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2か月たっても多摩川は濁ったまま

f0030644_2182470.jpg 9月上旬に関東から東北・北海道地方を襲った台風9号は、東京多摩地区に記録的な雨量をもたらした(濁流渦巻く台風一過の多摩川)。その後水量は平常時に戻ったが、水はまだ濁ったままである。多摩川沿いにお住まいの方は気づかれているだろう。上の写真は中流の多摩橋から撮ったものだが、白く濁って全く水底が見えない。清流多摩川はどこへ行ってしまったのか。羽村の堰から分流している玉川上水も当然のことだが濁っている。

 支流の平井川や秋川はずいぶん前に透明に戻った。多摩川本流には上流に小河内貯水池(奥多摩湖)がある。確かめに行ってみると、果たして貯水池の水が白く濁っている。そこから放流される水も、薄目に入れたミルクティ(抹茶ミルクセーキとでもいいましょうか)のように濁っている(写真下。10月21日に撮影)。

f0030644_2183730.jpg 東京都の小河内貯水池管理事務所に尋ねると、台風9号で貯水池付近は600mmという雨量を記録。短時間に大量の水が土砂を伴って流れ込んだのが原因という。濁った水は中層から上層にたまっており、冷たい下層には混じり込んでいないそうだが、夏〜秋の放流水は温かい中・上層から取っているため、放流水が濁っているとの説明。それにしても、2か月近くも沈殿しないのは細かい粒子がコロイド状になって漂っているということか。

 気になるのは、シカとの関係。2000年ごろから奥多摩ではシカが増加して、林内の草やササを食べ尽くしている。林床がむき出しになり、表土が流亡しているところもある(奥多摩のシカによる環境劣化)。保水力がなくなった山に大雨が降った結果、雨とともに土砂・シルトが流れ込んだのではないか。シカの増加は複合的な理由によるが、温暖化によって積雪が減り、シカが生き残りやすくなったことも原因の一つとされている。

 2か月も濁りが続いていると川の生態系に影響はないだろうか。日光が十分に当たらず、藻や植物プランクトンが育たなくなるかもしれない。まだ確かめていないが、濁りが河口まで続いているとしたら、東京湾にも何らかの影響があるかもしれない。

 直接の原因は豪雨だったとはいえ、シカの影響も十分考えられる。シカ問題は奥多摩のローカルな問題としかとらえられていないが、流域全体の環境問題として考えなければいけない。
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by greenerworld | 2007-10-31 21:18 | 気候変動  

モーターショーでエコカーを探して

 10月27日から千葉・幕張メッセで一般公開される東京モーターショーのプレスデーに潜り込んできた。いくらデザインがよくても、図体がでかくてスピード重視のギャスガズラー(ガソリンがぶ飲み車)には用はない。というわけで、日産「GT-R」にもスズキ「Kizashi」にも、ミツオカの「オロチ」にも、もちろん笑顔を振りまくコンパニオンにも目もくれず(いやチラッとは見ましたが)、ひたすらエコカーをさがしましたよ。

 海外メーカーはダイムラー、BMWがハイブリッド車を参考出展していたものの、期待したプラグインハイブリッド、GMのシボレーボルト、オペルのフレクストリームもなく、全体にさびしい感じ。その分国内メーカーは、エコカーにかなり力を入れていた印象を持った。

 プラグインハイブリッドはトヨタがコンセプトカー「Hi-CT」を展示。はっきりいってもっとふつうの車でつくってほしい。ただ、トヨタは小型・軽量化を方向性として打ち出しており、自動車メーカーとして正しい認識だ。三菱の電気自動車「iMiEV」は航続距離は一充電200kmと実用的。2010年発売予定を前倒しできそうだとのこと。価格はプリウスよりは安くしたいというので、期待しよう。ハイブリッド、電気自動車ともバッテリーはリチウムイオンが中心になってきた。ニッケル水素・ウルトラキャパシタは分が悪い。

 日本国内の自動車売り上げ前年割れを続けており、とくに若者が自動車に興味を持たなくなっている。海外メーカーにとって、日本の自動車市場は魅力が失せつつあるのだろう。しかし、このモーターショーでのアメ車やドイツ車を見る限り、日本メーカーの取り組みはだいぶ先を行っていると感じた。当ブログにしては珍しくほめ言葉で締めくくり。

f0030644_23175312.jpg若者向けに新しいカーシーンを提案したいというトヨタのプラグインハイブリッド「Hi-CT」
f0030644_23172527.jpg同じく小型軽量カー「1/X」は車重420kgまで低減した排気量500ccのFFV(ガソリンとエタノールを任意混合した燃料を使える車)という設定
f0030644_234149.jpgスバルの電気自動車「G4eコンセプト」コンパニオン付。航続距離は200kmを予定
f0030644_2343043.jpgホンダのハイブリッドライトスポーツ「CR-Z」
f0030644_234498.jpg三菱の電気自動車「iMiEVスポーツ」はその名の通りiMiEVのスポーツタイプで2シーター
f0030644_235444.jpgスズキの「PIXY」。右の一人乗りビークルがそのまま左の本体4輪車の運転席になるコンセプト。本体は燃料電池仕様を想定。バッテリーはキャパシタ
f0030644_23182037.jpgマツダの水素とガソリンのハイブリッド「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」。水素に未来はあるのか?

