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点で面の安全は語れない:マイクロホットスポット

 「点で面を語る」これは往々にして陥りがちな過ちだ。取材でも当事者全てに話を聞くことはできない。被災地に入ってたまたま1人に「××が足りない」と聞き、被災地では「××が不足している」と伝えると、誤った情報になることもある。もちろんどうしたって全てのデータは網羅できない。だから科学的には一定のサンプルを取って、さまざまな手法を使い、点で「面を語らせる」努力をする。しかし、それでも実態を伝えきれない限界がある。

 ましてや、福島県の学校の土壌調査や放射線量調査は、学校の敷地内のさらに小さな点で行った調査である。この場合、被曝を防ぐために必要なのは実際に子どもたちが生活し遊ぶ場として、彼らの行動パターンも考慮し、きめ細かく汚染度を把握することだ。どこか1点の数字で全体の安全を主張するのはそもそも間違っている。

 私が実際に福島県内のあるお宅で調べた時には、敷地内でも放射線量に大きなばらつきがあった。屋根から雨水が滴る場所は、他よりかなり高い。雨水の集まる側溝も同様だ。最も高かったのは雨樋からの雨水を浸透させている花壇で、驚くくらいの数値だった。

 福島市内で調べられた例では、すべり台の下(すべり降りてきて足を着く場所)も高かったという。校庭の自転車置き場や遊具・運動具を入れる小屋の回りなども雨だれが滴り高くなっている可能性が高い。

 こうした「マイクロホットスポット」が、敷地内にもたくさんある。もちろん面積は狭くそこから離れれば線量は下がる。しかし子どもたちが比較的長く居続ける場所で、線量が高くなっている場所が確実にあるはずだ。子ども目線で、彼らの行動パターンに合わせて、きめ細かい調査をした上で、年間被曝量を見積もらなければならない。その上で初めて安全性に関する議論ができるし、被曝量を減らす対策をとることができる。

 この問題に関して、文科省や県は、まず点で面を語ることをやめるべきだが、このままでは彼らは動かないだろう。としたら自衛するしかない。学校敷地内の線量調査を進める市民グループの詳細な調査を期待したい。データを示して文科省や県を突き崩そう。
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# by greenerworld | 2011-05-07 16:42 | 3.11後の世界  

児童を守る橘小学校の気概

 独自の放射線量率測定値を学校サイトに掲載していて、文科省から止められた郡山市立橘小学校。それを黙って中止するのでなく、その経緯をサイトに載せた。しかも独自計測は続け、学校便りで保護者に知らせている。学校便りのpdfファイルはサイトに掲載するので、リアルタイムではないが、事実上公開を続けるということである。痛快痛快。

 文科省の役人には、元々お前らの給料の半分(今は1/3だが)は国が(ほんとは国民の税金から)出しているんだ、現場の教師が国を差し置いて勝手なことするんじゃない、という意識がある。郡山への圧力は汚染隠しもさることながら、文部官僚の根深い現場蔑視が根にあると思う。しかし、彼らが子供たちのことを真剣に考えているとはとうてい思えない。

 橘小では、校舎の洗浄を行い、連休中に校庭の汚染土の除去も行ったという。子どもたちの安全と健康を守ることが学校の使命だとすれば、当たり前のことをやっているに過ぎないのだが、国や県はその逆のことばかりし、邪魔をする。ブログ子は、この学校の姿勢を強く支持する。

 郡山市立橘小学校ホームページ
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# by greenerworld | 2011-05-06 00:05 | 3.11後の世界  

100mSv以下の健康影響、リスクがないのではなく「わからない」

 子どもたちを大人と同じ基準の年間20mSv(ミリシーベルト)の環境で過ごさせても大丈夫なのか──多くの人が強い懸念を抱いている。福島県内では原発周辺のみならず、中通と呼ばれる郡山市や福島市でも、平常時をはるかに上回る空間線量率が続いている。一方で避難地域の基準は、積算被曝量で年間20mSvを超える地域とされた。逆に言えばそれ以下であれば「安全」だという論だ。学校での基準も、年間20mSvに相当する毎時3.8マイクロSv以下なら安全だとする。放射線の影響が大きいと言われる子どもたちに、大人と同じ基準を当てはめることに、親御さんたちの不安が高まっているのは当然だ。

