハイテクにこだわっていると、そのあたりの市場はインドや中国に奪われてしまうかもしれない。
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by greenerworld | 2009-02-05 21:44 | エネルギー  

電気自動車ビジネスの“仕掛人”が日本に上陸

 アメリカ西海岸サンフランシスコ湾のベイエリアを電気自動車(EV)の街にする、こんな構想が発表されたのは11月のこと。2012年までにサンフランシスコ、サンホセ、オークランドにまたがる同地区に、EV用の充電ステーションを整備する計画だ。サンフランシスコ市のニューサム市長は、EV普及のために租税優遇措置を実施すると述べている。同時に域内のありとあらゆる場所で充電用の設備を整える計画だという。EV用のインフラストラクチャーを提供するのは、パロアルトに本社があるベタープレイスというベンチャーだ。

 EVはポスト石油、温暖化対策の切り札の一つとして期待されているが、航続距離が短い、充電に時間がかかる、そもそも充電インフラがないなどの理由から、これまで何度も市場化が試みられながら普及には至らなかった。しかし今回の“ブーム”(現実にはブーム前夜だが)では、リチウムイオン(Li-ion)バッテリーの登場により性能が向上したことから、期待値が向上している。しかし、それでもLi-ionバッテリーの重量エネルギー密度はガソリンに比べると80分の1程度で、航続距離を稼ぐにはたくさんバッテリーを積む必要があるが、それではバッテリーにスペースを奪われてしまう。日本テレビの番組「ザ!鉄腕!ダッシュ!」のソーラーカーだん吉号の荷物スペースは、バッテリー(鉛蓄電池)で満杯のはずである。ちなみにだん吉は太陽電池で動いているわけではなく、大量のバッテリーを毎日積み替えていると思われる。

 バッテリーEVに航続距離を求めると、非効率でコストもかさむ。長距離走行には元々向いていないのだ。EVのバッテリーはほどほどに積むべきで、短い距離を走る街乗りに向いたものということになる。

 もう一つの問題が充電時間である。Li-ionバッテリーは短時間の充電が可能とはいえ、09年に発売を予定している三菱自動車のiMiEVでは、100Vの家庭用電源だとフル充電まで14時間かかる。専用の充電スタンドで30分で80%まで急速充電できるというが、やはり今使いたいというときにバッテリー不足になる不安は残る。

 この解決策として考えられるのが、バッテリーそのものを交換式にすることである。スタンドで使い終わったバッテリーを取り出し、満タンのバッテリーと交換してもらうのだ。これならわずかな時間ですむ。しかもバッテリーが確実に回収できる。今あるガソリンスタンドでバッテリー交換ができれば航続距離の心配はしなくてすむだろう。もちろん、家庭で充電することもできる。

 ベタープレイスが推進しようとしているビジネスモデルが、このバッテリー交換式なのだ。同社はすでに、イスラエル、デンマーク、オーストラリアで事業を進めており、12月にはハワイでも事業が開始されることが発表された。そのベタープレイスが、iMiEVやスバルのプラグインステラなどとともに、環境省のFS事業に参加することになった。2009年1月に横浜にバッテリー交換スタンドを開設する予定だという。車は日産ローグのEV版のようだ(写真)。ブログ子的にはEVには大きすぎるんじゃないかと思うのだが。
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 ともあれ、デトロイトの前世紀の巨人たちが存亡の危機にある中で、西海岸ではこのベタープレイスやテスラモーターズなどEVビジネスのベンチャーが続々名乗りを上げているというのもアメリカらしい。
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by greenerworld | 2008-12-10 19:03 | エネルギー  

IEAが原油生産の急激な減少と価格上昇を警告

 国際エネルギー機関(IEA)は来週年次報告書であるWorld Energy Outlook2008を発表するが、その中で、世界経済が回復すれば再び原油価格は100ドル/バレルを超え、2030年までには200ドルを突破するとの見通しが示されるようだ。英経済紙フィナンシャルタイムズが伝えている。

 新興国の発展に伴い石油需要が高まる一方、古い油田の生産量が減少し、新規油田の開発にコストがかかるようになるため、としている。需要の伸びと減少を補うためには、2010年までにサウジアラビア一国の生産量(日量約700万バレル)に相当する量を新規開発などによって確保しなければならない。石油産業は2030年までに毎年3500億ドル(35兆円)の莫大な投資が必要だとしている。

 中東の主要な油田を含め現在の主な油田はほとんどが1970年以前に発見・開発されたものである。M.K. ハバートの「ピークオイル説」をIEAもある程度認めざるを得ない状況になっている。報告書では、既存油田の生産量の自然減少率は9%、増産努力によって6.7%まで減らすことができるが、それでも2030年までには8.6%に達する見込み。

 生産量が減れば需給バランスが崩れ、新規投資が功を奏してもコスト高で、いずれにしても安い石油の時代は終わりを告げたということになる。経済が回復すれば原油高が襲い経済の足を引っ張る。石油に頼っている限り、このジレンマから抜け出せなくなりそうだ。
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by greenerworld | 2008-11-06 11:20 | エネルギー