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カテゴリ:生物多様性( 55 )

 

ボルネオゾウは絶滅したジャワゾウの子孫か

 ボルネオゾウは、マレーシア・ボルネオ島(インドネシアではカリマンタン島)のサバ州東南部やインドネシア側の東カリマンタンの限られた地域にのみ生息する、森林性の小型ゾウ。アジアゾウから分かれた亜種と考えられている。2003年に行われた遺伝子調査では、ボルネオゾウがアジア本土やスマトラのゾウとは大きく異なることが明らかにされていた。

 地元では、数世紀前に一帯を支配していたスールー王国のスルタンが連れてきて森に放したとの言い伝えが根強くあった。

 どうやらこの言い伝えが正しいことが、新たな研究によって明らかになった。ではどこから連れて来られたのか。その故郷はボルネオ島の南にあるジャワ島だ。ジャワ島にいたジャワゾウがボルネオゾウの祖先だという。ジャワゾウは数世紀前に絶滅してしまっている。つまり、ボルネオがジャワゾウの“箱船”になったということになる。条件さえ良ければ、一つがいが300年のうちに2000頭に増えることは十分にあり得ることだという。

 ボルネオゾウの生息範囲は開発により狭められている。いまでは数も1000頭ほどしか残っていない。農園を荒らすために射殺されるゾウも少なくないという。(WWFより)
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by greenerworld | 2008-04-19 18:09 | 生物多様性  

トウキョウが危ない

 今年はトウキョウサンショウウオ研究会が1998年に一斉調査を行って、10年目にあたる。5日に担当のあきる野市東北部の丘陵部を見て回った。この地域はトウキョウサンショウウオの基準標本(新種として記載される元となった標本)の産地なのだ。

 10年前に産卵が確認されたポイントに、今も産卵があるかどうかを確認する作業。f0030644_21364052.jpgトウキョウサンショウウオは小型の両生類(有尾類)で、ふだんは林の中の湿った地面の空隙や落ち葉の下などで暮らす。めったにお目にかかることはないが、両生類のさだめで産卵は水の中、幼生も水中で成長するため、早春に水場に集まる。メスはバナナ型の卵嚢を一対産む。したがってこの卵嚢を数えれば産卵したメスの成体の数がわかり、生息状況のおおよその目安になる。

 トウキョウサンショウウオが産卵するのは水田や側溝、わき水の水たまりなど、止水が多い。かつての里山の谷戸田のような環境だ。人の手が入っていると、水場も維持され、サンショウウオが産卵しやすくなる。しかし、放置された谷戸田は落ち葉で埋まり、ヨシが生え、水路も深くほじくれて次第に乾燥化する。この10年でますます環境は悪化した。開発も進んだ。

 果たして、調査結果は散々。10年前に確認された産卵場で、5日に調査できた12か所のうち、産卵が確認されたのは半分だけ。水場が完全に干上がっているところも少なくない。数も激減している。

 加えて、青梅市や八王子市では、捨てられて野生化したアライグマが産卵に訪れたサンショウウオや卵嚢を食い散らかす被害もあるという。これもこの10年間のことだ。

 8日の東京は春の嵐、丘陵部では150mmほどのまとまった雨が降った。水たまりができて、遅い産卵に来るトウキョウサンショウウオもいるのだろうか? このままでは東京からトウキョウサンショウウオが消えてしまうかもしれない。

 もう一つの東京の名がついた両生類、トウキョウダルマガエルもめっきり少なくなった。こちらは平地の水田が生息地で、水田そのものが東京ではもはや絶滅寸前。
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by greenerworld | 2008-04-09 21:39 | 生物多様性  

無効分散または死滅回遊

 今ごろの季節に湘南や房総の海岸の潮だまりに行くと、スズメダイやチョウチョウウオのなかまなど熱帯・亜熱帯の魚がよく見られる。春に生まれ、稚魚が黒潮にのって流されてたどり着いたもの。ただし、冬の寒さに耐えられず死んでしまう。以前は死滅回遊という言葉が使われていたが、マグロやカツオの回遊のような周期的な移動とはちがうので、最近は無効分散といわれているようだ。通常は「無効」だが、たどり着いた先の条件がよければ(温かければ)、定着することもある。こうして分布を広げることもあり得るし、低温に適応して種分化する場合もあるだろう。

 動物の周期的な移動を、陸上では回遊ではなく渡りという。寿命が短いこともあり、昆虫には渡りをするものはほとんどない。長距離を移動するというアサギマダラも同じ個体が行ったり来たりするわけではないので、鳥の渡りとはちがう。10月18日に紹介したツマグロヒョウモンのように、温かいところから北上・東進する場合も一方向への分散で、しかも冬が越せず大方は無効分散になる。しかし、最近都市が暖かくなっている。とくに冬の最低気温が高くなっているため、越冬が可能な地域が広がった。しかも、食草になるパンジー(ビオラ)が冬でも公園や庭で咲いている。そんなこんなで、市街地中心にツマグロヒョウモンが分布を広げているのだろう。