 国立がん研究センターは、福島県在住の人を対象に2万人分の個人線量測定バッジを用意し、3か月に1度回収して外部被曝の積算量を測定することを国に提案したという(4月14日)。報じた日経新聞電子版記事によれば、同センターの嘉山孝正理事長は「1回の被曝量が100mSv以下なら、癌などの発生率上昇の可能性は高くならないとされる」としたうえで「個人の被曝状況を正確に把握できれば、被災者が少しでも安心した生活ができるのでは」と語ったという。

 これには違和感を禁じ得ない。バッジ型で、検査機関に送らなければ被曝量がわからないような線量計を着けて安心するのだろうか? むしろ不安が増すのではあるまいか。そもそも放射線業務従事者のような生活を日常的に強いること自体が、異常だとは感じないのだろうか。

 福島県の放射線健康リスク管理アドバーザーである山下俊一長崎大学教授は、県内などの講演で語っている。「年間100mSv以下は明らかな発がんリスクが起こらない」しかしこう続けているのだ。「わからないんですね」(5月3日の二本松市での講演より)。彼も、100mSv以下でも確率的影響のあることは認めている。しかしそこに科学的に証明できるようなデータはないと言いたいのだろう。それならばリスクがないという言い方ではなく、わかっていないことをふくめてリスクを最小限に抑えるように伝えることが医師でもある彼の第一義的な務めではないだろうか。

 山下氏は1986年に事故を起こしたチェルノブイリ原発周辺地域にも何度も入り、調査や医療支援に当たってきたそうである。彼の主張では、チェルノブイリ事故後有意な増加が見られたのはヨウ素131の内部被曝を主因とする小児甲状腺癌だけで、土壌などに沈着した放射性セシウムの影響はほとんどないということだ(4月5日、日本財団緊急シンポジウムでの講演;記事「放射性セシウム汚染で疾患は増えない」)。

 しかし、チェルノブイリ原発事故後に高濃度に土壌中にセシウムが沈着したスウェーデンで、M.トンデルらは、110万人以上を対象に1988年から99年にかけて癌の発症率を調査し、セシウム137の濃度に応じて発症率が高まっていることを示した。年間10mSv以下に相当する地域でもこうした傾向は見られた(美浜の会「チェルノブイリ原発事故後のセシウム汚染地帯でがんの過剰発生が確認されている」)。こうしたデータについては彼らは全く触れない。

 郡山市では4月27日、独自に市内の薫小学校の校庭の土を除去したところ、空間線量率が除去前の毎時3.3マイクロSvから毎時0.5マイクロSvへとかなり低下した。ところが、文部科学大臣や官房長官は汚染土除去の必要はないと言っている。その後、汚染土は埋立もできず校庭の一角に積み上げられたままだ。その除去した校庭汚染土を枝野官房長官は「放射性廃棄物だ」と言った(5月1日)。それなら、福島県の子どもたちは放射性廃棄物相当の土の上で運動したり遊んだりすることになる。

 汚染土除去が必要ないとする文部科学大臣や官房長官は、年間20mSvが安全だと言っているに等しいが、そもそも年間積算線量20mSvというのは、これを提案しているICRP(核エネルギーを推進する立場の組織)でも、原発事故収束後の復旧時のもので、速やかに平常時の年間1mSvに戻すことが前提となっている。であれば、線量を下げるために建物や道路の洗浄、汚染土の除去などの除染を徹底的に行うべきであろう(もちろん東電の負担で)。さらにICRP基準は外部被曝(環境にある放射性物質からの被曝)のみで、放射性物質を体内に取り込んだ場合の内部被曝は考慮されていない。年間被曝量を考えるなら当然内部被曝を考えるべきだろう。子どもたちは校庭や公園で泥だらけになって遊ぶのだから。山下教授の考えによればそうした場合に傷口や口から取り込まれる放射性セシウムは全く考慮する必要はないということらしい。

 山下教授らは医師ではあるが、本質は研究者なのだろう。放射線の影響を研究する研究者にとって、数十万人規模で疫学データが得られる機会はめったに訪れない。線量計も持たせて個人被曝量が把握できればより詳細なデータを取ることができる──まさか、そんなことを考えているとは思わないが、「100mSv以下は明らかな発がんリスクは起こらない。わからないんですね」に続いて、こんな言葉を飲みこんでいるのかもしれないとつい想像してしまうのだ。

