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GMが電気自動車を蘇らせる

 少し前、ゼネラル・モータース(GM)の電気自動車EV1をめぐるドキュメンタリー映画「Who Killed The Electric Car?」を紹介したが、デトロイトでプレス向けに開催されている北米オートショー(一般公開は1月13〜21日)にGMが新たなコンセプトカーを出展している。

 シボレー・ボルト(Chevrolet Volt)と名付けられたこのコンセプトカーは、大容量バッテリーと1リッターのガソリンターボエンジンを搭載している。説明を読むと、エンジンとモーターの併用型ではなく、エンジンで発電して駆動はモーターで行うシリーズ・ハイブリッドらしい。つまり、本質的には電気自動車ということだ。もちろんVoltという名は電位の単位から取ったのだろう。

 しかも、ボルトは家庭用の電源から充電することもできるのだ。フル充電で40マイル(64km)を走行できるという。足りなくなればガソリンエンジンを使って発電し、補うことができる。つまり、プラグイン・ハイブリッド電気自動車なのだ。遠出をする場合以外、日常の使用ではほとんどガソリンを使わないですむだろう。ガソリンエンジンではフルタンクなら640マイル(1000km以上)分の発電ができるという。東京から山口あたりまで行けてしまう(ホンマかいな)。



 『季刊ソーラーシステム』(ソーラーシステム研究所、TEL 03-3434-1471)106号に詳しく書いたが、自動車業界では今、プラグイン・ハイブリッドが次の自動車市場の主力になると注目を集めている。現在のハイブリッド車はトヨタ・プリウスのように、ガソリンエンジンで走りながら回生モーターで発電し発進や加速をアシストする。すなわちあくまでガソリン(またはディーゼル燃料)が主だが、将来のハイブリッド車は上記のように家庭用電源で充電もでき、足りない場合にエンジンでアシストする電気が主の乗物になると見られている。ただしそのためには、バッテリーの高性能化がカギだ。

 ボルトは、こうした考えをかたちにしたものだ。しかもコンセプトカーといいながら、仕様やデザインを見るとかなり完成が近いことがうかがえる。実際2〜3年後の市場投入が予定されているようだが、最後の壁はやはりバッテリーの高性能化という。北米市場で日本勢に押されて苦戦が続くGMの巻き返しなるか、注目されるところだ。なお、トヨタもホンダもプラグイン・ハイブリッド車の開発を検討していると伝えられている。こちらはどのようなタイプで参入するのか。

 シボレー・ボルトの諸元をもう少し詳しく書くと、4-5人乗りの4ドアコンパクトカー(おそらくプリウスと同クラス)、バッテリーはリチウムイオンで、フル充電にかかる時間は6〜6.5時間という。エンジンの燃料はガソリンまたはE85(エタノール85%混合ガソリン)なので、ほぼフレキシブルだ。最高時速は120m/h(約190km/h)。画像はGMのサイトで見ることができる。

 http://www.gm.com/company/gm_exp_live/events/naias_2007/

 なお、GMのリリースにはEV1が「死んだ(died)」理由も書かれていて、もちろんこれは先の映画を意識してのもの。その意味であの映画は、GMを本気にさせたらしい。デトロイトまでは行けないのでこの目で見られないのは残念だが、秋の東京モーターショーに期待したい。

by greenerworld | 2007-01-08 11:58 | エネルギー  

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