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これで国内太陽光設置は前年割れ必至

 来年から経産省が太陽光発電の補助金を復活させるという。住宅用太陽光発電システム設置に対する補助金制度は1994年から始まり、2005年度に終了した。最後は1kWあたり2万円だったが、それでもないよりはまし。それに設置に対する「公的なお墨付き」という意味合いはあった。どういうことかというと、「国も補助金を出して応援しているんですから」というセールストークに使えたわけだ。しかし、それも終了してしまうと設置は足踏み。昨年はとうとう前年比マイナス。ドイツに大きく後れを取っているばかりか単年度の設置でスペインにも抜かれた。

 太陽電池大国ニッポンとしては、じくじたるものがある。設置はともかく、生産ではトップを維持していたが、これもドイツのQセルズがシャープを抜いて世界第一位になり、中国のサンテックなども躍進していて、風前の灯火だ。そこで再び国内市場を活性化させようというのだ。

 福田総理が6月9日に発表した「『低炭素社会・日本』をめざして」は、太陽光発電の設置を2020年に現状の約10倍、2030年には約40倍を目標としている。今のようにもたもたしていたのでは、とても達成はおぼつかない。そこで何らかの支援制度を復活させ、3〜5年後にはシステムの設置価格を現在の半額程度に低減することを目指すという。

 半額というのは、現行でシステム1kWあたりの設置価格は70万円程度、発電電力1kWhあたり40数円程度の太陽光発電の発電単価を、家庭用電力料金並の20円強に下げることを意味する。お得感が出て、多くの人が設置しようと考えるだろうというわけだ。グリーン電力証書などテクニックを駆使するようだが、制度が複雑になり関連団体がたくさんできて天下りの温床になりそうだ。

 それより何より、将来価格が下がるというのに、目先の今年来年に設置しようという人がいるのだろうか。少なくとも来年度からは何らかの補助制度が始まるということになると、今設置を考えている人だって、来年設置した方が得になりそうだからと思いとどまるだろう。3〜5年後に半額になるというなら、それまで待とうと考えるのが普通だろう。太陽光発電はそれを入れなければ楽しめないコンテンツがあるわけではない。市場を伸ばして価格を下げようというのに、買い控えを誘うのはあまりにも不可解である。

 少なくとも今年の設置が前年割れするのは、これで決定したも同然だ。とにもかくにも愚かしい。

by greenerworld | 2008-06-26 23:01 | 環境エネルギー政策  

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