 「それはこれから先皆さんのデータを時間をかけて追跡していく中でわかってくると思います。だから“安心して”ここに居続けてください」
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# by greenerworld | 2011-05-05 16:00 | 3.11後の世界  

飯舘村等の計画的避難区域の設定にかかる緊急要望(全文)

 4月17日に、以下の緊急要望を官邸並びに各政党本部に送付し、関係機関・報道機関にも通知いたしました。

飯舘村等の計画的避難区域の設定にかかる緊急要望

 2011年4月17日

 飯舘村後方支援チーム(代表・糸長浩司/日本大学生物資源科学部教授)
 国際環境NGO FoE Japan(事務局長・三柴淳一)

 われわれは、今般の東電福島第一原発事故に伴い、放射能に高濃度に汚染された飯舘村の放射線被害 に関して、深く危惧し支援を行ってきています。飯舘村及びその周辺地域では、4 月 11 日に計画的避難 区域に指定された後も、政府の明確な情報や指示が得られず、混乱が続いています。もとより、3 月 15 日の放射性物質の沈着からすでに一ヶ月以上が経過し、地区によってはかなりの累積放射線被曝を受け ています。また対象区域には放射線防護を優先すべき妊婦・乳幼児・児童もおり、将来にわたる健康不安 を抱えながら生活しています。同時に住民、農業者、商工業者は避難後の生活や就労、避難地域の復興 等、先が見えない中で強い不安を抱えています。しかるに、指定の通達があって以降、いまだ、計画的 避難に関する合意が国と村等との間でとれない状況が続いています。
 そうした状況を憂慮し、以下を日本政府に対し強く要望するものです。

1. これ以上被曝を重ねないよう、補償も含め計画内容につき速やかに村等と合意し、避難を実施。
2. 対象区域の中でも高線量地区の住民の避難、妊婦・乳幼児・児童の避難は一ヶ月の避難準備期間にこだわらず実施。また計画的避難を待たず自主避難した場合の被災証明書発行。
3. 避難先での生活補償・雇用の支援。
4. 住民への健康聞き取り調査、精神面を含む健康管理、住民各自に対する「健康手帳」(案)の発行、継続的な住民の健康管理と医療補償。
5. 作付が不可能となった農業者に対する補償。
6. 畜産農家の意向を尊重し、家畜の避難先の確保と移動の実施、あるいは全頭買い取りによる補償。
7. 商工業者に対する休廃業補償、事業所・店舗等を移転する場合の費用の補償と当座資金の融資。
8. 避難対象地域での宅地、農地(水田、畑、牧草地)、里山、河川等でのきめ細かい放射能モニタリングの実施と、各地区及び土地利用別での汚染度による放射能汚染除去対策及び帰還の見通しのできるだけ速やかな公表。
9. 避難が相当程度の期間に及ぶ場合、移転先において村民の生活と生業、コミュニティ機能の維持が継続的に成り立つよう、中・長期的ビジョンに基づく場所の確保とその建設に関する財政を含む総合的な支援。
10. 国・東電・民間企業等出資による汚染地区の復興にかかる基金の創設。

 また本要望とは別に、福島県内に放射性物質の健康・環境等に対する影響とその防除・除去を研究す る民間機関設立を広く呼びかけるものである。
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# by greenerworld | 2011-04-18 14:24 | 3.11後の世界  

原発に頼らない社会をめざす城南信金

 東京南西部と神奈川県を営業地域とする城南信用金庫(本店:品川区)が、「原発に頼らない安心できる社会へ」というメッセージをウェッブサイトに掲載している。「原子力エネルギーは、私たちに明るい未来を与えてくれるものではなく、一歩間違えば取り返しのつかない危険性を持っていること、さらに、残念ながらそれを管理する政府機関も企業体も、万全の体制を取っていなかったことが明確になりつつあります」「私達は原子力エネルギーに依存することはあまりにも危険性が大きすぎるということを学びました。私達が地域金融機関として、今できることはささやかではありますが、省電力、省エネルギー、そして代替エネルギーの開発利用に少しでも貢献することではないかと考えます」として、金融を通じて省電力や省エネルギーのための設備投資を支援、推進するという。
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http://www.jsbank.co.jp/