いずれも参考出展。
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by greenerworld | 2007-10-25 22:59 | エネルギー  

ゆで落花生

 メダカ里親の会のN事務局長から、掘りたての落花生が届いた。メダカ里親の会は栃木県宇都宮市で「農村に春の小川を取りもどそう」を合い言葉に、生き物と共生できる水田・水路の提案、環境学習や農家の支援に取り組んでいる。落花生は環境学習プログラム「田んぼの学校」参加者たちが稲刈りと合わせて収穫を楽しむために、毎年田んぼ脇の畑で栽培している。

 おいしいゆで方を記したメモ付きと至れり尽くせり。今年は活動に全く参加できなかったのに、収穫物だけ送っていただいて心苦しい限りだが、おいしくいただくことで罪滅ぼしとしよう。

 メダカ里親の会のホームページはこちら
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by greenerworld | 2007-10-21 22:20 | スローフード  

無効分散または死滅回遊

 今ごろの季節に湘南や房総の海岸の潮だまりに行くと、スズメダイやチョウチョウウオのなかまなど熱帯・亜熱帯の魚がよく見られる。春に生まれ、稚魚が黒潮にのって流されてたどり着いたもの。ただし、冬の寒さに耐えられず死んでしまう。以前は死滅回遊という言葉が使われていたが、マグロやカツオの回遊のような周期的な移動とはちがうので、最近は無効分散といわれているようだ。通常は「無効」だが、たどり着いた先の条件がよければ(温かければ)、定着することもある。こうして分布を広げることもあり得るし、低温に適応して種分化する場合もあるだろう。

 動物の周期的な移動を、陸上では回遊ではなく渡りという。寿命が短いこともあり、昆虫には渡りをするものはほとんどない。長距離を移動するというアサギマダラも同じ個体が行ったり来たりするわけではないので、鳥の渡りとはちがう。10月18日に紹介したツマグロヒョウモンのように、温かいところから北上・東進する場合も一方向への分散で、しかも冬が越せず大方は無効分散になる。しかし、最近都市が暖かくなっている。とくに冬の最低気温が高くなっているため、越冬が可能な地域が広がった。しかも、食草になるパンジー(ビオラ)が冬でも公園や庭で咲いている。そんなこんなで、市街地中心にツマグロヒョウモンが分布を広げているのだろう。

 一方で野生のスミレ類は雑木林や草原の開発・管理低下で減少している。野生のスミレに依存するヒョウモンチョウ類にはすみにくい世の中だ。
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by greenerworld | 2007-10-20 12:15 | 生物多様性  

秋の訪問者

f0030644_9431787.jpg 帰ると妻が、鉢植えの菊にきれいなチョウがきていたという。携帯で撮った写真を見せてもらうと、ツマグロヒョウモンのメスのようだ。亜熱帯性で、西日本からだんだん東進・北上している昆虫の一つ。写真を撮るために鉢植えの位置を変えても、全然逃げなかったそうだ。食草はスミレ類全般。タチツボスミレは庭にいくらでも生えているので、産卵していったかもしれないが、このあたり都心とちがって冬はかなり冷え込む。越冬できるかどうか。
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by greenerworld | 2007-10-18 09:50 | 花鳥風月  

尊徳先生エコロジーを語る

 本ブログ6月7日付で二宮尊徳(金次郎)の“エネルギー論”を紹介したが、“エコロジー論”を見つけた。やはり弟子の福住正兄がまとめた『二宮翁夜話』に「万物はことごとく天の分身であって、神になり仏にもなりうる」という、尊徳の説話が紹介されている(天の巻・第一編・四十四)。それによると尊徳は、人はもちろん、鳥、獣、虫、魚、草木に至るまで、天地の間に生きているものはみな天の分身であり、天地の力をもってして生まれたものであって、人力を持って生み育てることはできない、と語っていたという。

