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カテゴリ:生物多様性( 55 )

 

本日の成果

 トウキョウサンショウウオの産卵期を控えた年の瀬、丘陵地の谷戸で産卵池掘りをしてきた。地権者の承諾を得て、沢水がたまるよう湿地をスコップで掘る。もとは田んぼだった場所で、耕作されていたころはたくさんのサンショウウオやらアカガエルやらが産卵にきていたことだろう。耕作放棄されて久しく、田は埋まり、水路はほじくれて、たまり水は消え失せていた。ここにわずかでも水場を復元してやれば、産卵に来てくれるのではないかと期待しての作業だ。午前中に掘ったのが写真の水たまり。午後にもう一つ。しかし、いかんせん水が細く、水はなかなかたまらない。谷戸の乾燥化はまわりの山の保水力低下も一因ではないか。池を掘るだけでなく樹林地にも手入れが必要だ。せっかくつくってもイノシシのぬた場になるかもしれない。増えているアライグマの食害も心配。一人ではとても無理だなあ。一緒に作業していただける方、いませんか。
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by greenerworld | 2009-12-23 22:05 | 生物多様性  

クマバチは意外と都心に多い

 先月末訪れた葛西臨海水族園で、ネズミモチの花にクマバチ(キムネクマバチ)がたくさん来ているのを見た。案内してくださった職員の方にたずねたら、春先には芝生広場でオスがホバリングしながら、縄張り行動を取っているのがよく見られますよ、とのことだった。クマバチは単独営巣性で枯れ木に穴を開けて巣をつくる。園内には剪定した木を野積みにしてあるそうなので、そうした材を巣に利用しているのだろう。まあ、蜜や花粉の供給源はたくさんありそうだ。

 それで、先日エコライフフェアが開かれていた代々木公園でも探してみたら、ハーブガーデンにたくさんクマバチがいた。やはり古い公園だと大木も多いし、巣材には困らないのだろう。ただし、クマバチは食性も広いし、花に潜り込まずに食い破って蜜を集めるため(何しろ木に穴をうがつくらいで顎の力が強い)、授粉にはあまり寄与しないという説もある。クマバチ=自然が豊かだとは、いちがいに結びつけられないと思った。むしろ人為的な環境にうまく適応していると見るべきか。

 写真はハーブの花に来たクマバチ(代々木公園)。なかなか愛嬌があります。
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by greenerworld | 2009-06-09 07:43 | 生物多様性  

カエルツボカビは日本起源?

 2006年暮れ、日本でも発見され大きな問題となったカエルツボカビ症。その後野外でも陽性個体が発見されたが、いずれも発症に至らないケースであったことから、日本の両生類はツボカビに抵抗性を持つのでないか、との見方も出ていた。今回それを裏付けるような結果が国立環境研究所などの調査でわかったと毎日新聞が報道している。毎日新聞のサイトによると、日本の野生のカエルからツボカビの系統が30種類発見された。一方、感染で大きな被害が出た中米やオーストラリアでは、日本で見られる系統を含む1系統しか見つかっていないという。通常、多くの遺伝的変異を持つ地域の方が起源は古いと考えられることから、中米やオーストラリアには、日本を含むアジアから広がった可能性がある。

 つまり、2006年のツボカビは、侵入したのではなく、もともといた(あるいは里帰りした)ものだったのかもしれない。野外で陽性でありながら発症しないのは、日本の両生類はツボカビと長くつきあってきたため抵抗性を獲得していたということになる。2007年時点では、ツボカビはアフリカ起源で、アフリカツメガエルなどの実験動物とともに広がったと考えられていた(2007.1.14付小ブログ)が、その説が書き換えられることになるのか。

 日本では大正年間にウシガエルが食用に持ち込まれ、各地に広がった(現在外来生物法で特定外来生物に指定されているのはその時の子孫)あと、戦前、戦後の一時期アメリカにも輸出されている。しかし、このときは肉を冷凍で輸出しているため、これによってツボカビが広がったとは考えにくい。ケープタウンの博物館にあった1938年のアフリカツメガエル標本からツボカビが確認されたというのが事実であれば、その時までに日本を含むアジアから何らかの形で生きたカエルが南アフリカに持ち込まれていたことになる。これもまた考えにくいことである。真相の究明にはアフリカでの再調査も必要となろう。

