2か月たっても多摩川は濁ったまま
2007年 10月 31日
支流の平井川や秋川はずいぶん前に透明に戻った。多摩川本流には上流に小河内貯水池(奥多摩湖)がある。確かめに行ってみると、果たして貯水池の水が白く濁っている。そこから放流される水も、薄目に入れたミルクティ(抹茶ミルクセーキとでもいいましょうか)のように濁っている(写真下。10月21日に撮影)。
東京都の小河内貯水池管理事務所に尋ねると、台風9号で貯水池付近は600mmという雨量を記録。短時間に大量の水が土砂を伴って流れ込んだのが原因という。濁った水は中層から上層にたまっており、冷たい下層には混じり込んでいないそうだが、夏〜秋の放流水は温かい中・上層から取っているため、放流水が濁っているとの説明。それにしても、2か月近くも沈殿しないのは細かい粒子がコロイド状になって漂っているということか。
気になるのは、シカとの関係。2000年ごろから奥多摩ではシカが増加して、林内の草やササを食べ尽くしている。林床がむき出しになり、表土が流亡しているところもある(奥多摩のシカによる環境劣化)。保水力がなくなった山に大雨が降った結果、雨とともに土砂・シルトが流れ込んだのではないか。シカの増加は複合的な理由によるが、温暖化によって積雪が減り、シカが生き残りやすくなったことも原因の一つとされている。
2か月も濁りが続いていると川の生態系に影響はないだろうか。日光が十分に当たらず、藻や植物プランクトンが育たなくなるかもしれない。まだ確かめていないが、濁りが河口まで続いているとしたら、東京湾にも何らかの影響があるかもしれない。
直接の原因は豪雨だったとはいえ、シカの影響も十分考えられる。シカ問題は奥多摩のローカルな問題としかとらえられていないが、流域全体の環境問題として考えなければいけない。
by greenerworld | 2007-10-31 21:18 | 気候変動