 一方で野生のスミレ類は雑木林や草原の開発・管理低下で減少している。野生のスミレに依存するヒョウモンチョウ類にはすみにくい世の中だ。
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by greenerworld | 2007-10-20 12:15 | 生物多様性  

尊徳先生エコロジーを語る

 本ブログ6月7日付で二宮尊徳(金次郎)の“エネルギー論”を紹介したが、“エコロジー論”を見つけた。やはり弟子の福住正兄がまとめた『二宮翁夜話』に「万物はことごとく天の分身であって、神になり仏にもなりうる」という、尊徳の説話が紹介されている(天の巻・第一編・四十四)。それによると尊徳は、人はもちろん、鳥、獣、虫、魚、草木に至るまで、天地の間に生きているものはみな天の分身であり、天地の力をもってして生まれたものであって、人力を持って生み育てることはできない、と語っていたという。

 人間はその長である、とも述べている。だが、その理由は他の生きものを勝手に生殺してもどこからもとがめられないからだ。本来は何の区別もない。生きものはみな天の分身であるから、仏教ではことごとく仏であり、神道ではことごとく神であるという。

 次の節(同・四十五)では釈尊の「天上天下唯我独尊」について述べ、これは自分も人もただひとり、それぞれにとって天上にも天下にも自分自身にまさる尊きものはないという意味だと説く。自分がなければそこに物がないのと同じ、銘々がみな独尊である。そればかりか、犬も鷹も猫も杓子も独尊と言ってよいと。

 人は万物の長であるといいつつも、けっして人間の優位性を強調してはいない。仏教や神道についての解釈の下りではあるが、生物の相互作用や多様性の重要性、すなわちエコロジーについて、尊徳は直感的に理解していたのではないかという気がする。深読みしすぎでしょうか。

 C.ダーウィンの『種の起源』は残念ながら尊徳の死の3年後、1859年の出版。尊徳先生に『種の起源』の感想を語っていただきたかった。
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by greenerworld | 2007-10-17 08:19 | 生物多様性  

脱皮する植物

 最近(ひそかに)凝っているのが多肉植物。乾燥した場所に生育するために特殊化した形態や生活史が魅力。水を切らしても大丈夫、というよりあまり水をやってはいけないのだから、世話がかからないというのも大きな理由だ。

 ベンケイソウの仲間、ツルナの仲間に多肉植物が多い。サボテンも多肉植物であるが、園芸上は区別しているようだ。昨年出張先で立ち寄った農産物の直売所で目が止まった。それまでに見たこともなかった姿。調べてみたら、ツルナの仲間のコノフィツム属のようだ。

 f0030644_837068.jpgで、この植物、どこが変かというと「脱皮」するんです。夏になると古い葉の表皮にしわが寄って茶色くなる。この時期は休眠期(写真上)。その内側では新しい葉が形成されていて、秋になると古い皮を破ってみずみずしい葉が現れる(写真下)。初冬に可憐な花を咲かせる。

f0030644_8364363.jpg ただ日当たりとか湿度とかのコントロールはけっこううるさい。世話がかからないというのは予断だった。この株もしっかり日に当ててやらなかったせいか、育ちが悪い。今年は花が咲くかどうか。

 コノフィツム属にはたくさん種類があるらしい。集めてみようか、悩んでいます。

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by greenerworld | 2007-10-01 08:41 | 生物多様性  

カエルツボカビが野外でも見つかった

 昨年12月に日本国内で飼育されていたカエルへの感染が確認されたカエルツボカビ症が、野外でも確認されたことが、昨日神奈川県相模原市の麻布大学で行われた「カエルツボカビフォーラム2007」における発表で明らかになった。カエルツボカビ症は中米やオーストラリアで猛威をふるい、多くの野生のカエルを激減させ、いくつかは絶滅に至ったという深刻な感染症(カエルを絶滅させるツボカビが日本に侵入参照)。日本でも野外への拡大が心配されていたが現実になってしまった。検査で陽性だった野生個体は神奈川県内で採集されたウシガエル4匹。それ以外にもごく短期間(時間)しか人間の管理下に置かれていなかったアマガエル、ヒキガエル、イモリなど野生個体でも、陽性が確認されたという。ただしいずれも発症はしていない。

 野外での調査はまだ…(続きを読む)
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by greenerworld | 2007-06-11 13:52 | 生物多様性  

大好きなあの動物も、謎の病気で絶滅の危機に

 タスマニアン・デビル。10年ほど前、タスマニア(オーストラリア南部の島)のホバート郊外にある野生動物公園で実物を見て以来(実はその前からとても気になっていたのだが)、すっかりお気に入りの動物の一つだ。オーストラリア固有の有袋類の一種で、大昔はオーストラリア本土にも分布していたようだが、今ではタスマニアにしか生息していない。メスはおなかに袋をもっていて、カンガルーやコアラと同じようにその中で子を育てる。名前は恐ろしいが、ころころした体つきで、大きさは小型犬ほど。吠え声(いやうなり声というべきか)は夜暗いところで聞いたら、やはり恐ろしいかもしれないが、動作も俊敏ではなく、実際には動いている獲物を襲うことはほとんどないという話だ。

