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太陽光発電20年に20倍の根拠とは?

 麻生さんが言う「太陽光発電を2020年に20倍」には何か根拠があるのか? と故郷の恩師から質問をいただきました。

 20倍という数字、唐突に出てきたような印象もあるが、自然エネルギーのことがよくわかっていらっしゃるとは思えない麻生さんが、具体的かつかなり野心的な数字を思いつきで言うわけもないので、手元の資料をあさってみた。

 昨年7月に福田前政権により発表された「低炭素社会づくり行動計画」では「太陽光発電世界一の座を再び獲得することを目指し、太陽光発電の導入量を2020年には10倍、2030年には40倍にすることを目標」とある。麻生さんの目標はこの2倍。それで、最後の1%を上乗せしたことになっている。政治的決断なのか?

 資料をさかのぼって、2006年に太陽光発電協会(JPEA)が発表した「太陽光発電産業自立に向けたビジョン 2006年改訂版“めざせ!ソーラー・ニッポン”」を繰ってみる。すると、「第5章 2030年までの長期見通し」に2020年の国内市場規模:8700億円、349万kW/年度、国内導入累積2,919万kWとある。2,919万kWを、2005年の実績である142万kWで割ってみると20.6倍になる。裏は取っていないが、どうやらこのあたりが20倍の“根拠”となっていそうだ。

 なぜ「低炭素社会行動計画」でJPEAの数字を採用しなかったのかは不明だが、JPEAの「ビジョン」では2030年の見通しは30年に05年の60倍近い累積8,358万kWとしているため、さすがにここまでは無理だと思ったのかもしれない。

 一方、今年2月に中央環境審議会地球環境部会がまとめた「低炭素社会構築に向けた再生可能エネルギー普及策について」は、2020年の累積導入量を3,700万kW(05年の26倍)、30年を7,900万kW(同じく55倍)としている。JPEAとは微妙に異なる数字ではあるが、同提言は「公共部門での率先導入に加え、家庭や民間企業が一般的に太陽光パネルの性能が保証される10年間で資金を回収できるような需要側の支援策を講じることで達成が可能と見込」んでいる。この措置として、補助金ではなく、固定買取制度(FIT)が有力であるとしている。

 ただしこちらの審議会は環境省系、委員も環境NGO代表などが名を連ねている。資源エネルギー庁としては、そのまま採用できるはずがない。

 補助金+RPSとFITの間を取った形の住宅用太陽光発電からの固定買取制度が出てきたのもそんな背景か。中環審の提言より低い20倍という数字も、太陽電池メーカーや電力会社、設置にかかる企業の業界団体であるJPEAの数字に合わせた感がある。

 ところで、JPEAは復活した補助金の事務事業も引き受けている。何だかお手盛りという印象もぬぐえない……。

# by greenerworld | 2009-06-15 11:32 | 環境エネルギー政策  

官僚たちの暑苦しい夏

 補正予算あたりから、キャリア官僚が予算づくりをノンキャリに丸投げしている、という話が聞こえてきた。事実だとすれば、近づく選挙での政権交代を見据え、じっと首をすくめて風を見ているのか。これまでの政権との関係が深いトップ官僚は、どうせ首を飛ばされるならと開き直っているのかもしれない。いずれにしても人質に取られているのは国民の税金であり、暮らしである。

# by greenerworld | 2009-06-14 21:54 | 森羅万象  

iPhoneでカーシェアリング

 先頃開催されたアップルの開発者カンファレンス(WWDC)で、新しいiPhoneが発表されたが、マサチューセッツ州に本社のあるカーシェリング会社Zipcarが、iPhoneを使ったカーシェアリング管理システムを発表したというニュースが。

iPhoneでカーシェアリング_f0030644_17503237.jpg AUTOPIAによると、ZipcarではiPhone用アプリケーションを開発、GoogleMapと連動して近くにある車を表示し、画面で予約ができる。しかもたくさんある車の中から見つけ出せるよう、ホーンを鳴らす機能もあるという。iPhoneをキーとして使い、そのまま乗り込んで運転できる。もちろん決済もiPhoneを通じて。

 iPhoneだけ持っていれば、車は持たなくてもいいってこと。それどころか、対応する係員もいらない。使いたいときに近くの車を使い、使い終わったら近くの返却場所に返す。WWDCではiPhoneをカーナビにするアプリケーションも発表された。こういう動き、車社会を変える可能性を感じる。やはりアメリカの底力はあなどれない。

# by greenerworld | 2009-06-11 17:55 | 森羅万象  

もう一声! ええい、持ってけ泥棒!

 マイナス14%に1%上乗せしましたって、街頭のタンカ売じゃないんだから……。でも05年比。京都議定書の基準年90年比ではマイナス8%で、12年にマイナス6%の目標からわずかな削減にとどまる。というより、京都議定書はどこかにいっちゃったのか。

 クールアースも低炭素社会も、景気対策の大盤振る舞いの前に吹き飛んだ。麻生さん、自然エネルギーは太陽光発電しかないと思っているようだし。

 グリーン経済革命に後れを取り、経済は停滞し、若者は将来に希望を持てず人口はますます減る……。そうか、これで、黙っていてもCO2は減るな。なかなかひねくれた温暖化対策。一本取られたかも。

# by greenerworld | 2009-06-11 08:56 | 環境エネルギー政策  

クマバチは意外と都心に多い

 先月末訪れた葛西臨海水族園で、ネズミモチの花にクマバチ(キムネクマバチ)がたくさん来ているのを見た。案内してくださった職員の方にたずねたら、春先には芝生広場でオスがホバリングしながら、縄張り行動を取っているのがよく見られますよ、とのことだった。クマバチは単独営巣性で枯れ木に穴を開けて巣をつくる。園内には剪定した木を野積みにしてあるそうなので、そうした材を巣に利用しているのだろう。まあ、蜜や花粉の供給源はたくさんありそうだ。

 それで、先日エコライフフェアが開かれていた代々木公園でも探してみたら、ハーブガーデンにたくさんクマバチがいた。やはり古い公園だと大木も多いし、巣材には困らないのだろう。ただし、クマバチは食性も広いし、花に潜り込まずに食い破って蜜を集めるため(何しろ木に穴をうがつくらいで顎の力が強い)、授粉にはあまり寄与しないという説もある。クマバチ=自然が豊かだとは、いちがいに結びつけられないと思った。むしろ人為的な環境にうまく適応していると見るべきか。

 写真はハーブの花に来たクマバチ(代々木公園)。なかなか愛嬌があります。
クマバチは意外と都心に多い_f0030644_743873.jpg

# by greenerworld | 2009-06-09 07:43 | 生物多様性