 日本の両生類にとってはとりあえずほっとするニュースだが、抵抗性を持っていない地域の両生類の危機は続く。
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by greenerworld | 2009-05-05 17:38 | 生物多様性  

ミツバチだけじゃない

 農薬の影響かウィルスか、日本でも養蜂セイヨウミツバチが減っており、果樹の受粉に影響が出ているという。アメリカに端を発したCCD(蜂群崩壊異常)がいよいよ日本でも、と心配されているようだ。事の本質は生態系全体の劣化にあるのだが、そのことにふれているメディアはブログ子の知る限りない。

 CCDの原因は複合的な要因とされているが、長く「家畜」として育てられてきたセイヨウミツバチの脆弱さがその背景にあると考えている。セイヨウミツバチは数千年前から中東やヨーロッパで飼育されてきた歴史があり、その間に飼いやすく蜜を多く貯める系統が選び出されたと思われる。アメリカにもたらされたのも、その「家畜ミツバチ」である。しかもアメリカのミツバチは移民時代に運ばれた少数の群れから増えたもので、遺伝的な変異はさらに小さいはずである。こうしたことから元々病気や外敵、環境変化に弱いと考えられる。一方アメリカの作物もヨーロッパや中央アジア起源のものが多く、小麦など穀類を除いては、実をつけ種子を結ぶために花粉を運んでくれる送粉者(ポリネーター)を必要とする。そのパートナーこそ同じユーラシア起源のセイヨウミツバチである。日本でも果樹にはリンゴやサクランボなどヨーロッパや中央アジア原産のものが多く、この受粉にはミツバチが必要だ(ただし在来種のニホンミツバチでも可)。ブロッコリーなどの野菜類も種をつけるためにミツバチの助けを必要とする。でなければ、翌年蒔く種をつけてくれなくなり、栽培が継続できない。

 ミツバチは、ハナバチ(花蜂)類という大きなグループの一員である。ハナバチはクマバチやマルハナバチなど、花粉と蜜に依存しながら暮らすハチの仲間である。彼らは餌を集める過程で(図らずも)植物の授粉を行っている。もちろん受粉を助けるのはチョウやハナアブなど、ハナバチ以外にもある。花(植物)とポリネーターの関係は共進化という現象で結ばれ、花はポリネーターを誘うために、またポリネーターは効率よく花粉や蜜を集めるために、さまざまな形態・機能上の進化を遂げ、特殊化してきた。

 果樹や野菜に限らず、陸上の多くの植物は、種の存続にポリネーターを必要とする。またポリネーターも植物(花)の提供する花粉や蜜に依存している。持ちつ持たれつの関係はどちらかがいなくなったときに、相手も存続できなくなることを意味する。開発で植物が失われるとポリネーターが滅び、ポリネーターが農薬の影響で死滅すると、いずれ植物も消えていく運命にある。

f0030644_827551.jpg ポリネーターが世界各地で減少しているという報告が気になる。負のスパイラルを転げ落ち始めているのではないか。ミツバチの減少は、果樹や野菜の受粉という人間にとっての直接の利害に関わる。しかし、ポリネーター全体の減少は、間接的にじわじわと私たちの未来を狭めていく。ハチの羽音が聞こえなくなったとき、それは生態系の崩壊の始まりなのかもしれないのだ。
(写真はツリフネソウの花に潜り込んで花粉と蜜を集めるトラマルハナバチ)
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by greenerworld | 2009-04-30 08:32 | 生物多様性  

いま手をさしのべなければ

 このところ時間があれば近くの里山にトウキョウサンショウウオの調査に入っている。昨年、確認できなかった生息地もあり、何とか産卵が見られないものかと願いつつ、冷たい水に手を入れ落ち葉の下を探ってみるが、手応えは虚しい。水場そのものが縮小・消失して産卵できなくなっているばかりか、水場があってもほとんど産卵が見られない。昨年以上の減少傾向で、絶滅の坂を転げ落ちているのかと天を仰ぐ。