 人間はその長である、とも述べている。だが、その理由は他の生きものを勝手に生殺してもどこからもとがめられないからだ。本来は何の区別もない。生きものはみな天の分身であるから、仏教ではことごとく仏であり、神道ではことごとく神であるという。

 次の節(同・四十五)では釈尊の「天上天下唯我独尊」について述べ、これは自分も人もただひとり、それぞれにとって天上にも天下にも自分自身にまさる尊きものはないという意味だと説く。自分がなければそこに物がないのと同じ、銘々がみな独尊である。そればかりか、犬も鷹も猫も杓子も独尊と言ってよいと。

 人は万物の長であるといいつつも、けっして人間の優位性を強調してはいない。仏教や神道についての解釈の下りではあるが、生物の相互作用や多様性の重要性、すなわちエコロジーについて、尊徳は直感的に理解していたのではないかという気がする。深読みしすぎでしょうか。

 C.ダーウィンの『種の起源』は残念ながら尊徳の死の3年後、1859年の出版。尊徳先生に『種の起源』の感想を語っていただきたかった。
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by greenerworld | 2007-10-17 08:19 | 生物多様性  

光エネルギーを蓄えて使う

 蓄光材という機能性材料がある。一種のセラミックで、酸化アルミニウム化合物にレアメタルを混ぜて焼成したもの。太陽光や蛍光灯などの光を「蓄え」て、暗闇で数時間光を放出する。これを粉末にしてプラスチックなどさまざまな素材に混ぜて使うと、いろいろな蓄光グッズができる。携帯ストラップにも使われているものがあるので、ご存じの方は多いだろう。

f0030644_8433039.jpg 非常時の非難誘導灯は蛍光灯(最近ではLEDも)を使っているものが多いが、停電したら役に立たない。充電池付は価格も高くなる。蓄光素材の誘導表示は簡便で価格も安く、もちろん停電しても光る。蓄光素材を練り込み、テープやシールに加工したものも売っている(写真上)。家の中でも階段・ドアノブなど、暗くなると見えなくて困るというものは多い。照明スイッチの目印にも使える。


f0030644_8424570.jpg ただし、明るいのは最初のうちだけで時間がたつにつれ急速に光は弱まる。また、十分に蛍光灯の光が当たる場所でないと効果がない。さもなければ、暗くする前にわざわざ光を照射してやるという変な話になる。

 屋外で日光を蓄え利用するのが理にかなっているだろう。蓄光素材を表面に塗ったり張ったりしたタイルやブロックもあり、誘導灯代わりに使えそうだ。これも厚い雲に覆われた日は役に立たないが。
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by greenerworld | 2007-10-15 08:52 | エネルギー  

不都合な? ノーベル平和賞

 今年のノーベル平和賞が、元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏と、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)に贈られることが決まった。「人類が引き起こした気候変動に関する知識の普及に尽力した」ことが授賞理由。

 同賞をめぐっては、しばしば“政治的”な選考が指摘される。今回も来年の米大統領選へのゴア氏の出馬も(本人は否定するが)取りざたされる中での受賞。いくら気候変動が人類の平和にとって重要なテーマだとしても、まだ現役の政治家への受賞に、なまぐささを感じるのを禁じ得ない。折しも、イギリスでは、映画『不都合な真実 (An Inconvenient Truth)』に少なくとも9か所の科学的な誤りがあると、高等法院から裁断されたばかり(9 Inconvienient Untruthsってとこでしょうか)。

 そうした少々強引な手法で、気候変動をあまりにセンセーショナルに取り上げるのは、かえってロンボルグ(『懐疑的環境主義者』の著者、同書も結論を導くために都合のよいデータだけを集め、手法も科学的ではないと批判されている)ら懐疑派を勢いづかせることになるのではないか。その意味で、長年地道にデータと議論を積み重ねてきた専門家集団であるIPCCを同時受賞として、バランスをとったんだろうけれど。

2007.10.13.13:00 追記:
 すでにロンボルグがガーディアンにコメントを書いていました。しかもこの記事のタイトルと同じタイトル(笑)。
 An inconvenient peace prize
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by greenerworld | 2007-10-13 11:13 | 気候変動  

水素は地球とカーメーカーを救うか?

