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食糧価格は最高水準に

f0030644_1952398.jpg 国連食糧農業機関(FAO)が発表している食糧価格指数(Food Price Index=FPI)が昨年暮れ、2008年のリーマンショック前の水準を超え、最高水準に達した。2000年からの推移を見ると、2000年の90から2010年には215と10年で2.4倍に上昇している。石油や金と並んで、最近の急上昇の背景には、だぶついた投機資金の株や通貨からモノへのシフトがあることは確かだが、昨年はロシアの猛暑干ばつによる不作もあり、穀物価格が強含みの状況にあった。さらに今年に入りオーストラリアやブラジルの大洪水被害も、今後食糧価格に影響を与えると予想される。

 中でも穀物は10年で2.8倍、砂糖は3.4倍、油脂は3.9倍に上昇している。この3種類に関しては、バイオ燃料への転換も上昇原因にあげてよいだろう。アメリカでは、ばかでかいピックアップトラックやSUVはエタノール対応車が増えているが、それが食糧価格を引き上げ、貧しい人々の食糧を奪うことにつながっている。
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by greenerworld | 2011-01-18 17:13 | 森羅万象  

ナラ枯れそしてカラマツ枯れへ

 日本ではマツ枯れに続いてナラ枯れが猛威をふるっている。そんな中、イギリスではカラマツ枯れが深刻な問題になっているという。これはもともと急性ナラ枯れ(sudden oak death)として知られていた木の感染症だ。日本のナラ枯れはカシノナガキクイムシ(カシナガ)が運ぶ菌類が原因だが、sudden oak deathは疫病菌の一種 Phytophthora ramorum の感染によるもの。胞子が風で運ばれるし、靴やタイヤについても運ばれる。非常に感染力が強いという。

 イギリスには、アメリカから苗木について運ばれたと見られている。そのアメリカでは、カリフォルニア州など西海岸でナラ類(オーク)を中心に枯損被害が出ている。イギリスに入ってきた当初、オークにも感染したようだが、被害は広がらなかった。つまりイギリスのオークはこの菌に対して抵抗力を持っていたようだ。ところが、どうしたことか P. ramorum はカラマツに感染した。すると爆発的な感染力で周辺のカラマツや他の針葉樹にも広がっていった。P. ramorum に何か遺伝的な変異が起きたのだろうか。

 P. ramorumはアジア起源だと考えられている。まず(多分)日本からヨーロッパに送られたツバキ科やツツジ科の園芸種についてヨーロッパに渡り、そこからさらにアメリカに送られた。そこで sudden oak death を発生させ、またイギリスに戻ってきた。アメリカでも何らかの変異を起こした可能性がある。

 最初にイギリスで感染が広がったカラマツはニホンカラマツだったらしい。用材用にかつて日本から送られたものだ。日本の疫病菌がイギリスでニホンカラマツと出会い、感染爆発を起こしたことになる。

 疫病菌と言えば、19世紀のアイルランドでポテト飢饉をもたらしたのも疫病菌の一種P. infestansだった。この菌の蔓延でジャガイモはほとんどとれなくなり、貧しい農民たちの多くが餓死した。もっともこれだけの餓死者が出たのは、当時アイルランドが事実上イギリスの植民地であったという社会的な要因が大きい。さらに多くのアイルランド農民は故郷を捨て、新天地アメリカに渡った。このアイルランド移民の子孫から、J.F.ケネディやH.フォードが出たのだから、疫病菌の猛威は世界の歴史を変えてしまうほどのものだったと言える。

 P. ramorumがイギリスから一衣帯水のヨーロッパ本土に渡るのも時間の問題のように思える。そうなれば感染木が用材として日本に入ってくる可能性もある。ニホンカラマツは甲信地方から北海道にかけての重要な用材林の構成種で、ここに感染が広がったら恐ろしいことになる。