 信用金庫は地域の中小企業や個人の出資による地域金融機関だ。もともと、営業地域が限定され、大企業には融資できないという制限があり、原子力関連の事業を行う大企業を顧客に持つことはないので、こうした取り組みがしやすい条件にはある。しかし核エネルギー利用が国策として進められる中で、たいへん勇気ある宣言だと思う。城南信金の姿勢を高く評価したい。

 城南信金は、2001年に合併により京都中央信金が誕生するまで、最大の信用金庫であり、現在も預金量において2位の位置にある。ブログ子もかつて(真壁実理事長時代)取材したことがあるが、80年代後半のバブル期にも土地や株式などの投機に融資せず、バブル崩壊後にも多額の不良債権を抱え込むことはなかった。格付機関による評価も高い優良金融機関である。

 今回の震災への取り組みでは、復興支援“ボランティア預金”を発売、被災地学生の新規特別採用の他、1億円の義援金も寄贈している。また店舗内の省エネを実践、太陽光発電の導入なども今後順次進めるという。営業地域外の個人が口座を開くことは可能だが、残念ながら信用金庫法による制限で、口座開設にあたって出資が必要な企業や、個人でも融資を受ける場合は、営業地域内に限られる。また口座を開設するには直接店舗窓口に行かなければならないそうだ。(ただし、一度作ってしまえばネットバンキングもできるし、信用金庫同士のATM利用は営業時間中なら手数料なし)

金融は社会を変える大きな力になる。私たちはその金融機関を利用することで社会を変える後押しができる。全国の信用金庫も、ぜひ後に続いてもらいたいものである。
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# by greenerworld | 2011-04-15 09:04 | 3.11後の世界  

放射性物質を中和するって?

 本日の衆議院第2議員会館での院内集会、会場はほぼ満席、この間の放射能の広がりへの懸念、飯舘村への関心が高いことがよくわかった。この問題に関わり続けなければという意を強くした。と思ったのもつかの間、終了後やってきた2人の男連れ。放射能対策の技術について話を聞いてほしいという。ペーパーを出して、いくつかの大学とも共同で研究しているもので放射性物質を「中和」できる技術だと言う。

 「中和? 放射性物質は中和しても放射性でしょう」と私。中学生でも知っているとおり、中和とは酸と塩基が反応して水と塩(えん)ができる反応のこと。放射性セシウムイオンが塩化セシウムや硫化セシウムになろうが、それは放射性塩化セシウムであり放射性硫化セシウムだ。

 すると向こうはいきなり「ああ、ダメだダメだ、こんなやつに説明してもムダだ」と、怒り出しペーパーを引っ込めて逃げるように行ってしまった。全く無礼な奴らだ。

 この手の連中は、科学的な矛盾を突くと怒り出すというのもおきまりのパターンである。つまり「こいつはだませそうもない。まずい」と思って逃げるわけだ。私はこれまでいくつもこの手の話(フリーエネルギーや永久機関も含めて)を見てきたので、ははんまたか、と思う。そもそも理系の高校生程度の知識があれば、おかしいとわかる。それでも引っかかってしまう人は後を絶たない。過去にもフリーエネルギー系ではタレントや元国会議員が引っかかってお先棒担いだのを知っている。

 震災や放射能公害に乗じて、火事場泥棒的に詐欺まがい(実質詐欺)の連中がうごめき出すのは許し難いことだ。しかし、こういう時期にこの手の詐欺話が増えることも事実。ともかくもご注意を。

 それはともかく、「原子力村」も巻き返しに必死になっている。こちらの動きにも注意願いたい。
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# by greenerworld | 2011-04-13 22:41 | 3.11後の世界  