 東京モーターショーを控えて、各社から新しいコンセプトカーの発表が相次いでいる。プラグインハイブリッドや電気自動車が話題だが、次世代を見据えた水素エンジンに取り組むメーカーもある。

 水素といえば、数年前には地球を救うとまではやされた燃料電池車は今ひとつ盛り上がらない。実際このところ熱気が冷めてしまった気がする。今回のモーターショーにも、何社かは展示を予定しているようだが、セルの価格や寿命、燃料の水素の供給など解決しなければならない課題が多すぎる。力を入れているメーカーでも、普及は2030年以降と見ている。しかし、燃料電池価格が低下し、耐久性が増したとしても、燃料電池車に実用性はあるのだろうか。

 燃料電池では水素を燃料として、酸素と電気化学的に反応させて電気を取り出す。問題はその水素をどこから持ってくるかだ。デビッド・ストラハンは 天然ガスから改質してつくる限り、エネルギー効率は25.2パーセントに過ぎず、油井(ガス田)から走行まで(ウェル・トゥー・ホィール)の効率でガソリンハイブリッド車より劣る(“The Last Oil Shock”, 2007)、と述べている。天然ガスから水素への改質で2割、水素の運搬のための液化プロセスで3割、燃料タンクへの圧縮充填で1割のエネルギーが失われ、さらに燃料電池による発電で5割が失われるという計算。

 現状では、燃料電池の発電効率は5割以下だから、総合効率はこれよりさらに低くなり、20%がいいところだろう。それでも、エネルギーあたりのCO2排出量で見ると天然ガスはガソリンの4分の3なので、わずかながらも温暖化対策にはなるかもしれない。しかし、救世主ともてはやすほどの大きな差とは思えない。しかも、天然ガスもいずれ枯渇する化石燃料である。

 では、再生可能エネルギーから水素をつくったらどうだろうか。たとえば風力発電や太陽光発電からの電気を使って、水を電気分解し水素を発生させることができる。それならCO2は出さず、クリーンだということになる。水素は発電施設の近くでつくり、その場で圧縮充填するとしよう。つまり、液化はしないのでその分のエネルギーロスは考えない。

 電気分解の際には熱が発生するなどエネルギーの損失があり、少なくとも3割のエネルギーが失われる。圧縮してして充填するところ以降は先の計算と同じである。つまり、投入した電気エネルギーは燃料電池の効率が5割だとして31.5%、4割だとすると25.2%に減少してしまう。それでももちろんCO2を出すわけではない。しかし、燃料電池車は最終的に電気でモーターを回す電気自動車なのだ。こんな回りくどいことをせずに電気を電気としてそのまま使えばいい。バッテリーの充放電によるエネルギー損失を2割と考えたって元の電気の80%が使える。

 遠隔地で水素をつくり液化して運ぶとなれば、さらに効率は悪くなる。電気であればそのまま送電線に流せばいいだけだ。わざわざ水素にしなければならない理由は、ほとんど見あたらない。

 燃料電池は中小規模の定置型熱電併給(コジェネレーション)システムとしては優れていると言えるだろう。しかし、自動車に搭載しても「地球を救う」ことにはなりそうもない。こんな単純な計算も顧みず、国(資源エネルギー庁)は車載用燃料電池開発に大きな予算をつけてきた。

 ところで水素エンジンは燃料電池よりさらにエネルギー効率が悪い。そもそもは加速性能の良さから取り組んだもの、時代錯誤の技術だといわざるを得ない。燃焼しても水しか出さない、というところに眩惑されてはいけません。
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by greenerworld | 2007-10-12 09:21 | エネルギー  

いったい環境省は何を考えているのか???

 いやあ、わが目を疑っちゃいました。

 10月6日の朝日新聞夕刊。環境省が来年度から、温暖化対策で小店舗もCO2排出量取引に加われるようにし、個人も一部参加できるようにするとの記事。

 個人が加われるのか、減らした分を企業に売れるようになるんだな、と当然のように思って、最後まで読んだら。ん? 「個人でも企業から排出権を買って家庭の排出を帳消しにする「カーボンオフセット(炭素相殺)」をできるようにする」だけで、個人が減らした排出量を売ることができないしくみにするという。もう一度読み直したけど、やはりそう書いてある。

「カーボンオフセット」はたとえば、電機製品や冷暖房器具を使ったり、海外旅行をしたり、ドライブしたりする際に排出するCO2の分を購入する。でもそんなことをしようとする人は環境意識が高く、すでに省エネルギーを実践していたり、エコカーに乗っていたり、太陽光発電や太陽熱機器を設置したりしている可能性が高い。家庭部門の排出削減には、圧倒的に多いそれ以外の人をどう参加させるかが必要なのだ。

 そのためには排出する人にペナルティを課すしくみか、逆にがんばった人が報われるしくみが必要(両方あればなお効果的)。前者の代表が環境税、排出量取引は後者である。

 それなのに、がんばった人が削減した排出量を売れない。排出量を買えるだけという。がんばっている人はもっともっとがんばれるでしょ、というのか。絶望的にずれてるぞ、環境省。
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by greenerworld | 2007-10-07 11:21 | 環境エネルギー政策