 丘陵地に生息し、早春浅い止水に産卵するトウキョウサンショウウオにとって、開発に加え里山の放置によって水場が消失することが何より影響が大きい。谷戸の細流は谷川のように浸食が進み、かつての水田は乾燥化して植物が生い茂っている。湧水も減少しているようだ。

 さらに脅威なのは、捨てられたアライグマが定着し、増えていることだ。アライグマは、産卵のために水場に集まったトウキョウサンショウウオを食いちぎり、卵塊にも手をつける。人間の身勝手さが、長い間ひっそりと生きてきた里の生きものを追いつめている。

 つい最近、保護池のトウキョウサンショウウオの卵塊が夜中にごっそり持ち去られるという事件があった。こちらは人間の仕業である。インターネットのオークションサイトには、成体や卵塊が売りに出されている。成体もほとんどはこの時期に水場に産卵にやってきて捕獲されたものだ。2006年に国の絶滅危惧II類に指定されたことでマニアの間では価値が高まった。希少であればあるほど価格が上昇する。全く腹立たしく、愚かしい話である。
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by greenerworld | 2009-03-22 10:27 | 生物多様性  

佐渡は居良いか住み良いか

 佐渡で放鳥されたトキ10羽(うち1羽は死亡)のうち3羽目が本州に渡ったようだ。「草木もなびく」とうたわれた佐渡も、どうもトキには住みづらいのだろうか。保護センター近く、せいぜい佐渡島内にとどまって自然繁殖してくれることが最も望ましかったわけだが、これだけ互いに離れてしまうと、繁殖のチャンスまずあるまい。実際、本州に渡った3羽は全てメスで、いまのところ佐渡に残ったメスは1羽のみ。

 気になるのはこれらのトキが中国産であるということだ。かつては大陸との間で渡りもあった可能性も否定できないが、基本的には個体群が異なる。しかも中国の生息地は温暖な地域であり、雪が大量に積もるようなところではなさそうだ。積雪の中で餌を採るような行動が身についているのだろうか。

 他にも個体群が異なることで気になることはたくさんある。寒さへの適応、土着の細菌や寄生虫への対応などだ。行動パターンも異なるのかもしれない。あくまで中国産のトキなのである。以前も書いたが、日本の自然環境に適応したトキの個体群は滅びた、いや我々が滅ぼしてしまった。そのことを棚に上げて、“野生復帰”だ、本州に何十年ぶりの飛来だなどと浮かれているのは、どう考えてもおめでたいとしか言いようがない。

 中国産のトキを定着させたいのなら、九州南部か四国南部あたりに保全地をつくった方がうまくいくような気がする。東国原さん、立候補してはいかがですか。
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by greenerworld | 2009-03-11 14:09 | 生物多様性  

ずどん

 茨城県土浦市で「ずどん」なるものを食べた。「ず」とはなまずの略で、なまずの切り身を天ぷらにした天丼。つまりなまず天丼の略なのだ。皮はさくさく、身は淡泊でなかなかおいしい。この「ずどん」、日本に古くからいるものではなく、霞ヶ浦で猛威をふるっているチャネルキャットフィッシュ(別名・アメリカナマズ)が原料。アメリカナマズは特定外来生物に指定されており、在来生態系や漁業に甚大な影響があるとして駆除が行われている。それを食材に利用しているわけだ。対岸の行方市では、アメリカナマズを使った「行方バーガー」というご当地フィッシュバーガーを売り出しているそうだ。昨年秋に、栃木県の川魚料理屋さんでうかがったところによると、その店でもナマズ料理は霞ヶ浦産のアメリカナマズを使っているという。「日本のナマズを使いたいのだが、まとまった量は手に入らない」とか。

 特定外来生物も、こうなると経済に組み込まれてしまって、駆除より資源確保という話になりはしないかと心配になる。ナマズは養殖が難しく、天然物は激減している。その最大の原因は、河川・農業用水・水田の構造変化である。ナマズは成魚が池や湖や河川の本流に住むが、産卵は水田や水田まわりの小水路で行う。そうした場所が激減してしまったのに加え、湖や河川の本流から遡上することもできなくなっている。コンクリートで固められて、ナマズが潜む穴もない。アメリカナマズのずどんは700円だったが、もし本物のずどんを食べようと思ったらどんな値段を取られるのだろうか。
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by greenerworld | 2009-01-29 16:42 | 生物多様性  

トキが38年ぶりに本州に?