圏外でも計画的避難、国はようやく認めたが…

 弊ブログでは繰り返し、同心円状の避難区域設定は実態を表していない、汚染実態に合わせた避難地域設定をすべきだと言ってきた。ようやく昨日になって、国は「計画的避難区域」を設定し、一か月をメドに避難を実施することを発表した。3月28〜29日に現地で調査を行った京大今中助教を代表とするチーム(調査チーム)が、飯舘村内の汚染状況をまとめ発表したのは4月4日。われわれ(後方支援チーム)はこの結果を受けて村に4項目の提案を行い、国や県に対しては6項目を要望した(こちらを参照)。ここでわれわれが提案したのは全村避難ではなく、汚染度に応じた対応だ。村内でも東北部のように比較的汚染度が低い地域もある。一方南部地区の汚染度は高く、一刻も早く避難すべきと思われたからだ。国の対応があまりに遅かったこと、いまだに杓子定規的な区域設定であることには疑問を持つが、国が補償を含む方針を示したことでとりあえず一歩前に進んだ。

 国はこれまで放射線の影響について、線量率(瞬間的な被曝)を元に、胸部X線検査程度だから大丈夫、直ちに健康に影響はない、安全だと繰り返してきた。しかし、こういう被曝は小規模な事故などで短時間に放射線を浴びた場合には当てはまるが、今回のように広範囲に高濃度に汚染された場合には、その場所に留まる限り放射線を浴び続ける。つまり、積算値で影響を論じなければならない。ほとんどが30km圏外の飯舘村では、そこでまだ暮らし仕事をしている人がいるわけで、瞬間的な被曝の話をしても無意味だ。

 先月21日、ICRP(国際放射性防護委員会)から、被曝限度量の緩和を提案されると、政府は見直しに着手、積算線量で緊急事故後の20ミリシーベルト(mSV)という値を基準にすることを検討してきた。しかし、これはあくまで1年間の予測積算被曝量である。文科省の発表はこのあたりから変化し、高濃度地域ではこれまでの積算で●mSvという数字を使うようになった。ところがその数字は3月23日からのもので、最も線量率の高かった15〜22日の1週間分を加えていなかった。それでまだ「直ちに健康に影響はない」としていたのだ。ところが調査チームのレポートでは、飯舘村南部で屋外に居続けた場合、3月29日時点ですでに30mSvを超えていることが示された。屋内にいたとしてもその半分程度を被曝していたことになる。約3週間で屋内にいても20mSvを超えてしまう。繰り返すが、ICRPの基準値はあくまで1年間の予測被曝量だ。政府もさすがにこれを安全だと言い続けることができなくなったのだろう。

 一方、データを提示しないまま、ひたすら安心させようとする政府の姿勢は住民を混乱させた。村に講演に来た放射線医学の専門家も、住民に対して汚染情報を提供しないまま、安全安心を振りまいて帰ったのだ。計画避難地域指定発表のつい2日前にも「原子力村」の住人である近畿大学教授が来て話をしていったという。彼らにとってみれば、自分たちの言ったことが国から否定されたわけだ。どう言い訳するのか聞いてみたい。

 結局、政府のこれまでのやり方は全てを隠そうとし、事故は汚染はたいしたことはないと言い続け、客観的データから実態が明らかにされて破綻したといえる。汚染地域の分布についても、SPEEDIのシミュレーションや米軍の空からの調査によって早くからわかっていた。事故がレベル7だと今日になって発表したこともそうだ。多くの(原子力村の住人でない)専門家は早くからレベル7相当を指摘していたし、保安院も安全委員会もそれを知っていた。汚染実態が明らかになり、これ以上隠しきれなくなったということだろう。なんという稚拙なやり方だろうか。

 ともあれ、飯舘村を含む汚染地域の住民の皆さんには、これからもまだ苦難の道が続く。避難期間は長期に及ぶ可能性が高い。生活や仕事の再建、地域・自治体の再建と大きな負担がのしかかる。健康への不安もあるだろう。さまざまなケアが必要だ。しかし、希望はある。

 以下はブログに寄せられた飯舘村の方からのコメントの抜粋だ。

 「今までのことは水に流して、避難時、避難後の高齢者へのリスク管理等、村民と行政一体となって頑張ります。牛等の家畜の移動も計画的に頑張ります」

 このコメントやツイッターで発信する村の若者たちの言葉は心強い。繰り返し言うが、今回の事態に飯舘村は何ら責めを負うものではない。村は国が進めた原子力政策の結果、東京電力が引き起こした原子力公害の犠牲者である。またその背景にはGDPを指標とする成長一辺倒の経済政策や都市住民の“豊かな生活”があることは言うまでもない。