 その愛すべきデビルに顔面腫瘍の病気が蔓延しているという。確認されたのは1996年が最初だが、今ではタスマニア島内56%の地域に広がっており、野生のデビルが確認される頻度も激減している。捕獲されたデビルの8割以上がこの病気にかかっているという。ガンの一種がなぜこんなに短期間に広がっているのか、まだ原因が突き止められていないが、デビル同士の接触によって「感染」しているらしい。

 病気の広がっている地域で健康な個体をとらえて、病気のない地域へ移動させたり、野生動物公園に非難させたりする対策が始まっている。沖合の島に保護のための避難地を設ける「箱船計画」も検討されているという。

 いったいデビルに何が起こっているのか。この星のシステムに狂いが生じてきてはいないだろうか。
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by greenerworld | 2007-05-06 10:45 | 生物多様性  

ミツバチの集団崩壊に寄生虫(カビ)原因説

 ミツバチの謎の集団崩壊(CCD)を巡って、原因究明レースが展開されている。

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究グループは、寄生性の微胞子虫類の一種が原因の一つである可能性を指摘した。ただし、まだ予備的な調査段階であり、結論は出されていない。

 この病原体はNosema ceranaeという学名をもつ。微胞子虫はさまざまな動物に寄生する単細胞生物で、特殊化した菌類の一種と考えられている。英語版WikipediaによるとNosema ceranaeはもともとトウヨウミツバチ(Apis cerena)の寄生虫であったが、2004年になってスペインでセイヨウミツバチ(Apis mellifera)への感染が確認されたという。ヨーロッパでは大きく広がっており、ミツバチ個体数の減少などの原因とされている。

 この病原体がアメリカでも発見されたことから、がぜん注目されているのだが、ただ、これだけが原因ではないと考える研究者も多い。死んだハチからは微胞子虫のほか、さまざまなウィルスも発見されている。集団崩壊はもっと複合的な原因で起こっているという見方が強い。真の原因究明にはまだしばらくかかりそうだが、一つだけいえることは、一つの地域の病原体が数年の内に世界中に広まるほど、人間の影響(生物の長距離移動)が大きくなっているということだ。これはカエルツボカビ病と全く同じ機構だといえよう。
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by greenerworld | 2007-05-02 20:34 | 生物多様性  

淡水魚を出血死させるウィルス、五大湖で蔓延

 アメリカ五大湖で、人間のエボラ出血熱のような淡水魚の病気が発生している。ウィルス性出血性敗血病(VHS)と名付けられたこの病気にかかった魚は、文字通り出血して死んでしまう。種類に関係なく致死率も極めて高い。昨年はこの水域に住む20種類の魚が大きな被害を受けた。

 この病気はエリー湖、オンタリオ湖、ヒューロン湖、セントローレンス水路、ナイアガラ川、ニューヨーク州の淡水湖で確認されている。初めて発見されたのは2005年。遺伝子を調べた結果ウィルスの起源は大西洋にあるらしい。もともとは海水魚に感染するウィルスだったのだ。それが貨物船のバラスト水に含まれて運ばれたか、川をさかのぼる魚によって運ばれたのか、それとも水鳥によって運ばれたのか、まだわかっていない。しかし他の水域に広がればアメリカの淡水魚相が壊滅的な打撃を受けるおそれがある。アメリカ・カナダ政府はウィルスの拡大を防ぐために、魚や釣りの生き餌の移動制限はもちろん、ボートも移動させるときは船体をよく洗うよう呼びかけている。ミシガン州はウィルスの移動を防ぐためスポーツフィッシング用の養魚場を閉鎖するという。

 VHSウィルスは、カ氏40〜59(セ氏4.4〜15.5)度で活性化する。この水域がその水温に達するのは、5月中旬になる。果たしてVHSが今年も猛威をふるうのか、関係者が固唾をのんで見守っている。
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by greenerworld | 2007-05-01 08:40 | 生物多様性  

えっ! 台湾でもミツバチが消えた?

 ミツバチの謎の行方不明現象(集団崩壊=CCD)がアジアにも広がった。この2か月ほどの間に台湾の3か所で、養蜂業者のミツバチがほとんどいなくなるという現象が起きたことが報道されている。働きバチが巣に帰ってこない状態で、アメリカやヨーロッパで起きているCCDと同様の状況のようだ。この2ヶ月ほど気温変化が激しかったことが原因ではないかという見方もある。ハチの方向感覚を狂わせる作用のある農薬も疑われている。

 欧米と台湾で起こっていることは偶然なのか、それとも同じ原因によるのか。日本ではどうなのだろうか。
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by greenerworld | 2007-04-27 10:55 | 生物多様性