日本ではほとんど報道されていないようだが、黒海で石油タンカーが座礁し、大量の原油がもれ出している。先週北海北部を襲った嵐に、アゾフ海と黒海をつなぐケルチ海峡を航行中の10隻の船が巻き込まれ、難破または沈没した。そのうち座礁したロシアタンカーヴォルガネフト139は、船体が二つに折れ、少なくとも1,300 トンの石油を流出させた。アゾフ海は非常に浅い内海で(規模は違うが日本でいうとサロマ湖や浜名湖、宍道湖・中海のような感じ)、生物多様性に富んだ海域。海面を覆う油分だけでなく、重質成分が海底に沈めば長期的に生態系に与える影響は計り知れないという。アゾフ海、ケルチ海峡は、ボルガ・ドン運河によって油田地帯のカスピ海とつながっている。ボルガ川をさかのぼればロシアの多くの都市、さらにバルト海まで結ばれている海運の要衝でもある。
英紙ガーディアンの
写真ニュースには、大量の黒い油の固まりが漂着する海岸や、油まみれで死んだ海鳥の写真が掲載されている。