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2011年 01月 16日 ( 2 )

 

ナラ枯れそしてカラマツ枯れへ

 日本ではマツ枯れに続いてナラ枯れが猛威をふるっている。そんな中、イギリスではカラマツ枯れが深刻な問題になっているという。これはもともと急性ナラ枯れ(sudden oak death)として知られていた木の感染症だ。日本のナラ枯れはカシノナガキクイムシ(カシナガ)が運ぶ菌類が原因だが、sudden oak deathは疫病菌の一種 Phytophthora ramorum の感染によるもの。胞子が風で運ばれるし、靴やタイヤについても運ばれる。非常に感染力が強いという。

 イギリスには、アメリカから苗木について運ばれたと見られている。そのアメリカでは、カリフォルニア州など西海岸でナラ類(オーク)を中心に枯損被害が出ている。イギリスに入ってきた当初、オークにも感染したようだが、被害は広がらなかった。つまりイギリスのオークはこの菌に対して抵抗力を持っていたようだ。ところが、どうしたことか P. ramorum はカラマツに感染した。すると爆発的な感染力で周辺のカラマツや他の針葉樹にも広がっていった。P. ramorum に何か遺伝的な変異が起きたのだろうか。

 P. ramorumはアジア起源だと考えられている。まず(多分)日本からヨーロッパに送られたツバキ科やツツジ科の園芸種についてヨーロッパに渡り、そこからさらにアメリカに送られた。そこで sudden oak death を発生させ、またイギリスに戻ってきた。アメリカでも何らかの変異を起こした可能性がある。

 最初にイギリスで感染が広がったカラマツはニホンカラマツだったらしい。用材用にかつて日本から送られたものだ。日本の疫病菌がイギリスでニホンカラマツと出会い、感染爆発を起こしたことになる。

 疫病菌と言えば、19世紀のアイルランドでポテト飢饉をもたらしたのも疫病菌の一種P. infestansだった。この菌の蔓延でジャガイモはほとんどとれなくなり、貧しい農民たちの多くが餓死した。もっともこれだけの餓死者が出たのは、当時アイルランドが事実上イギリスの植民地であったという社会的な要因が大きい。さらに多くのアイルランド農民は故郷を捨て、新天地アメリカに渡った。このアイルランド移民の子孫から、J.F.ケネディやH.フォードが出たのだから、疫病菌の猛威は世界の歴史を変えてしまうほどのものだったと言える。

 P. ramorumがイギリスから一衣帯水のヨーロッパ本土に渡るのも時間の問題のように思える。そうなれば感染木が用材として日本に入ってくる可能性もある。ニホンカラマツは甲信地方から北海道にかけての重要な用材林の構成種で、ここに感染が広がったら恐ろしいことになる。

 動植物の移動はこうした新たな感染症を広げ、場合によってはその地域の農業や生態系に大きな影響を与えることがしばしばある。最近の話題になったものでは、カエルツボカビ病やラナウィルス、ミツバチの集団崩壊病の原因と疑われるダニやウィルスがある。古くはマツ枯れがそうだし、ナラ枯れも材木や苗木の移動が原因かもしれない。生物資源の長距離の輸送について、考え直すときに来ているのではないだろうか。

by greenerworld | 2011-01-16 23:00 | 生物多様性  

真冬も青々野良坊菜

 秋に苗をいただいて、庭の2坪菜園に植えておいた野良坊(のらぼう)が、連日の氷点下の寒さにも負けず青々としている。そばに植えた春菊は茎まで凍ってしまい、すっかりへたっているのに、野良坊は元気だ。北風除けはしてあるが、上部は覆っていないので霜も降りているのだが、日が昇り始めるとごらんの通り。
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 野良坊は、西多摩地域(主に旧五日市)で栽培されてきたアブラナ科の地野菜で、春に茎が立って来たときに、茎ごと摘みとって食べる。「かき菜」の一種かとも思われるが、系統は定かでない。家庭菜園では、茎を摘まずに葉だけを摘んでいけば長く楽しめる。秋に種まきをして冬を越し、春に食べるので、虫もほとんどつかず、無農薬で作れる。ほぼ植えっぱなしで手間もかからない。凍らないのは、組織や細胞内に糖分が多いのだろう。少し苦みと独特の風味(くせ)があるが、おひたし、炒め物、漬け物、天ぷらと幅広く使えて、端境期に重宝する野菜だ。

by greenerworld | 2011-01-16 09:05 | スローフード