 動植物の移動はこうした新たな感染症を広げ、場合によってはその地域の農業や生態系に大きな影響を与えることがしばしばある。最近の話題になったものでは、カエルツボカビ病やラナウィルス、ミツバチの集団崩壊病の原因と疑われるダニやウィルスがある。古くはマツ枯れがそうだし、ナラ枯れも材木や苗木の移動が原因かもしれない。生物資源の長距離の輸送について、考え直すときに来ているのではないだろうか。
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by greenerworld | 2011-01-16 23:00 | 生物多様性  

真冬も青々野良坊菜

 秋に苗をいただいて、庭の2坪菜園に植えておいた野良坊(のらぼう)が、連日の氷点下の寒さにも負けず青々としている。そばに植えた春菊は茎まで凍ってしまい、すっかりへたっているのに、野良坊は元気だ。北風除けはしてあるが、上部は覆っていないので霜も降りているのだが、日が昇り始めるとごらんの通り。
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 野良坊は、西多摩地域(主に旧五日市)で栽培されてきたアブラナ科の地野菜で、春に茎が立って来たときに、茎ごと摘みとって食べる。「かき菜」の一種かとも思われるが、系統は定かでない。家庭菜園では、茎を摘まずに葉だけを摘んでいけば長く楽しめる。秋に種まきをして冬を越し、春に食べるので、虫もほとんどつかず、無農薬で作れる。ほぼ植えっぱなしで手間もかからない。凍らないのは、組織や細胞内に糖分が多いのだろう。少し苦みと独特の風味(くせ)があるが、おひたし、炒め物、漬け物、天ぷらと幅広く使えて、端境期に重宝する野菜だ。
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by greenerworld | 2011-01-16 09:05 | スローフード  

ヒヨドリ去ってジョウビタキ来る

 今年は庭にヒヨドリが来ない。餌が少なくなるこの時期、ヒヨドリは隣の畑の青菜を食べに来る。地面が苦手な彼らは、群れでやってきて庭木の枝に止まり、畑に降りて青菜の葉をついばんでは枝に戻る。ついでに緑色の糞を大量に落としていく。

 ヒヨドリが来ないのは、昨年暮れに庭木の枝をきれいさっぱり落としてしまったせいだ。例年は雨戸を開けると、枝に鈴成りになったヒヨドリの群れが、ピーピーとけたたましく鳴きながら一斉に飛び立つのだが、今年はそれがない。代わりに今朝は雨戸を開けたらジョウビタキがいた。ガラス越しに見ていると、こちらを警戒しながら、フェンス、プランタのふちと、少しずつ低いとことへ降りてくる。ようやく警戒を解いて地面に降り、先日の風で落ちたヘクソカズラの実をついばみ始めた。

 それにしても、ジョウビタキがプルプルと尾を振るのは、何の意味があるのだろう。
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by greenerworld | 2011-01-12 07:42 | 花鳥風月  

LPガスより木質ペレットがずっとお得

 年末年始、ニューヨーク市場では原油価格が90ドルを超えた。産油国の生産余力がなくなり、景気回復すれば石油の需要が上がり、価格が上昇するという傾向が今後も続くだろう。

 灯油の値段はこのところ70円台の後半〜80円/L(18Lで1400円程度)。灯油1Lが木質ペレット2kgにほぼ相当するので、40円/kg程度でペレットが入手できれば、燃料価格としてはトントンである。ただし、まだ40円/kgでペレットが買える地域は限られている(わが家では60円/kg)。

 国内ではペレットはほぼペレットストーブによる暖房に用いられていて、いわば灯油ストーブの代わりであるが、ヨーロッパではペレットボイラーを使い、暖房と給湯に使っている家庭が多い。ただしボイラーはやや大型で、ペレットタンク・貯湯槽と一緒に機械室に納められている。日本では燃焼機器をおける機械室を持つ住宅は少なく、また都市近郊では敷地が狭くてそのスペースもない。

 ところで、関東以西の都市近郊住宅地では灯油ではなくLPガスを給湯用に使っている家庭は多いと思われる。実はLPガスの熱量あたり単価は、灯油やペレットの3倍もする。日本人の風呂好きを反映して、給湯需要は地域による差があまりない。高断熱で暖房をあまり使わない家でもお風呂には入る。しかも、給湯は年中あるので、ペレットの需要を平準化するにも都合がいい。だからペレットを普及させるにはここが狙い目なのだ。