 新潟県の胎内市で、佐渡から海を越えてきたトキらしき鳥が目撃され話題になっている。確認されれば、能登半島で1970年に捕獲されて以来とか。

 ちょっと待ってくれ。日本のトキはすでに絶滅したはずだ。今回佐渡で放鳥した10羽は、飼育下で増やした中国産のトキである。トキがまるで復活したような騒ぎだが、日本のトキは滅びた、いやわれわれ日本人が滅ぼした。それが厳然たる事実である。

 トキ復活の取り組みが、トキがすめる環境の復元を目指していることは評価する。しかし、なぜここに至ったかをもっときちんと伝えるべきだろう。羽をとるために乱獲し、農薬を撒き、餌をとれる環境を奪った。ニッポニア・ニッポンという学名をもつ鳥は、こうして日本から消えたのである。そのことをもっと重く考えるべきだ。

 胎内のトキも、佐渡に餌がなくて飛んでいったのだろうなとも思う。人間の都合に翻弄される生きものの哀れさを感じてしまう。

 こんなことを言うから嫌われるんだな、きっと。
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by greenerworld | 2008-10-31 18:14 | 生物多様性  

新たなインベーダー、オオタナゴ

 カダヤシ、ブラックバス、ブルーギル、アメリカオオナマズと、外来魚の定着により在来生物が脅かされている日本の淡水水系。茨城県の霞ヶ浦では、2000年ごろに新たな外来魚オオタナゴが発見され、利根川水系の河川、湖沼に広がっているという。

 オオタナゴはアムール川流域から海南島にかけての東アジア原産のタナゴの仲間で、在来のタナゴと同じように、メスが産卵管を伸ばし淡水産二枚貝の中に卵を産む。当初は霞ヶ浦に注ぐ小野川、新利根川河口付近にしか見られなかったが、次第に生息域を広げ、2008年の調査では霞ヶ浦、北浦、利根川、手賀沼、さらに印旛沼でも確認されている。霞ヶ浦および北浦の4調査地点では、在来のタナゴとアカヒレタビラが2008年にはほとんどオオタナゴに置き換わっているという。今後、運河でつながっている中川や荒川流域への拡大も懸念される。

 なぜ、オオタナゴが霞ヶ浦に侵入したのか。疑われているのが、淡水真珠養殖だ。最初に発見された地点では、中国産のヒレイケチョウガイによる淡水真珠の養殖が行われていた。オオタナゴはこのヒレイケチョウガイに卵を産む。オオタナゴの卵を持ったまま、ヒレイケチョウガイが持ち込まれた可能性がある。

 悪いことに、オオタナゴはイシガキガイやドブガイなど、ヒレイケチョウガイ以外の在来淡水二枚貝に卵を産むようになった。これらの貝は在来のタナゴ類が産卵に利用している。ここで競合が起こり、在来種が産卵できなくなったと考えられる。在来種への影響はタイリクバラタナゴ以上に大きそうだ。
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オオタナゴ♂


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産卵管を伸ばした♀。いずれも土浦の自然を守る会パンフレットより

 土浦の自然を守る会では、パンフレットを作ってオオタナゴの情報提供を呼びかけている。止水域や大きな河川で見慣れぬ大きなタナゴが捕れたらデジタル画像を添えて同会に一報を。

 土浦の自然を守る会:茨城県土浦市中央1-8-16
 VZD00377○nifty.com(スパム回避のため英数字を全角に、@マークを○に変えています)
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by greenerworld | 2008-10-03 12:18 | 生物多様性  

火星からやってきたアリ

f0030644_2046957.jpg アマゾンの熱帯雨林の土中から見つかった新種のアリ。学名はMartialis heureka(火星から来たアリ)と名付けられた。1億2000万年前にハチの仲間から別れたアリ類の祖先に非常に近い種だという。体長は3mmほどで目は退化しており、強大なあごで獲物を捕らえるらしい。
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by greenerworld | 2008-09-16 20:34 | 生物多様性