 村民が幾世代にもわたって営々と築き上げてきた美しい村は、いまや目に見えぬ放射能に汚染された村になってしまった。地方住民が一方的に国策の犠牲になる構図は、谷中村(足尾鉱毒事件)や水俣と同じである。

 われわれはこのような悲劇をもう繰り返さぬと誓ったのではなかったのか。誰か(何か)を犠牲にした繁栄の追求はもうやめにしよう。あらためて全国の皆さんに、原発公害被害地域への支援を訴えたい。
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# by greenerworld | 2011-04-12 20:39 | 3.11後の世界  

4.10高円寺脱原発デモ

 4月10日に東京・高円寺で行われた脱原発デモ。約1万5,000人の参加とか。参加されなかった方に雰囲気だけでもと思い写真をアップ。コメントなしです。
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# by greenerworld | 2011-04-11 08:29 | 3.11後の世界  

福島県の農地の汚染度マップ

 はじめに、東電原発公害関連のイベント2つ。

■「原発震災から子どもたちを守れ!~専門家・市民による独立放射能汚染調査報告と要請~」4月13日15:00〜16:30 衆議院第2議員会館多目的会議室/FoE Japan他主催

■「大震災とTPPから明日を考える連続講座」4月12日、19日、26日。エコ・コミュニケーションセンター(ECOM)。第2回で原発とこれからの社会について話します

 さて、本題。4月6日に福島県農林水産部から、県内の農地70か所(水田・転換畑58か所、樹園地・畑12か所)の放射性物質測定結果が発表された。

http://www.pref.fukushima.jp/keieishien/kenkyuukaihatu/gijyutsufukyuu/seiikugijyutsujyouhou.html

 発表されている値はセシウム134とセシウム137だけで、単位はkg当たりベクレル。土壌サンプリングの深さは文科省の5cmと違い、15cmだという。これは作土の深さを考慮した農水省の基準だそうで、同じ国機関でありながら測定結果を単純に比較できないのは困った話だが、まだセシウムは5cm以深には移行していないと思われるため、とりあえず農林水産部の値を3倍すれば文科省の値と比較できよう。

 下図は県発表のサンプリングポイントの地図にセシウム密度(134と137の合計)を面積比で表した円をのせてみたものである。福島第一原発から30km圏内はサンプリングがなく空白だ。
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 最小の値(西会津町)の面積を最初に決めたため、密度の大きいところは重なり合って見にくくなってしまったが、大まかな傾向はわかる。飯舘村の南部を最大として、中通の県央〜県北にかけて、密度の高いところが多い。

 前回の記事(「もし3月15日、東京に“なごり雪”が降っていたら…」)でも書いたように、これまで最大の放射能放出があった3月15日は、おそらく南〜南南東に向かった放射能雲と、北西に向かった放射能雲があったと思われる。確証はないが、南に向かった雲は2号炉の爆発格納容器損傷の際の、北西に向かった雲は4号炉の火災の際のプルームかもしれない。あるいは一連のプルームが分かれたのかもしれない。いずれにせよ、南に向かった雲は東京付近まで南下した後、風向きが変わり内陸部を北上。中通を通って福島市付近にまで達した。北西に向かった雲はゆっくりと漂いながら飯舘村付近にまで達した、という動きが考えられる。

 セシウムは、その時間帯に雨または雪が降っていたところに、高濃度に降下・沈着しているのである。中通りで言えば、郡山から福島に掛けてのセシウムは、いったん南に下った雲が北上したものが起源だろう。

 あらためて、「もし3月15日に、東京になごり雪が降っていたら」、と考えずにいられない。
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# by greenerworld | 2011-04-08 08:07 | 3.11後の世界  

もし3月15日、東京に“なごり雪”が降っていたら…

 東電福島第一原発の事故による放射能汚染が止まらない。ここ数日は海洋への汚染にメディアの報道が集中しているが、実は陸上の汚染も予想以上に深刻なのではないかと考えている。今中調査チームによる飯舘村の調査でも、土壌に沈着したセシウム137が数十万〜数百万ベクレルに達していることがわかっている。原発により近い場所ではさらに高濃度に沈着している場所があると思われる。

