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福島県飯舘村に行ってきます

 申し訳ありません。なかなかエネルギー効率化について書くことができません。

福島県飯舘村に行ってきます _f0030644_10415759.jpg 実は、28日(月)から福島県飯舘村に2日間入ることになりました。飯舘村はこの東電福島第一原発の北西30〜40km圏にあり、今回の事故で屋内退避勧告の出た20〜30km圏に南東部が一部かかっています。しかし、15〜16日にかけて、放射線量が急上昇し、原発隣接地域を除くと、最も高い値となりました。左は朝日新聞のつくった図ですが、15日と16日に原発敷地内の放射線量がピークとなっています。15日は2号機で爆発があり、圧力抑制プールが損傷したといわれた日、16日は4号機で出火、3号機で白煙が上がった日でです。

 15日から16日朝にかけては現地では南東方向から風が吹いていました。しかも夕方から朝にかけてまとまった量の降雪があったそうです。風によって運ばれた放射性物質が、この降雪に付着して地上に降り注いだ可能性が高いと思われます。このことによって、飯舘村はほとんどが30km圏外にもかかわらず、放射能汚染のホットスポットとなってしまいました。このことは3月23日に発表された「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」の予測図でも裏付けられています。

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 SPEEDIによるシミュレーションは、もっと早くからできていたはずです。それにもかかわらず1週間もたってから発表されたのは、隠していたと勘ぐられても仕方ないでしょう。この図を公表すれば、単純な同心円の避難勧告や屋内退避勧告が全く無意味だと言うことがわかってしまうからです。

 飯舘村では、放射線量率はもちろん、水道水のヨウ素値も基準の3倍が検出されたり(その後低下してきています)、土壌中のセシウム137の値が「チェルノブイリの強制移住地域レベルの数倍」といわれるほど高い値が検出されています。土壌調査は文科省がサンプリングし持ち帰ったものですが、この数値に関して国や県から村には一切報告がありませんでしたし、もちろんこのことに関するアドバイスも何もありません。

 その一方で県は「放射線健康リスク管理アドバイザー」に雇った長崎大学の山下俊一教授らを自治体に派遣して、不安解消を図っています。飯舘村にやってきた同大の高村昇教授は、この程度なら「安全」、「心配ない」を振りまいて帰ったそうです。

 なぜこんなに放射能が高い状況で、村民は避難しないのか、すぐに全村避難すべきだという声もネットには出ています。実際子どもたちを中心に村民の半数程度は村外にいったん避難したのです(一部が栃木県鹿沼市に集団でお世話になっています)。しかし、その後村に戻ってきた人も多くいると聞いています。

 私もこれまで何度も訪れていますが、阿武隈山地のなだらかな山々に囲まれ、本当にほっとできるような村なのです。村は合併を選択せず、自立を目指して村づくりを進めてきました。飯舘牛というブランド牛も育ててきました。バイオマスエネルギーの地産地消を目指すプロジェクトも動き始めていました。村民も村づくりに自信を深めてきていたところだったのです。

 誰だって生まれ育ち、暮らしを営んでいる地を好きこのんで離れたくはありません。できればこの地で暮らし続けたい、しかし、心の中は目に見えない放射性物質の存在に、不安でたまらないのです。ですから、離れたところにいる人が、なぜ逃げないのだとか、早く逃げた方がいいとか、軽々しく言うべきではないと思います。

 結局その不安を和らげてくれるのは、「安全だ」「安心だ」という言葉です。国や県はその心理につけ込んで、押さえ込みにかかっているのではという気さえします。しかし適確な情報すら示さない国や県に、これ以上まかせておく訳にはいきません。

 今回は、京都大学原子炉実験所の今中哲二助教らの調査に同行します。国や県が動いてくれない中、自発的に調査に動いていただきました。客観的なデータと適確なアドバイスがいただけることを期待しています。

 14日以来今日までの、村役場付近で観測された放射線量を積算すると5mシーベルトにも達しています。積み上げてきた飯舘村民の営みが、地域社会が理不尽にも奪われようとしています。飯舘村後方支援チームでは、飯舘村への義援金も募っています。また村からの状況報告もここで読むことができます。

 http://www.ecology-archiscape.org/

by greenerworld | 2011-03-27 10:44 | 3.11後の世界

 

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