 統計データを使ってシミュレーションしてみると関東地方ではLPガスを使っている場合、年間に10万円ほどガス代を払うことになる。これに対して木質ペレットが45円/kgであれば、4万円ほどですみ、その差は6万円にもなる。10年間で60万円だから、機器の価格差がその程度に収まるなら「木質ペレットボイラーいいじゃん」、という人もいるのではないか。ただし、都市ガス、電気(エコキュートで時間帯別料金適用)だとここまで差はつかない。

 問題は貯湯槽一体の屋外設置型ボイラーがまだないことで、ここは是非メーカーにがんばってもらいたい。ライバルはエコキュートってことで、ぜひお願いします。エコキュート+20万円くらいなら多分行けるかと。
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by greenerworld | 2011-01-09 16:15 | エネルギー  

使えるか使えないか、生物多様性保全活動促進法

 1月6日、環境省で開かれた「生物多様性保全活動促進法」の説明会・意見交換会に出席してきた。12月6日付の当ブログで「里地里山法」と紹介した、昨年12月の臨時国会の最後にひっそりと成立した正式名「地域における多様な主体の連携による生物の保全のための活動の促進等に関する法律」という長ったらしい法律だ(法律はたいてい長ったらしい)。

 説明を聞いてわかったことは、まずこの法律は市町村の自発的な取組についての法律であると言うこと。つまり主体は市町村であって、活動団体ではないこと。かつ法律に強制力はないということ。

 対象として考えられるのは、放棄された里地里山の保全活動とか、外来種の駆除とか、希少種の保全とか、あまり当たり障りのないところ。一方で大方の自然保護団体が苦闘している「開発」による生息地・自然環境破壊に対しては、歯止めになりそうもない。それでも、第4条4項で非営利活動法人が市町村に保全活動を行おうとする地域の保全活動計画案作成の提案ができるとあり、同5項で市町村にそれに答える努力義務を課している。これがこの法律の最大の活用可能性か。

 環境省の限界は今に始まったことではないが、自然保護・環境活動団体に対してオープンに意見を聞くというところは評価していい。農水や国交を主務大臣として巻き込むのにも、苦労したことだろう。小さく産んで大きく育てるという視点も大事かと一応納得。年のせいか、最近妙に物わかりがよくなった。

 昨年の生物多様性条約COP10では、愛知ターゲットも合意された。生物多様性国家戦略もこれを受けて2012年に改定される予定だという。その中にはぜひ生物多様性の「No Net Loss(正味の損失なし)」を打ち出してほしい。

 このあと、今年秋の法施行を目指して国は『地域連携保全活動基本方針」を夏ごろを目途に策定する予定だという。このあとその検討会を4回ほど開催する。第1回は1/19。その他意見交換会を全国9地区で開催とのことなので、みなさん是非参加を。
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by greenerworld | 2011-01-07 21:21 | 環境エネルギー政策  

温室効果ガス、Now And Then

 昨年暮れ、環境省が2009年度のわが国の温室効果ガス排出量速報値を公表した。例年なら11月に公表されるものだが、今年はなぜだかこの時期にずれ込んだ。温室効果ガス排出量は90年比▲4.1%。これに京都議定書で認められている森林吸収分3.8%を含めれば▲7.9%と、京都メカニズムによる排出量取引分を含めなくても、京都議定書の目標を達成したことになる。森林吸収はあいまいな取り決めだが、温室効果ガスの削減は2008年以降の景気後退が効いている。こと温暖化対策に関しては「リーマンショック様様」である。もっとも、メタン、代替フロン類3種の、CO2以外の温室効果ガスの大幅な削減の寄与分が大きい。エネルギー起源のCO2は基準年比で1.5%のプラスなので、大きいことは言えないかもしれない。
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      温室効果ガス部門別排出量の推移 出典:環境省発表資料より