 この地域(原発の北西)に放射性物質が大量に降下沈着したのは、15日から16日にかけてのことと考えられる。この日何があったのか。南西方向に200km離れた東京のデータで見てみよう。

 東京都の環境安全研究センター(新宿区百人町)では、1時間ごとの大気中の放射線量(線量率)を観測し公表している。線量率の値は3月15日に2度ピークを示したものの、その後は低下、22日に再び上昇した。

 同センターの過去のデータを見ると、原発事故の影響のない3月10日までの平均値(自然放射線による、いわゆるバックグラウンド値)は0.035マイクロシーベルト/時。東京のバックグラウンドは0.05マイクロシーベルト/時程度と言われているし、また30日に東京秋葉原で計測した際にも、同センターが約0.1だったのに対して、実測で0.15程度出ていたので、同センターの線量率は低めに出ていると思われる。そこで、同センターのデータを0.7で割って補正し、プロットしてみたのが、下のグラフだ。
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 詳細な時間で言うと、15日には10時台と19時台の2回、大きなピークがある。さらに翌16日4時~5時台にもやや低いピークがある。この日は朝6:10に2号炉が水素爆発ののち格納容器損壊、4号炉で9:38に火災が発生している。16日は5:45に4号炉で火災が発生している。これらの爆発や事故に伴って放出された放射性物質が、上空をただよい風に乗って東京付近にも到達したと考えられる。

 東京大学理学部の早野龍五教授は、ツイッターで「3月15日の朝、福島第一原発から大量放出があり、放射性物質を含む空気塊が南下。午後にこれが福島中通りを北上して宮城県境に滞留し、降雨で落下。その後空気塊は太平洋上へ」抜けたとしている。

 一方、米軍が上空から航空機で地上放射線をサーベイした結果が公表されているが、これによると、福島第一原発から北西方向に帯状の放射線量率の高い区域が伸びている。これを考えると、午前中に一連の放出があり、時間帯によって南または南東に向かった放射能雲と北西に向かった放射能雲があったのではないかと思われる。飯舘村のアメダスサイトはこの日昼から復旧したが、この日は概ね東南東または東の風で、ごく弱い。比較的低空を谷筋に沿ってゆっくりとただよい、浪江赤宇木付近から飯舘村に掛けて、折からの雨でたたき落とされ、一部が川俣町から福島市方面にも向かったのではないかと思われる。
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 一方南に向かった放射能雲は、東京近辺まで達した。その時間帯、東京は曇りではあったが、雨や雪は降っていなかった。多少の降下はあっただろうが、放射能雲はそのまま通過したので、線量率はすぐに低下した。しかし、この日は本州南岸を低気圧が通る気圧配置だったので、低気圧がもう少し発達していれば雨か雪が降っていたかもしれない。もしそうなっていたら、当然ながら高濃度の放射性物質は雨や雪に伴い、地上に降下・沈着していただろう。おそらく東京は高濃度に汚染されていたと思われる。

 都立産業技術センター駒沢支所での「大気浮遊塵中の核反応生成物測定結果」では、15日のヨウ素131は10時台に241ベクレル/m3、セシウム134が64ベクレル/m3、セシウム137が60ベクレル/m3なのに対し、何らかの放出があり東京に達した21日は8時-10時台の1時間あたり平均でそれぞれ、7.8、3.4、3.3ベクレル/m3と、18分の1から30分の1なのだ。にもかかわらず21日は降雨があったため、放射線量率は高くなり、水道水に規制値を超えるヨウ素が検出され、ミネラルウォーターが売り切れる騒ぎとなった。その影響はいまだに残っている。

 もし3月15日に、本州南岸を前線を伴った低気圧が進むような気圧配置(下の図は雨だった3月7日の天気図)であったなら、なごり雪とともにおそらく相当量の放射性物質が降り注いでいたはずだ。汽車を待つ君の横で僕は、時計ではなく線量率計を気にしなければならなかっただろう。
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 東京は単に幸運だったに過ぎない。そのことに気づけば、東京の人も福島の状況が他人事ではいられなくなるはずだ。福島第一では、まだ危機は続いている。それでもなお、あなたは原発を推進するという都知事候補に投票するだろうか。
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# by greenerworld | 2011-04-06 16:07 | 3.11後の世界