 部門別でCO2が大きく減っているのはは産業部門、つまり工場からの排出で、19.9%のマイナス。同様に工業プロセス(主にセメント製造)も30.4%減っている。これに対して業務部門は基準年比では33.6%も伸びている。家庭部門も26.9%の増加。一方、自動車を中心にした運輸部門は5.4%増に。

 もっとも2010年度は09年比で増加することは間違いなさそうで、喜んで? ばかりもいられない。ただ、2010度の増加要因は夏の猛暑とエコポイントによる景気刺激策が大きく、2011年度にこの効果がはげ落ちてくれば、また減る。どっちみち、景気の行方に左右されるのは情けない。

 民主党政権は2013年度に導入を計画していた、キャップアンドトレードの排出権取引制度導入を引っ込めてしまった。先送りという形だが、2013年までには総選挙があり、民主党が負ける公算が高いので、事実上撤回といっていいだろう。有力支持母体が大手企業の労働組合であるだけに、法人税減税と並び、産業界に配慮したものだろう。財界の支持を自民党から奪おうという意味もあるのだろうが小手先の対応である。2020年にマイナス25%という目標もそのうち引っ込めるのではなかろうか。

 産業部門の大幅な減少の理由には、景気低迷の他、この間の産業界の省エネ努力もある。しかし、国内の産業構造は大きく変わった。素材・組立工場は撤退したり、コストの安い海外に出ていったりした。その分は進出先での排出に置き換わったわけだ。製造業の空洞化が進んだ一方、さまざまな業態の小売業が増えた。90年にはコンビニはこれほどまでに街角にあふれていなかったし、大型ショッピングモールやロードサイドの大型小売店舗も少なかった。福祉・介護、IT関連の仕事は急拡大した。この結果、二次産業の就業者数は90年の2,099万人から、09年は1,589万人に減少する一方で、三次産業は3,669万人から4,366万人に増加している。サービス産業化が進展したことが、業務部門の排出量増加の原因とみていいだろう。

 一方家庭部門では、人口はピークを打ったが世帯数の伸びが続いている。基本的な家電製品は世帯単位で保有するので、世帯数が増えればエネルギー消費も増える。この傾向はこの先しばらく続く。温水洗浄便座、食器洗い機、衣類乾燥機、パソコンなども普及した。ただし、これも2015年ごろをピークに減少に転じる可能性がある。世帯数が減り始めるからだ。

 運輸部門の排出量は2001年をピークにして緩やかに下降している。この間乗用車の登録台数は増えており、プリウスが普及したのは最近だ。この10年ほどの間に大きく変わったのは、1700cc以上のクルマが減って燃費のよい軽自動車が増えたこと。さらに平均走行距離も短くなったこと。小さなクルマで、ちょこっと乗るという使い方になってきたわけだ。若者のクルマ離れは、雇用情勢の悪化も原因で、つまり非正規雇用を増やした自動車メーカー自身にも責任がある。しかしそもそも若者の数が減っており、かつてのモータリゼーションを支えた団塊世代は老後を迎えた。都市居住者にとっては、クルマを持つことがコスト高であると同時に、クルマを持たなくても不便がない。こうした変化を背景に見ると、運輸部門は今後も低下していくだろう。

 20年間の温室効果ガス排出量の推移は、それなりにこの間の日本社会の変化を反映している。
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by greenerworld | 2011-01-05 20:36 | 環境エネルギー政策  

謹賀新年:新作まとめて

 皆様、明けましておめでとうございます。今年もグリーナーワールドをよろしくお願い申し上げます。

 さて、年末年始は引き籠もっておりましたゆえ、久しぶりに句作にふけりました。恥ずかしながら、いくつか駄句を紹介させていただきます。

 <冬>
 朝練に急ぐ子高き霜柱
 よく笑う母の氷下魚のごとき指
 深々とわが頬を刺す冬の星
 雑踏を交わりて往く白吐息
 本棚に柳田国男日向ぼこ
 朝採りの卵のごとき蕪甘し

 <新年>
 忘れしはみな名句なり初昔
 失敗してもくよくよしない去年今年

 新年のご多幸とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。合掌

 
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by greenerworld | 2011-01-04 15:18 | 花鳥風月